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第四十章~絶望の最終戦~

それは、あまりに圧倒的で何の望みも無い戦いだった。


霊力15万。この数字が一体どれほどのものなのか。


それは、100mを3秒で走れる者との戦いくらい、


どうしようも無い戦力差だった。


奇跡が起こったとしても、勝ち筋が全く無い。


しかし、当初のTさんの予定のような、勝てる見込みが無ければ


一旦退いて後から再挑戦すると言うような、悠長な事は出来ない。


何より、目の前の黒く大きな存在はこの場での決着を望んでいる。


行くしか無かった。たとえそれがどれだけ蛮行だと言われても。


この場にいる全員が、何の望みが無くても、ただ立ち向かうしか無い。




ハズレしか残っていないとわかっているクジを焦らされながら引くような


どうせなら、サッサと終わらせてくれと言う感覚。


しかしどこかで、何か予期せぬ奇跡を待つようなそんな不毛な感覚。




Tさんがまず、立ち向かう。




「破ぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」




過去、彼が2ちゃんねるで”寺生まれのTさん”として持て囃されていた時は


必殺技だったと言って良いこの一撃。


それが今では、蚊の刺すような何も感じない単なる痒みのようであった。




黒みぎゃー


「まずは、私に触れてみろ。」




Tさんの拳は、確かに黒みぎゃーに触れていた。


しかしそれにすら気付かれないほどに、届いていなかった。




ユキちゃんは、全員に物理結界と魔法結界を張った。


しかしそれらは一定の霊力の敵からの攻撃であれば和らげるが、


おそらく目の前の絶望的な相手には何の効果も期待出来ない。




次に、白みぎゃ子が聖なる力を込めて撃ち放つ。




「ホーリー・ランス!!!!!」




白い無数の槍が敵を目掛けて飛び掛かる。




しかし、それらは当たった瞬間に腐り落ち、何の意味も成さない。




黒みぎゃ子が続く。




「アルティメット・ビッグバン!!!!!」




黒い大きな円盤状の塊が際限なくその質量を上げて行く。


そしてそれが爆発し、やがて収束する中に敵を引き入れる。


黒みぎゃ子が使える黒魔術の中で最高位の大技だ。




しかしそれでさえ、僅かなかすり傷を与えただけだった。




「今のは少し痛かったぞ、褒めてやろう。」




黒みぎゃ子


「ハァ、ハァ・・・嘘でしょ、今のは本当に大技よ。


 そんなに何回も撃てるものでも無いのに・・・。」




そして、ようやく天使と悪魔のブレンドされた力を使えるようになった


みぎゃ子が殿を務める。




「アタシがどうなろうと、コイツには手出しをさせない!!!!」




黒い4枚の翼が生え、空中へと浮遊する。




「ほう、天使と悪魔の力のブレンドか。面白い事をしたものだな。」




「伊達に一回死んでないんでね、覚悟は決まってるわよ!!」




空中を自在に舞いながら、黒みぎゃーを翻弄する。




「く、猪口才な。他愛も無いクセに邪魔な、蚊や蠅に似ているな。」




いちいち対処するのが面倒になった黒みぎゃーは、みぎゃ子の居る辺りの


空間全体を炎で燃やしてしまう。




「熱っ!!!!!!!」




見事にその熱にやられてしまったみぎゃ子が地面へと真っ逆さまに落ちる。




「ハハハ、さながら蚊取り線香のようだな。」




文字通り、全く歯が立たない。


しかもコレはまだ、コチラからの攻撃のフェーズだ。


黒みぎゃ子からの積極的な攻撃というものはまだ、無いのだ。




「まぁ、待っていろ。ゆっくりと絶望を味合わせてやる。


 どうだ、みぎゃー。私と同化して、世界を支配する気が起こるか?」




「僕は、そんな事・・・・出来ない。


 だけど、皆の命が消えて行く事なんて、耐えられない。」




「何を一人で問答を繰り返しておるのか。


 この場で唯一、この事態を収められるのは貴様だけだぞ。」




みぎゃ子


「アンタ、絶対ダメだからね・・そいつの口車に乗ったら・・・


 本当に、世界が終わっちゃう・・・。」




Tさん


「俺達の事は気にするな。


 どうせ今までの戦いの中でいつ死んでいたかもわからん、


 ただのくたばり損ないだ。


 そんな事よりもお前は、世界を破壊してしまえるだけの力を


 そいつに与えてしまい兼ねないポジションだ。


 揺さぶられるな。俺達の事はもう、居ないものとして考えろ。」




みぎゃー


「そんな事、・・・出来ないよ。」




黒みぎゃ子


「あ”-、もう!!


 グジグジグジグジ、アタシ達の事は気にすんなって言ってるでしょ!!


 アンタは戦ってないんだから、こんな絶望的な戦いの中でアンタの事まで


 気を回せる余裕は無いのよ!!察せよ、バカ!!」




黒みぎゃ子の目には涙が溢れんばかりに溜まっていた。




白みぎゃ子


「パパ、パパがした決断は私達にとっては全て、肯定すべきものだよ。


 だってパパが作ってくれた世界だもん。


 そこで滅びるのなら、私達は本望だよ。パパが、そう望んだのなら。」




みぎゃー


「僕は・・!!


 こんな世界・・・!!


 望んでなんか、・・いないのに・・・!!!!!」




黒みぎゃー


「残念だったなぁ、私が望んでいるのだよ。


 そして何より、思いの強さと言うか、現実創造の力、そうした強い力は


 私が全て持って生まれたようだ、この世界ではな。」




みぎゃー


「じゃあ、僕は、現実創造の力を持たずにここに居ると言う事なのか。」




黒みぎゃー


「一人の人間から分かれた力だ。


 片方が全てを持っていればもう片方は全く持っていない。


 当たり前の話だな。」




ユキちゃん


「皆さん、死なない程度の怪我や傷であれば、私が全て治しますから、


 少しずつでも黒みぎゃーにダメージを、与えて下さい。」




ユキちゃんが勇敢に申し出る。


しかしそこで、黒みぎゃーが最悪の思い付きをしてしまう。




「そうだ、回復の力を持った女なのだな、お前は。


 だったら、お前を取り込めば私は、無限回復の力を得られる。


 ただでさえ最強の私が、更に不倒の存在になれるぞ。」




Tさん


「そんなの・・・最悪じゃねぇか、させねぇ!!」




しかし、息まくTさんを尻目にして、黒みぎゃーはユキちゃんを


自ら伸びた黒い触手で捕まえて、その手にしてしまう。




ユキちゃん「うぅ・・・。」


みぎゃー


「ユキちゃん!!!!!!!!」




Tさん


「おい、バカ、行くな!!


 お前までが捕まっちまうだろ!!」




黒みぎゃー


「フン、勘違いするな。


 ソイツを捕まえる事など造作も無い事だ。


 しかし融合するには、ソイツが心の底から私と同化する事を望み、


 受け入れなければならないのだ。


 だからこそ、絶望を見せ、ジワジワと心を削いでいるのだからな。」




ユキちゃん


「みぎゃーさん、私の事は・・・気にしないで・・・。」




黒みぎゃー


「うるさい小娘だ。どれ、首を絞めてやろう。」




ユキちゃん


「あ・・・がっ、・・は・・・あぁ・・・」




ユキちゃんの目が虚ろになって行く。




みぎゃー


「・・・めろ、・・・・やめろ・・・・やめろ・・・・!!」




黒みぎゃー


「フン、その程度の独り言を繰り出すだけか、仕様も無いな。


 どれ、貴様の仲間達を、起き上がれなくしてやろう。


 エナジードレイン。」




静かに放ったその一言で、Tさんやみぎゃ子達の体から力が抜ける。


霊力が吸い取られてしまったようだ。




黒みぎゃー


「ハァ、少しでもダメージを負っていれば、霊力を吸い取る事で


 多少回復にもなるのだがな、こうも無傷では、


 折角吸い取った霊力もただ無為に無駄にし、空中に捨てるだけだ。」




みぎゃー


「頼むからもう、やめてくれよぉぉぉぉ!!!!!」




みぎゃーは前のめりに倒れ込み、両手をついて泣き出した。




みぎゃー


「皆を痛めつける事はしないでくれ・・・同化すれば、良いのか?


 お前と・・・。」




Tさん


「や、めろ・・・バカ野郎。」




みぎゃ子


「アンタの事、見直してたのに・・・やっぱ、最低のへんた・・・


 いや、キモ野郎だよ。」




白みぎゃ子


「パパ・・・・ダメだよ、そんな事したら、今までの皆の努力が全部、


 無駄になっちゃう・・・。」




黒みぎゃ子


「あーあ、せっかくこの戦いが無事に終わったら、お前にキスの一つでも


 してやろうと思ってたのになぁ・・・。


 いらないのか?アタシからの・・・キスは・・・。」




それぞれが、ギリギリの意識の中で何とか喋ってはいるが、


息も絶え絶えに相当苦しそうにしている。


その姿がまた、みぎゃーの心を抉る。




みぎゃー


「だって、どうしようも無いじゃないか。


 僕なんて、霊力8の一般人だ。そして今、ユキちゃんの命が


 本当に危険にさらされている。


 世界がどうだとか、そんな事関係ないんだよ、僕には。


 僕に全てを許してくれた、あの愛しくて純粋無垢な子が、


 今命の危機なんだよ・・・・黙って、立っていられるかよ・・・」




黒みぎゃー


「クク、ようやく、覚悟が固まりつつあるか?


 良いのさ、どうせ私と貴様は元々同じ存在。


 ただ、ここに来る時に分かれた際に、


 私にあらゆる”力”が集中した。


 そのせいで私は更に大きな力を呼び込んだ。


 つまりは、悪意のみが肥大化したのだ。


 また一つに戻れば、以前よりももっと大きな、


 悪意の塊として存在する、圧倒的な者となるのだ。


 純粋なる悪意の権威、みぎゃーとしてな。」




白みぎゃ子


「ねぇ、皆、聞いて・・・。


 多分ダメだと思うけれど、あと一歩で、


 この状態を打開出来るかも知れない方法を思いついたの。


 意識が無くなる前に、聞いてくれる?」




白みぎゃ子からの意外な申し出。


一体、その秘策とは何なのか!?

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