表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/44

第四十三章~エピローグ~

今日は、T霊界探偵事務所メンバー皆でピクニックだった。




Tさんは不動の金剛甲冑を使った事により霊力が落ち、


しかしもう大きな霊力の敵も現れない為、半分引退していた。




みぎゃ子も天使と悪魔のハイブリッドの力が因果切断の霊槍により


切られてしまい、霊力を落としていた。




白みぎゃ子と黒みぎゃ子はそれぞれの天使界・悪魔界との縁が薄れ


徐々に普通の人間に近づきつつあった。




ユキちゃんの癒しの力は戦いの場と言うよりも、こうした場で


皆への癒しとして存在し、調和と愛をもたらす新たな役割へと


その意味を変えて行った。




みぎゃーは現実創造の力を平和な世の中を創造する事に使い、


今ではこうして霊の存在に脅かされる事も無く、ピクニックしている。




遠くからは「みぎゃ子♂プリンセス」の3人が微笑んでいる。


彼女達もまた、Tさん達に関わる中で自身の内省を深めて、


今ではすっかり仲良しアイドルグループとなった。






幸せな午後のエピローグ





Tさん


「いやぁ~、良い天気だなぁ~。


 正直な所、自分に霊力があるからと霊界探偵事務所を開いたが、


 まぁ実際の所危険も伴うし、世間的な理解が無かったりと、


 結構難しい仕事だったんだよな~。これからはこの体を活かして、


 体力仕事でもするかな?ハッハッハ。」




黒みぎゃ子


「いや~、しかし、こうやって見てみると案外、人間界も良いもんだね。


 美味しいものはあるし、皆が平和に笑っていると、アタシももう、


 悪魔でなんていられないかも、って、あ、小悪魔、目指そうかな?」




白みぎゃ子


「皆、生きてこうして笑い合える日が来て良かったよね。


 パパ、パパが望んでいたのはこんな世界なんだよね。


 あの限界ギリギリで皆が力を出し尽くした戦いも、


 こうして幸せな未来を描くために必要な事だったんだよね、きっと。」




みぎゃ子


「アタシ達の生きた証が誰かのワクワクや想像力を刺激するキッカケに


 なれるのなら、一生懸命にやって来た意味があるって思えるよ。


 そういう物語を作る上での、パーツやコマなんかじゃない。


 一人一人が血の通った意識として動いて欲しい、そんな思いを込めて、


 自分の分身としての女装姿をベースにしたみぎゃ子と言う


 キャラクターを散りばめた。それが、アンタの狙いだったんだよね。」




みぎゃー


「僕はもうとっくにこの世界に染まってしまって、


 こちらの物語の中の住人になってる。


 だから、元々の僕が意図したものはわからない。


 いや、多分最初は単に可愛いキャラクターや、


 安易な設定から書き始めた物語なのかも知れない。


 だけど、君達が動き、少しずつその人格としての輪郭を持ち始めた時、


 そこにそうした意味が生まれたのかも知れないね。


 今の僕はただ、皆の事が愛しいよ。


 それぞれが一生懸命に自分の役割を生きて、


 それは物語であっても人生であっても


 本質的な構造は変わらないと思うんだ。


 ただ、この宇宙に価値を生み出し続ける。


 それは何次元であっても、そこにいて、


 自分を生きるだけで意味があると思うんだ。」




ユキちゃん


「みぎゃーさん…。


 私、私の思いはね、本物なの。


 作られた物語なら、そこで描かれている人の気持ちは


 願望を投影した単なる妄想で、都合よく捻じ曲げられたものだとか、


 ううん、そんな事無いの。


 ちゃんと、考えて、感じて、そうした結果、気持ちで行動したり、


 思いを伝えたりしてる。


 何より愛されるような私を作ってくれたあなたの気持ちに応えたいって、                                                             


 そういう思いが私のこの感情を作っていたとして、それって人間が神様に 


 対して抱く無意識的な感謝からの自分を好きになれる気持ち。


 あなたがこの世界を作った神様なら、私は本当に良かったって思えるの。  


 だってこうして、平和な素敵な世界の中で幸せに笑い合えるような、


 こんな世界を作ってくれた事にありがとう、って、そう思えるから。」




白みぎゃ子


「だけどさ、現実問題、Tさんがもうほとんど事務所を運営する気がない


 中で、私達勝手にずっと居候みたいな事してても良いのかな。


 Tさん的にはずっと居ても良いって思って貰えたとしてもさ、


 やっぱりちゃんとそれぞれが歩み始めてこその、


 それぞれの人生や物語なんじゃないかな。」




みぎゃー


「この物語を描き続けた想像主としての存在から切り離された僕は、


 今度はこの物語の中をどう生きるかという


 新たな想像主になったんだよね。


 そしてそれはいつまでも、可愛い皆に囲まれて


 ハーレムみたいな状況に甘んじる事じゃなくて。


 それぞれの幸せのためには、皆が独立して歩み始める事だと思うんだ。」




黒みぎゃ子


「えー、みぎゃーと離れるって言うのかよ、今更、


 せっかく甘える楽しさを知ったのに、そんなの…何でだよ!」




みぎゃ子


「やっぱ、そうなるかぁ。


 ある意味アンタらしいって言うか。


 まぁ、ちょっと期待してたアタシもバカだったかもね。


 こんなアタシでも受け入れて、愛して貰えるかもって、


 そんなワケ無いよね、中途半端だし、気持ち悪いかぁ..ハハ。」




寂しそうに笑うみぎゃ子に、みぎゃーは言う。




「それは違う!みぎゃ子、キミは充分に魅力的だよ。 


 だからこそ、自分を生きて欲しいんだ。


 ずっと僕のわがままなハーレムの一要因だなんて、


 そんな雑な扱いでキミを飼い殺すような真似をしたくないだけなんだ。


 自分なりの幸せの形を見つけるために、


 時には痛みを経験しなくちゃいけない。


 だけどそうした事が物語を現実に変えて行くんだ。


 キミを、キミ達を、


 都合の良い物語のあやつり人形でいさせたくないんだ。」




白みぎゃ子


「パパ…ズルいよ…。


 こんなに離れたく無いのに、お別れしなくちゃいけないの?


 ずっと私達が守ってあげるって、約束したじゃない。


 可愛い私達にずっと甘えて守られて、そんな生活だって、


 パパからしたら最高の幸せでしょ?」




みぎゃー


「双子の美少女の元で、何もしなくても可愛がられて甘やかされて。


 うん、最高だよ。この上無い幸せだ。


 だけどそんな、いつか終わりが来る未来を見ないで、


 ただ目を逸らしただけの今だけを切り取った妄想の中に、


 君達を閉じ込めたく無いんだ。


 僕だって、痛みを伴う決断だけど、皆の事を考えて、


 創造する力を思えばこそ、この決断は曲げられないよ。


 まぁ、いなくなるわけじゃないからさ、たまには会いに来てよ。


 その時は、思い切り抱きしめ合おうよ。」




黒みぎゃ子


「本気…なんだね。


 アタシ達みたいな可愛い双子の天使と悪魔を手放すなんて、


 最低のバカヤローだな、お前…だけど、ありがとう。


 …そこまで、アタシ達の事を、考えて…くれて……。」




黒みぎゃ子は、自然と涙が溢れていた。


そしてそれは皆も同じだった。


ただイタズラに辛い決断をしたわけでは無い。


それぞれの幸せと、その存在を作られた幻にしないために


泣きながら下した決断。


言いたい事は山ほどあった。


このピクニックくらい、楽しく終わりたかった。


それでも、止まらない涙を拭いもせずに、1人、また1人と、立ち上がり、


この場を離れる決断をした。




白みぎゃ子


「パパ、本当にありがとうね。


 私、パパに作って貰えて良かったよ。


 そしてこれからは、私自身の幸せのために生きるね。


 また会えたら、ギューってしてね。


 また会いたいから、だから今日は、もうギューしないで、行くね。


 バイバイ。」




黒みぎゃ子


「バカバカバカバカバカバカバカバカ!!


 アタシほどの良い女を手放すなんて、本当に大バカ野郎だー!!!!


  だから、次あったら白ちゃんなんかよりももっと強くギューしろよ!!


 お前なんてダイキラ…大好きなんだからな!!


 お別れなんて言ってやらない!じゃあな、バイバイ!!」




Tさん


「まぁ、女どもと違ってオレからは、ただ普通の挨拶をするだけだ。


 とは言え、お前のやった事は間違っちゃいねぇ。


 オレはもう、皆から忘れられちまってる、


 古いインターネットの中で流行った冗談みたいな存在だった。


 それを主役みたいな立ち位置に置いて、また蘇らせてくれた。


 それだけで、充分に感謝してるんだぜ。じゃあな、達者に暮らせよ。」




みぎゃ子


「何よ、バカ。本当に、こんな幸せで平和な場でお別れだなんて、何で今、 


 このタイミングなのよ、バカ。だけど、良いわ。


 もう、涙も乾いて来たから。


 アンタの優しさ、噛み締めながら、また今夜も多分涙が出るわ。


 それを何夜も繰り返しながら、アタシはアタシを生きてみるわ。


 誰が主役だかわからないような物語だけど、


 アタシはアタシの主役を生きてみるわ。


 こんなアタシの事を、カッコ良く、可愛く描いてくれてありがとね。


 また会ったら、おでこにチューくらいしてあげるよ。


 じゃあね、元気でね。」




みぎゃー


「皆…ごめん。でも、ありがとう…。」




ユキちゃん


「……。


 ……。


 あの、やっぱり私も、お別れ、しなきゃ、なんですよね…。


 どうして、夢みたいな物語から、自分を生きるって苦しい事に


 立ち向かわなきゃいけないんでしょうか…。


 いっそそれならもう、この世界からいなくなっちゃえば、


 全てを忘れられるのかな。離れるなんて…考えられない。


 私がまだ未熟だからかな。


 たくさんたくさん、痛みや割り切れない気持ちを経験したら、


 わかるようになるのかな。ねぇ、見て。


 涙どころか鼻水も、涎まで出ちゃってるよ。


 私の事こんなにグシャグシャにして、楽しい?


 酷いよ、ねぇ、何で、お別れなんて言うの、ねぇ、何で…。」




みぎゃー「ユキちゃん…それなんだけど。」




ユキちゃん


「良いよもう、中途半端に優しい言葉をかけるくらいなら、


 何も聞きたく無いよ。このまま耳を塞いで、もう2度と会わないから。


 さよなら。」




ユキちゃんは目を瞑り、


ただひたすらに辛い現実から逃げ出すように走った。


そして少し離れた所で彼女にしては不釣り合いなほどに感情的に叫んだ。








「大っキライ!!!!!!」








みぎゃーは背中を追いたかった。


彼女だけは、共に生きる選択がしたかった。


いや、むしろ、直前まで彼は、今の今まで、


泣きじゃくる彼女を抱きしめて、「一緒にいよう、ずっとこのまま」


と言う言葉をかけようと考えていたのだ。なのに、止められなかった。


彼女だけを抱き止めるなんて、そんなものは単なるエゴだ。


彼の中で大きな罪悪感が、首をもたげていた。




そんな時、声が聞こえた。






「貴様は、貴様を生きるんじゃないのか?」




それは、空から聞こえているようで、彼自身の中から聞こえていた。


あれほどに壮絶な戦いの末に自身の中に取り込んだもう1人の自分、


黒みぎゃーだった。


黒みぎゃーはそれ以上、何も言わなかった。


"自分を生きる"その言葉をみぎゃーは一瞬の間に何度も繰り返した。


ユキちゃんの人生は、ユキちゃんのものだ。


それを自分のエゴで邪魔する事は出来ない。


だが、自分の人生はどうする?


あの時抱き止めて、


自分の人生を共に生きると言いたかったんじゃないのか。




気付いた時、彼は走り出していた。




クラクションの音が聞こえる。




ユキちゃんがその身を、彼女の人生を、終わらせようとしていた。




「ユキちゃん!!」




……!!!!






間に合わなかった。




既に彼の追い付ける距離に無かった。




初めて、とめどなく涙が溢れた。






















「本当に、私の事をどうしようもないくらいに大好きな人なんですね。


 私も、どうしようもないくらい、あなたの事が大好きですよ。」






生きていた。




間に合ったのか?




それは、彼が最後に全身全霊を使って叶えた、現実創造の力だった。






黒みぎゃーの声が聞こえた。




"フン、力の使い方を本当にわかっていないな、貴様は。


 もうこの力は、私が持って行くぞ。


 そして貴様は私無き後、ただの一人の人間として生きるがよい。


 もう奇跡は無いぞ。


 等身大のどうしようもないただの人間として、その女と苦楽を共にし、


 そしてやがて抗い難い運命の果てに呆気なく灰となるがよい。


 それこそが私が貴様に、そしてこの世界にかける呪いだ。


 それでは、貴様は貴様を生きろ。”






ユキちゃんはただただ強く、みぎゃーを抱きしめた。


みぎゃーもまた、彼女を強く抱きしめた。




「もう絶対に、あなたを離さないんだから。


 何があっても、一人になんてさせてあげないから。」




「うん、帰ろう。


 今は空き屋になったあの事務所を改造して、


 あそこを僕達の家にするんだ。




本当の愛の住み処として、T(True Love)探偵事務所を、二人で創ろう。




その日の夕陽はどんなものよりも眩しく、


二人の未来を照らし出す希望の光のようであった。




-Fin-






p.s お読み頂き、本当にありがとうございました!


   ご意見、ご感想等頂けましたら、非常に嬉しいです。


   お疲れさまでした!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ