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第六章~納豆の怪異~

その日は、酷く湿気の多い日だった。




ある学校の教師から電話連絡があり、給食の納豆を拒否した女子児童達に


突然怪異が現れて、納豆を食えと迫るのだと言う。




「うわ、今回の現場、絶対に汚れるじゃん・・・。」




みぎゃ子はテンションが下がったが、T氏は言う。




「まぁ、血とかゲロじゃねぇだけマシだろ。


 そもそも食いモンなんだから、汚くねーよ。」




「まぁ、そうだね。今回の怪異は倒すってよりも、


 人間側の説得をして納得して成仏して貰う感じかな。」




二人は現場の学校へと向かった。




「納豆食え~!!」




現場の学校の教室では、複数の女子児童を壁に追いやり、


納豆の怪異が詰め寄っている。


辺りは腐敗臭が漂い、それに乗じて足の臭い男子が靴を脱ぎ、


しかしそれはバレてしまっていた。




「は~い、T霊界探偵事務所到着だよ~」




みぎゃ子が軽快に言った。




「何だぁ~、お前らはぁ~?」




怪異は不審そうに二人を眺めたが、T氏が言った。




「今回はお前は別に、危害を加えようってんじゃねぇ。


 だから俺達のやる事は除霊じゃねぇ。


 人間側への説教ってのも、大事な霊トラブルの解決さ」




続けて、みぎゃ子が女子児童達に聞く。




「ねぇ、皆はどうして、納豆を食べないの?」




すると、怯えていたはずの児童が語気を荒げて言う。




「だって、臭いしネバネバしてるし、生理的に無理って感じ!」




「可愛い女の子に納豆とか、似合わないでしょ!」




「そもそも、ダサいんだもん。昔の食べ物って感じ!」




それを聞き、T氏は眉を潜めた。怪異はより一層怒りを強めた。


みぎゃ子が言う。




「ねぇ、今の教室の隅に追いやられて、涙や鼻水でぐしゃぐしゃな


 キミ達って、イケててカッコ良くて可愛いと思う?」




児童達が答える。




「そんなワケないじゃない!だけど、泣いたり怖がるのは当然でしょ?


 私達は悪くないもん!」




みぎゃ子はキッと児童達を睨み、こう言った。




「あっそ。これからの時代、怪異は当たり前の存在になるよ。


 そんな中でキミ達みたいに自然や食べ物、あらゆる身の回りの事に


 感謝出来ないでいたら、ずっとダサくて惨めで不自由な生き方を


 自分もしなくちゃいけないし、家族とか友達にも迷惑がかかる。


 それでも良いの?って言うか、そんな態度なら、ボク達、キミ達を


 助けてあげないけど?」




児童は意思を曲げなかった。




「うるさい!サッサと私達を助けなさいよ!


 私達、オシャレな街に住んでるセレブの子供なのよ?


 助けられて当然なのよ。あなた達、霊を祓うのが仕事でしょ?


 早く、可哀そうな私達を助けなさいよ!」




ー二人は黙り込んでしまった。


 やがて、T氏が口を開いた。




「先生、せっかくご連絡を頂きましたが、俺たちは帰らせて頂きます。


 お代は必要無いんで、せいぜいその子供達、困り果てたら良い。


 それじゃ。」




T氏は振り返る事も無く、帰路へと足を向ける。


みぎゃ子は複雑そうな表情で児童達を見たものの、すぐに向き直り


T氏の後ろを付いて歩いた。教師は茫然とし、児童達はわめき散らかした。




後日ニュースで、精神錯乱となった児童達が


病院送りになったという顛末が流れて来た。




T氏が言った。




「何でもかんでも、霊が悪いわけじゃねぇ。


 そもそもは人間の方が次元の低い存在なわけでな。


 俺達は別に慈善団体じゃねぇ。正しい仕事を請けて、


 全力で取り組ませて貰う。ただそれだけだからな。」




みぎゃ子は複雑な表情になったが、すぐにおどけて見せた。




「あ~あ、今回はお金が入らなかったから、


 回転寿司じゃなくてスーパーの半額寿司・・・。


 本当、しょうもない依頼はやめて欲しいよね~。」




彼らはただ、無条件に人間の味方をするわけでは無い。


プロとして、祓うべき霊は祓う。


しかし、存在や生まれた事の理由を鑑みて、


それが妥当なものであればそのまま残す事も判断する。




そしてT探偵事務所は近く、新たなメンバーの入所があるような


少し浮足だった空気感が事務所を覆っているのであった。

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