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第三十一章~トーナメント決勝/天穿ノ剣戟④~

みぎゃ子


「さぁ、お互いに譲れないのなら、本気で闘り合うしか無いね!!」




天城 シン


「悪いが、お前とそこまでの戦いになるとは思えないがな。」




みぎゃ子は先手必勝と、天城の懐に入り込もうとするが、


一瞬で物理防御の障壁を作られて弾かれてしまう。




「痛ってぇ~!!


 ・・アンタ、早いね。」




「当然だろ。俺自身が知る中で、俺より強い人間を知らないからな。」




「だけど、こっちも勝たなきゃいけないワケ!!」




みぎゃ子が拳を打ち込むが、それもまた弾き返されてしまう。




天城 シン


「何度やっても同じだよ。


 お前は俺には勝てない。」




天城は、剣に霊力を込めてみぎゃ子に斬り掛かる。




「わっ、危なっ・・・」




しかし次の瞬間、返した剣の軌道を避け切れず、


みぎゃ子は切られてしまう。




「が・・・ぁ・・・!!」




腹の中心上の方から斜め左下に向けて大きな傷が出来、


すぐに血が噴き出す。




「あ、ぁ・・・!!!!!!!!・・・」




遠のく意識。勝負にすらならなかった。


薄れて行く意識の中で、みぎゃ子は思った。




「皆、ごめん・・・せっかく、せっかく・・・


 アタシに託してくれたのに・・・こんな、こんな終わり方・・・


 ダメだ、意識が遠の・・・く・・・もう・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・。」




一体、誰の視点から見てそうだったのか。




とても長い時間が経ったように思えた。




短く、一瞬であるようにも思えた。




会場中が、シーンとなっていた。




静かなようで、それぞれの人々の思いがうるさいくらいに


それぞれに何かを叫んでいるようにも感じられた。




どこにも主体を持った意識は無く、ただ空白の中で、


主体的な意識を持った存在を探した。




それはまるで、深い海の底に沈みゆく中で、


たった一つの糸を見つけ出し、それを頼りに上へと昇るように


繊細で、しかし希望と言うものに縋りたくなる、全ての人類の


死の間際に感じるような特別で普遍の思い。




どれくらいこの主体が不在の時間があったかはわからない。




ただ一声、「あ・・・」と、息が漏れた。




そこには、視界が開けた。




ーーーーーーーーーー




「・・・・。」




「あ、あれ・・・。」




「あた、し・・・生きてる?」




目を瞑り、目の前の光景を見ないようにしていた者もいた。


しかし、目を開けた瞬間に飛び込んで来たのは、


間抜けそうな顔でキョトンとしているみぎゃ子だった。




「あ、れ・・・?何、で・・・・?」




天城は切りつけた後、一体何が起こったのか、その間の記憶が


抜け落ちてしまっていた。


まるで会場全体が意識障害に陥ったか、気絶していたような感覚。


しかし確かに、みぎゃ子は起きていた。




「お前、何故、生きている?確かに瞳孔が開き、倒れ込み・・・」




天城もヒドく動揺しているようだった。




そこへ、白みぎゃ子が口を開いた。




「覚醒したのですわ。」




みぎゃ子


「かく、・・・せい?」




「私と黒ちゃんで計画した、あのバトルロワイヤルの景品、


 霊力を2倍にする秘薬。アレは単なる霊力を上げるだけの秘薬では無く、


 私と黒ちゃんの霊力を込めていたの。こうなる時が来る事を予測してね。


 みぎゃ子ちゃん、あなたは今、天使と悪魔の両翼の力を持つ、


 そう、まるで堕天使ルシファーのような存在として、甦ったのよ。」




「ルシ・・・ファー?・・・。」




そう、みぎゃ子がキョトンとし続けていると、突然みぎゃ子の背中から


メキメキと音が鳴り始め、それはあっと言う間に




黒い翼が生えた。





みぎゃ子


「天使と、悪魔の血が混ざりあう・・・堕天使、ルシファー・・・。」




みぎゃ子は最初、いまいち飲み込めないような腑に落ちない顔をしていた。


が、やがて表情は確信に変わった。




「あ、・・・あはは。なるほどね、わかった、わかったよ。


 コレで良かったんだ、そう!勝てる、だって勝てるじゃん!!


 だって、ホラ、こんなにも・・・・・


















私は強いんだから!!!!!!!!!!!!!











みぎゃ子が翼を天城に向かって風を送るように強く扇ぐ。


天城の周囲にある石ころや草が吹き飛ぶ。


天城自身もかなり吹き飛ばされそうになっている。




みぎゃ子


「ねぇ!!ホラ!!


 アタシ達に勝たないといけないって!?


 アタシ達が弱いって!?


 コレを見ても、まだそんな風に言えるの!?」




みぎゃ子は何度も風を強く送り、ついに天城はふわっと浮いてしまう。




天城 シン


「何という力だ・・・!!


 堕天使、ルシファー・・・そんな者と同じ力が、存在しても良いのか!」




みぎゃ子は翼を器用に使い、天城の目の前まで来て、軽く霊力を練り、


それを天城に向けて放った。




「ぐぉわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」




みぎゃ子にとっては造作の無い攻撃だったが、


天城にとっては強力な一撃となった。




みぎゃ子


「何コレ、マジで反則級じゃん・・・どんだけ強いの?


 今のアタシ。」




白みぎゃ子


「みぎゃ子ちゃん、あまり自分の力を過信してはダメよ。


 今は力のコントロールが出来ずに暴走してる。


 後からその反動が来ちゃうから、早く試合を終わらせるのよ。」




みぎゃ子は暫くボーっとその言葉を聞いて考えていたが、


ふと我に返り、答えた。




「あ、そっか。早く、この戦いに勝って終わらせなきゃ。


 それから、ゆっくり皆を癒し・・・あ、でもこの世界の真実も。」




天城 シン


「何をよそ見をして考えている!!


 お前の相手はまだ、やられてはいないぞ!!」




天城が両手で剣を持ち、大きく振りかぶり、


みぎゃ子の背後から飛び掛かって来た。




みぎゃ子


「別にアンタの事、悪人だとも思ってないよ。


 だけど、残念ながらアタシ達の方が、この世界の真実を知らなきゃって


 気持ちが強かっただけだよ。時には非情に、勝たなきゃだから。


 ごめんね。」




そう言うとみぎゃ子は、渾身の一撃に霊力を込めて天城に向けて放った。


数秒を堪えた天城だったが、やがてそのあまりの霊圧に耐えかねて、


遠く会場の端の方まで吹き飛んでしまった。




天城 シン


「ぐはぁ!!!・・・グ・・・・コレは・・・・クソ、勝てぬ。


 このまま無駄に戦い続けた所で、結果は見えている。


 クソ、終わりだ。・・・・降参だ、チクショウ。」




その言葉を聞いたみぎゃ子は、ふぅとため息をついた。


張っていた気がふっと軽くなった瞬間、羽がみるみるうちに消えた。




「ありゃま!消えるんだ、羽。」




両チームともに、多大なダメージを受けた総力戦。


そしてここに、勝利チームが決定した。




やがてTさんチームの前に、ゆっくりと拍手を打ちながら、


一つの影が現れた。




「おめでとう。キミ達がここまで勝ち上がってくれて嬉しいよ。


 そして、ここからは、この世界の真実を話そう。」

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