DAY 15 ダイエット計画の打ち上げで日替わり彼氏計画発動日
一か月のダイエット計画……──それは短いようで長い──
だが俺は確実にタスクをこなし、見事にマシュマロボディを卒業。
最初に苛烈なダイエット計画と聞いてビビったが、なんとか乗り越えられたぞ。
食事制限に朝夕の運動、これだけでもダイエット初心者である俺にはキツかったのだが、自ら筋肉のビルドアップも上乗せした。
結果、マシュマロボディを細身に変え、さらに筋肉を追加で、俺の外見はガラリと変わった。
和風美人の西崎華さんが、このダイエット計画を乗り越えられたら『二人でお出かけしましょう』と言ってくれたので、満を持してデートを申し込んだのだが……
「てめぇ、どういうつもりだ」
「え、あ、その、以前西崎さんが、ダイエット計画を乗り越えられたらお出かけしてくれると……」
よく分からないが、金髪ヤンキー女子、伊江里クロワさんが激オコ。
「うん、もちろんいいよ。だってお誘いをしたのが私だし。ふふ」
あ、ほら、西崎さん本人からOKが出たので、人生初のデートってやつをしてみたいのですが……。
しかもこれ、西崎さんから誘われたデートなんだよな……これってかなりすごくないか?
「……ちっ! おい、何でも一つ聞くって言ったよな、それを早く言え、今すぐだ!」
伊江里クロワさんが舌打ちをし、俺の胸ぐらを掴む。
壁際までグイグイ押され、顔をぐいっと近付け耳元で呟いてくる。
うわぁ、伊江里さんの髪から良い香り……じゃなくて、ああ、伊江里さんからもご褒美があるんだっけ。
え、今すぐ? ええっと、まだ考えてなくて……うーん……
「はいはーい、私、全てを理解しちゃったー! ここは賢いももよーんに免じて、全員でお出かけデートっていう仲裁案はどうだろうー?」
俺たちの騒動を楽しそうにニヤニヤ顔で見ていた藤浪さんが、ズバッと手を挙げ提案をしてくる。
え? 三人と同時デート……?
そ、そんな贅沢なことを俺がやってもいいんですか……!
「全員で? ああ、一か月のダイエット計画お疲れ様会? それならまぁ、その……」
「打ち上げか、まぁ、それなら……全員でもいい」
藤浪さんの提案に、西崎さんと伊江里さんは納得しつつも、何か不満気。
あ、そうか、まずはダイエット計画の打ち上げが先か。
ちょっと俺、興奮し過ぎて先走ってしまった。
うん、まずはダイエット計画の成功を全員で祝おう。
「じゃあお出かけは明日以降にして、今日はみんながこの一か月頑張ったダイエット計画の打ち上げをしましょう! 料理は俺が作りますので、みなさんは休んでいて下さい」
俺は笑顔で言い、夕食に向けて準備を始める。
そうだな、ダイエット計画が終わったとはいえ、カロリー控えめ健康メニューでいこう。
俺は今の体型維持の為、肉肉肉肉な生活にはもう戻る気はない。
まずは鶏肉、これを使ったスープにしよう。ちょっとピリ辛で、野菜がモリモリ食えるやつ。
メインは豆腐ハンバーグで、あとは果物と野菜のサラダでいくか。
「手伝う。大根を切ればいいのか?」
「私もー! あ、デザートに寒天ゼリーケーキ作るー!」
「じゃあ玉ネギは私が切るね、ふふ」
あれ、休んでくれていいのに、女性陣が全員手伝ってくれたぞ。
一か月一緒にいて思たったが、このメンバー、チームワークが良いんだよなぁ。
「一か月のダイエット計画、大変だったけど、なんとか全員で乗り越えました! お疲れ様です!」
十八時過ぎ、そこそこ豪華な夕食が完成。
みんなでテーブルを囲み、打ち上げスタート。
「私はマイナス一キロだな。出来たらこれを維持したいところだ」
「私キープー! 筋肉も付けたから、プラマイゼロかなー」
「マイナス三いっちゃった、ふふ。結構頑張って運動したからなぁ。嬉しい」
おお、俺だけじゃなく、女性陣も効果は出ていたのか。
まぁ一か月、マジでダイエット計画を実行したからな。
「みんなおめでとう。今日はちょっとだけ豪華にしてみたから、ぜひ食べてよ」
「……美味いなこの鶏肉のスープ。ちょっと辛いのがまたいい」
「うん、美味しい! 美山君って料理、上手よね。私、美山君の手料理大好き」
「ミャーマはしょっちゅう私たちのご飯作ってくれたからねー。全員の好みも熟知しているし料理が得意。掃除洗濯もマメにやるから、家は綺麗に管理。目的を達成するまで努力を継続出来る才能あり、性格温和で顔も可愛い。うーん、ミャーマって彼氏に最高なんじゃー? あはははは!」
この一か月、伊江里さん西崎さん藤浪さんが普通に俺の家に居ついていたからなぁ。
なんか俺の家が、みんなの溜まり場になっていた。
え、俺が彼氏……?
まさか、俺なんかがクラスどころか学校の三大美女レベルのみなさんとは釣り合わないでしょう。
藤浪さんって冗談が好きだからなぁ。
「…………」
「…………」
あれ? 伊江里さんと西崎さんが黙ってしまったぞ?
ほら、さすがに怒ったんだよ。
「ふ、藤浪さん、楽しい打ち上げの席で冗談はやめましょうよ。俺なんか、お美しいみなさんと釣り合わないですよ。今度一回だけデートが出来るのだって、奇跡みたいなもので……」
「えー? 冗談じゃないけどー? あれれ、二人が動かないね、じゃあ私が言っちゃおうかなー、あははは!」
俺が諫めるが、藤浪さんがニヤニヤ顔で、黙った二人を見て爆笑。
「ねぇねぇ、ミャーマって彼女欲しいー?」
「え、そ、それはぜひとも。この一か月のダイエット計画みたいな大変なことも、伊江里さんや西崎さん、藤浪さんみたいに、楽しく過ごせる人の存在って大事だなって気付きました。俺にもいつか、そういう大切な存在がみつかったらな、と……生意気ですけど……」
ダイエット計画は本当に大変だったが、やはり一緒にいてくれて、共に頑張ってくれる存在が周りにいるってのは大きかった。
「あははははは! ミャーマさー、それって告白ー? そっかー、じゃあ私も彼氏欲しいし、みんなも欲しそうだからー、ミャーマがさ、私たちの日替わり彼氏になってよ。練習にもなるし、ちょうどいいでしょー。あははは!」
え、ひ、日替わり彼氏……?
お、俺が? いやいや、みなさん俺なんて嫌でしょ……
「……分かった。じゃあ月曜日から私、華、桃世の順でいこう。週末は全員平等、それでどうだ」
「うん、いいよ。学校でもここでも、担当曜日以外の人はなるべく遠慮すること。そして美山くんは、担当日の女性のことは名前で呼ぶこと。それでどうかしら」
「オッケー。週末は平等に全員名前で呼ぶってとこか。いいね、じゃあミャーマ、明日から名前で呼べ! あはははは!」
伊江里クロワさん、西崎華さんがガタンと立ち上がり、藤浪さんも含め全員で手を合わせる。
え、何……今の儀式みたいな行動は何?
そして明日からみなさんを名前で呼ぶ……だと……?
この俺が……?
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影木とふ




