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第四章~T霊界探偵事務所への殴り込み~

ここは”T霊界探偵事務所”。


少し昔にインターネットの怪談系掲示板で取り上げられた


「寺生まれのTさん」といったユニークなジョーク系怪談の


モチーフとなったT氏が営む、霊関連の困りごとを扱う事務所だ。




一般的な人間の霊力を5程度とすると、


霊能力者は100~500程度。


1000あれば凄腕の霊能力者だ。


最近街に溢れている超低級な霊達は、霊力で言えば


大体が500以下、時に1000程度のものがいる。


そんな中でT氏の霊力は5500。


これは彼自身も数値として知る事が出来、彼のサングラス、


コレはドラゴンボールのスカウターのような特殊なものであり


一定以上の霊力のあるものが身に付ければ、自身や他者の霊力を


数値として知る事が出来る。


もちろん実際の戦闘においてはこの数値の限りでは無い。


しかし大まかな目安として、どの程度の霊的な力の出力を持っているか


測る事については非常に便利なアイテムだ。


そうして彼が一件の依頼を終えて事務所で休んでいた時、


急に事務所の扉が開かれ、少女が飛び込んでいた。


みぎゃ子だった。




「頼もー!事務所破りだー、勝負しろ、T氏ー!!」




突然飛び込んで来たみぎゃ子は、飛び蹴りをT氏目掛けて掛けた。


突然の事ではあったが、武闘派肉体系のT氏はそれを咄嗟にガード、


即、反撃の為にまずは防御の簡易な印を結んだ。




しかしそれを飛び越して、みぎゃ子の肘打ちがT氏の腹にヒット、


恐ろしく早い連撃だ。




しかしT氏は腹に受けたダメージをものともせず、身長差を活かして


間合いに飛び込んで来た屈んだみぎゃ子の背中を目掛けて


強力な肘打ちを喰らわせた。




「ガハァッ!!」




涎を垂らして、みぎゃ子が地面に崩れ落ちた。


すかさずT氏はその背中を靴でグッと踏みつける。




「いきなりやって来たかと思ったら突然飛び膝蹴り喰らわせて、


 挙句終いにゃあ呆気なく踏まれて靴底のゴミと一緒たぁ、


 どういう領分だぁ、こりゃ?」




T氏はサングラス越しにみぎゃ子を睨みつけた。


みぎゃ子は体を圧迫されて少し苦しそうにしながらも、


こう言った。




「アンタ、さすがはこの辺りで№1と言われる霊能力者だね。


 恐れ入ったよ、アタシを弟子、いや助手にしてくれないか?」




T氏のサングラス越しの目の色が変わった。


背中に置いた足を少し浮かせて、やがて外した。




「弟子、か・・。


 そりゃあ一体、どういう事なんだ?」




「アンタも知ってるだろ?最近街に、低級の霊が増えてる。


 今はアタシも個人で対応出来てるけれど、嫌な予感がするんだ。


 多分だけど、霊界とこの世界との膜がくぱぁって開かれて、


 その裂け目が徐々に大きく広がってる気がするんだ。」




「なるほど、くぱぁ、か・・・。」




「いや、そこじゃなくて、もっとちゃんと理解するべき部分、


 あっただろ!?」




「まぁな、確かにオレもそれは感じていた。


 今こちらの世界に来ている低級霊達は霊力1000以下が大半だ。


 だがそのうち、2000,3000クラスや、もしかしたら


 1万クラスがゴロゴロとやって来るかも知れない。


 そうした時に、必ず仲間が必要だとは感じていた所だ。」




「さすがだね、話が早いや。だったらさ、アタシを住み込みで


 働かせてくれないか?こう見えても一応成人してるし、


 あと事務所に美少女枠って、必要だろ?」




「美少女、ねぇ。ハッキリ言うけど、お前男だろ。


 オレみたいなクラスの霊能力者をつかまえて、バレないとでも思ったか?


 まぁ確かに見た目は、かなり本格的に擬態出来てるけどな。」




「あちゃあー、バレちゃうか、さすがに・・・。


 まぁでもホラ、除霊の現場が少し華やかになるのは確かじゃん?」




「ふむ、霊力3900か・・悪くない数字だ。


 オレが戦った中で一番強かった霊は2900だった。


 現状のこの世界なら、オレとお前が組めば怖いものは無いな。」




「よし、そうと決まったら色んな荷物持って来るから、


 あ、それと今日はお寿司屋さん連れて行ってよね?


 可愛い子ちゃんが入所したパーティーで、お祝いしてよね!」




「はぁ、コレは何とも、先が思いやられそうな、賑やか過ぎるヤツが


 絡んで来たものだな・・・。」




そう言ったT氏のサングラスの奥の目は、期待と安心が混じったような


少し優しいものへと変わっていた。

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