第四十二章~無限の創作者~
次々と倒れる仲間達をただ茫然と眺める事しか出来なかったみぎゃー。
黒みぎゃーの圧倒的な力の前に残されたのは自分しかいない。
しかし、霊力15万の黒みぎゃーを霊力8のみぎゃーが倒す術は無い。
それでも強気な言葉で挑発を繰り返すみぎゃー。
ついに黒みぎゃーは、彼の塵のような霊力を、
ただ呼吸をするためだけの最低限まで落とし込もうと考えた。
黒みぎゃー
「しかし、力の加減というのは難しいものだな。
貴様でもわかるだろう?蚊を叩き殺さずに素手で捕まえる事は
至難の業のはずだ。殺してしまっては意味が無いからな。」
みぎゃー
「言ったはずだ、殺り合おう、と。
これは別に自暴自棄になってハッタリや強がりを言ってるんじゃない。
気付いたんだよ。僕の中には、無限の力が眠っていると。」
黒みぎゃー
「ん?くだらん冗談はよせ。残念ながらそれは、
勝てないと理解した時に脳が見せる幻だ。
そんなものに縋りたくなるほどに私の事が怖いのなら、
サッサと私と同化しろ、みぎゃー。」
みぎゃー
「いや、お前に奪われなかった、唯一の力がある。
それは”創造主としての無限の力”だ。」
黒みぎゃー
「何を言い出すかと思えば、意味のわからん話をダラダラと。
もう良い、貴様の息の根をギリギリまで落としてやるぞ。」
みぎゃー
「やってみろよぉぉぉぉ!!!!!」
黒みぎゃーはヤレヤレと言った感じで、
みぎゃーへ向けて極小の塵ほどの霊球を投げた。
本来、コレが当たるだけでみぎゃーは息絶え絶えになるはずだった。
しかしみぎゃーは、全く微動だにしていなかった。
黒みぎゃー
「何?何故だ、効いていないのか?確かに当てたはずだぞ。」
みぎゃー
「だから、もう気付いたって言っただろう。
僕の霊力8は、一般人の単なる一桁の霊力じゃない。
これは・・・
∞(無限)の想像力だ!!!!!!!!!」
黒みぎゃー
「何をまだくだらぬ妄想を・・・だが、何故当たらない、まさか本当に・・
いやそんなワケが無い、私が全ての力と言うものを得たはずだ。」
みぎゃー
「無限の想像力は、力と言ってもお前が使うようなフォースじゃない。
僕のそれは、パワーだ。
フォースは、物理的な力や強制的な力の事だ。
しかしパワーは、持続的な力や影響力を表す。
力の性質が違うから、お前はそれを受け取ってはいない。
そしてそれは、僕の中にあったと言う事だ。」
黒みぎゃー
「フン、だから何だと言うのだ。
その想像力とやらで、私に対抗しようとでも言うのか?
力の性質が違うのなら、それは私の力と相対出来るものでは無い。
残念ながら、貴様はその無限の想像力とやらを持て余したまま、
私に取り込まれるのだ。そして、同化した時に私はその、
無限の想像力とかいう使い道もわからん力も得てしまうわけだ。
もっとも、そんな力は必要がないがな、ククク。」
みぎゃー
「ずっと、不思議に思っていたのさ。
最初はキモいと言われていた、みぎゃ子や白・黒みぎゃ子達が
何故か僕に懐くようになり、一番可愛いと思っていたユキちゃんとは
かなり親しくなれてしまった。
だけどコレは、僕の無限の想像力が成した事だったんだ。
僕が望み、妄想した、あんな可愛い子達と仲良く出来たらという思い。
それを現実に出来たのがまさに、無限の想像力だった。
つまり僕は、思えば、願えば、それが現実になる力を持っているんだ。」
黒みぎゃー
「くだらぬ!!聞いていてイライラする独り語りだ。
貴様の妄想が形になろうが、それによって女にモテようが、
そんなものが何の役に立つ。
現に、お前のすき好んだ女達は今ここで、もう虫の息だ。
どれだけ好いても好かれようが、死んだら意味が無いだろう。
どれ、もう能力をコピーしてしまった、この長い黒髪のゴミ、
こいつをまずは握りつぶしてやるぞ。
その無限の想像力とやらで、救い出してみるか?
ハッハッハ!」
黒みぎゃーは再びユキちゃんをつかみ取り、強くその体を握る。
ミシミシと骨の軋む音がする。
ユキちゃん
「あ”・・・あ”あぁぁぁ・・・・ぐ・・ギギギ・・・・」
あまりの痛みに顔は美少女のそれとは思えないほどに歪み、
口からは涎が垂れる。まさに黒みぎゃーの力加減一つで
すぐにでも殺されてしまう状況だった。
みぎゃー
「ユキちゃん!!
貴様、許さんぞ・・・その汚い手を、放せ!!!!!」
みぎゃーが黒みぎゃーに、霊撃を飛ばす。
不意にそれが黒みぎゃーに当たり、ユキちゃんを手から落としてしまう。
黒みぎゃー
「何、だと!?」
みぎゃー
「やってやるよ、お前がその気なら・・・本当は、僕に同化するよう、
お前だって僕の一部なのだから、その痛みも黒い感情も全て、
僕が受け入れようと思っていたのに・・・もう、潰す!!」
ついにみぎゃーが、本気の霊力を黒みぎゃーに向ける。
それは霊力値というものでは測れないくらいに、圧倒的なものであった。
対抗する黒みぎゃーはその力に抗い切れていないようで、
どこか冷静であった。
黒みぎゃー
「クク、無限の想像力か、面白い。確かに凄まじい力だ。
欲しくなったぞ、この力。しかし一つ見逃していないか?
私は今、あのゴミ女の力を得た事で無限に回復するのだぞ。
もはや、15万という霊力値では測れない、つまりは貴様と同じ
無限の力を持っていると言う事だ。あるとすれば、
先ほど貴様が言ったパワーとフォースの違いとやらだな。
しかし残念ながら、こうした戦いの場においては圧倒的に、
私のフォースの方が強い事は理解出来るだろう?」
みぎゃー
「クソッ!!あと一歩、あと一歩、何かがあれば・・・・。
ん?アイツはユキちゃんの力を吸収した・・・。
と言う事は、僕がその力を反転させる事を想像出来れば・・・。
よし、ユキちゃんをここまで痛めつけた報い、皆の頑張りを、
思いを、無駄にはさせない!!行くぞ!!」
ーベクトル反転・無限吸収!!ー
黒みぎゃーから溢れ出ている力を、みぎゃーがみるみる吸収して行く。
そしてそれは止む事無く、とめどなく延々と流れ込み続ける。
黒みぎゃー
「何!?貴様、そのような事を・・・・グッ、コレでは・・・・
いくら無限回復と言えど、クソ、吸収の速度が加速している・・・・
回復が追い付かない・・・!!!!!!!!!!!」
みぎゃー
「その全ての力を、僕に注ぎ込め!!!!!!!
お前を丸ごと全部吸収して、もう一度完全な一人の人間として、
お前の悲しみも痛みも妬みも恐怖も、全てを受け入れてやる!!!!」
黒みぎゃー
「クソ、ここまでか・・・・この現実を滅茶苦茶にしてやろうと言う計画、
しかしこれほどまでに整った力を持っているもう一人の自分がいるのなら
・・・・・・
頼んだぞ、みぎゃー。」
みぎゃー
「!?」
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
バァッアァァァーーーーン!!!!
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
黒みぎゃーは弾けて飛び散り、その魂はみぎゃーの中に吸収された。
後には、ただ静かな静寂が流れた。
みぎゃー
「終わった・・・・。
アイツ、最後に、頼んだぞって・・・。
でも今ならわかる。アイツはこの世界を憎んでいた。
どうしようも無く、争いが絶えず、なのに表面では平和を装っている。
そんな世界を混乱に導き、新たな秩序を作りたかったんだ。
それは霊と言う、現生の人類とは違った概念存在による世界。
力と恨みや妬み等が支配する、欲望に塗れた、ある意味で美しい世界。」
Tさん
「凄ぇな、お前。
まさか一人でやっちまうなんてよ。」
みぎゃー
「一人じゃないよ。皆がいてくれたからこそ、僕もこの力に気付けた。
それに元々は、貴方の事務所の設立から、そこにみぎゃ子が来た事から
物語が始まった。」
黒みぎゃ子
「結局、こうやって美味しい所を持って行く所が最高にキモいんだけど。
あ、ほら、約束のキスしてあげるわよ。ほっぺにね。
口の周りも血だらけだから、さながら悪魔のキスよね。
ありがたく受け取りなさい。chu♥」
白みぎゃ子
「パパ・・・ありがとう。もうダメだって、皆諦めてた。
だけど最後まで諦めなかったのは偉いよ、パパ。
やっぱりパパが作ってくれたこの世界、最後には救いがあったんだね。」
みぎゃ子
「ったく、そんな力があるんなら最初から出してよ・・・。
って、言いたくもなるけど、まぁ知らなかったんだもんね、仕方ないか。
そもそも、アタシのこの厄介な設定も全部元はと言えば
アンタから生まれたものだもんね。
ややこしいけどさ、今では何か、感謝してる。
だってコレがアタシの個性だし、それは他の誰にも奪えない、
アタシだけのものだから。」
みぎゃー
「皆・・・。」
最終戦に勝利したみぎゃーと抱き付くみぎゃ子達
ユキちゃん
「みぎゃーさん・・・・。
最後、私、もうダメかもって思ったよ。
もう、ここで私、殺されちゃうんだな、って。
最後にちゃんと、好きって言いたかったけれど、
それすらも言えないままに終わっちゃいそうで・・・。
だから、今ここで言うね。大好きだよ。」
みぎゃー
「!!!!!!!!!!」
みぎゃーは目を見開き、固まった。
こんなにも可愛い子からの、存在の全肯定の言葉。
それが何度も心の中で響き渡り、甘く蕩けるような幸せに包まれる。
みぎゃー
「ありがとう・・・・
ありがとう、皆・・・・。」
最期の戦いの場はいつしか、最高の感謝と愛の溢れる
穏やかで温かさに包まれた場所へと変わっていた。




