DAY 34 チーム溜まり場大暴走で今後ずっと名前呼びが確定した日
学校祭が終わった日の深夜。
伊江里クロワさんから、先月急に始まったダイエット計画の真相を聞かされた。
どうにも、俺が高校から一人暮らしだと知り、体調が心配でダイエット計画を持ちかけてきたとか。
「久しぶりにお前んち来てみたら、案の定冷蔵庫の中が肉まみれだしよぉ……。ったく、マジでダイエット計画考えて正解だったぜ」
そうだったのか……伊江里さんは、太っている俺の体調と一人暮らしを心配して……
「しかし計算外だったのは、たんにお前に警戒心抱かせないように呼んだ華と桃世が、お前の優しさに気付いたってことだな……。ちっ、ダイエット計画が始まってしまえば用済みだから、処分しようと思ってたのによぉ……おかげで計算狂いまくりだ。もっとお前と色々しようとあれやこれや考えてたのに……うわっ!」
「ありがとう。まさかそこまで俺の身体を心配してくれているとは思わなくて……ああ、なんだろうこの感情は……もう抱きつかないと収まらない……」
俺は思わず伊江里さんに抱きついてしまった。
嬉しい、ありがたい、あと伊江里さんが可愛い……そう思えて、感情が止まらなくなってしまった。
「クロワ、ありがとう」
「……ひぃっ……お前……! 急に耳元で名前呼ぶな! つかあれから全然名前呼ばねぇし、どうなってんだ! あ、おい……それ以上は私も……」
「おおっとー、それ以上の行為は、この正義のヒーロー、ももよーん様が許さないぞー! 私たちは仲良しチーム! どうせするなら、全員一緒にしろー! キラン、用済みで、処分になんて、なってたまるか下剋上。ここまできて同時以外は認めんぞ、抜け駆けするなら、星に代わってお仕置きだー!」
「ふふ、全部聞いちゃいました。やっぱりクロワって、乙女よねぇ……かーわいい。でも……恋をするのに積み重ねた時間なんて関係ないのよ。私たちを巻き込んだのが運の尽きね、窮鼠猫を噛む、追い詰められたネズミさんって……結構怖いんだって思い知らせてあ・げ・る。うふふふふふふふ」
伊江里クロワさんに抱きついていたら、背後からヒーローが登場する前口上みたいのが聞こえ、背中から抱きつかれる。
もう一人の女性が怖い笑顔で近付いてきて、俺のズボンに容赦なく手をかけ、とんでもない力で脱衣させようとしてくる。
な、なんだ……そういう妖怪か……! と思ったら、藤浪桃世さんに西崎華さん……夜中なのに、起きていたのか……
「クロワずっるい! 一人だけ良い思いしようとしてたー! 私だってミャーマ好きだし! 最初はクロワに遠慮してたけど、そういうのは面倒だからもうヤメター! 無限の体力の持ち主、ももよーん様に力とスタミナで勝てると思うなよー!」
「クロワを抑えるのは任せましたよ桃世。私はその隙に美山君のこちらを……」
「て、てめぇら……! 今良いところだったのによぉ……! あと一押しで私の念願が叶う瞬間だったのに……! 離せ桃世……このバカ力が……! 華やめろ、最初は絶対に私がするんだっての!」
な、何が起きている……女性陣が大興奮状態で暴走気味。
と、止めないと……これはもう緊急手段を取るぞ。
悪いけど俺、ダイエット計画で痩せただけじゃなくて、筋肉のビルドアップもしているんだよね。
例え無限の体力の持ち主の藤浪さん相手でも、力では負けないですよ。
「華、おいで、そう、こっちだ」
「は、はい……! なんと丁寧で力強い抱き寄せ……素敵です……」
まずはどさくさに紛れて俺の下半身を攻めていた西崎華さんを抱き寄せ、落ち着かせる。
つかなんなのこの人。いきなり俺のズボンを下げようと全力だったぞ。
「桃世、後ろからごめんね」
「うっ……この私に力で押し勝つだ、と……! ……あ、背後から優しく抱きつきながらの名前呼びキター!」
次に伊江里さんに飛び掛かっていった、藤浪桃世さんを押さえる。
背後から腕ごと抱きしめ動きを押さえ、伊江里さんから離す。
「クロワ、ごめんね、急に抱きついちゃって。驚いたよね、謝るよ」
「……な、なんで謝る……わ、私は嬉しかった……」
最後に伊江里クロワさん。
この騒動の発端は、俺が伊江里クロワさんに無断で抱きついたから、だろう。
しっかり謝るべき。
ふぅ、とりあえず女性三人の大興奮状態は乗り切ったぞ。
つか、もう寝ませんか……さすがに限界です……
「ふぁぁ、ねむ……」
翌朝五時、いつもの公園にて早朝マラソン。
なんだか昨夜、謎の騒動があって寝不足気味……
「いやぁー昨日は熱かったー! ついに弟子が力で師匠を超えた瞬間……燃えたねー、あれは! あはははは!」
藤浪桃世さんがポニーテールを揺らし、とんでもない速度でダッシュ。
弟子が師匠を超えた瞬間……?
なんだそれは。
「ふふ、昨夜は良かったです……丁寧ですがとても力強く、私の服を一枚ずつ脱がしていく……素敵な夜でした……」
和風美人、西崎華さんが火照った顔で何か言っている。
俺の記憶では、とんでもない力で俺のズボンを全力で下げようとする女性がいた、なんですが。
「……さっき話し合ったんだけどよ、仲直りの証として、今日からずっとお前は私たちのことを名前呼びする、って決まったから。高校だろうがどこだろうが、名前で呼べ、じゃないと許さねぇ」
金髪ヤンキー女子、伊江里クロワさんが俺を睨んできたが、話し合い?
俺、その会合に呼ばれてないですけど……仲直りの証で俺が全員を名前呼びって、どんな仲裁案なの……。
え、マラソンのあと、昨日の学校祭の後片付け登校なんだけど……高校で三人を名前呼び、だと……?
イケメンの輪に割って入ってあなたたちを名前呼びって、ハイレベル過ぎるって!
マジかよ……今日からの俺の高校生活、一体どうなっちゃうの……
++++++++++++++
【以下定型文】
作品を読んで興味を持ってくれた読者様! よろしければ下にある
『☆☆☆☆☆』のポイントをよろしくお願いいたします。
応援する意味でブックマーク登録やご感想、レビュー等いただけたらとても嬉しいです!
影木とふ




