第十九章~みぎゃ子 VS 美琴~
「私には、少しだけ未来を見通す、未来視の能力があります。」
霊界バトルロワイヤルの準決勝2回戦で突然、美琴が語った。
「とは言っても、そう都合良くいつでも、というわけではありません。
だけど、ここぞという大切なタイミングで、視える事があります。
そして私は悟りました。私では、あの火の男、ゴードンは倒せない。」
みぎゃ子が口を挟む。
「え、でも美琴さんがこの大会では優勝候補第二位だし、
霊力だってゴードンに次いで強いじゃん?
アタシなんて全然ダメダメだし、美琴さんでダメなら、
もう棄権するしか無いんじゃあ・・・。」
「いえ、もう一つ見えた未来があるのです。
それが、みぎゃ子さん。あなたに私の力を託す未来です。」
「えぇ!?アタシに、美琴さんの力を託す?
それって、その未来視の事!?
アタシ、そんな力使いこなせる自信無いよ(汗」
「未来視と言っても、色々とあります。
私は精神を集中して、ある程度大まかな流れを視ます。
何がどうなるのか、数秒の未来の輪郭が視えます。
しかし、みぎゃ子さん。
あなたは、もっとアクティブな未来視が出来ます。」
「アクティブな未来視?え、どういう事?」
「あなたの先ほどまでの試合を見るに、非常に運動神経が良い。
そしてそういった人が未来視の力を持つと、1秒先の未来が視えます。」
「1秒先・・・。それを視て、どうするの?」
「相手の攻撃を1秒先に読めれば、あなたならそれを避けられる。
もちろん、避けてばかりでは試合になりません。
だけど、相手はあのゴードンです。みぎゃ子さん、わかりますか?」
「え?火の男・・・。
最初っから結構飛ばして自分を燃やして、ダメージキツそうだよね。
って、え、アレ?もしかして・・。」
「そうです。ただ、彼の攻撃を避け続けるだけで良いんです。
彼はいつも短期決戦をしていました。つまり、長期になれば
自身へのダメージの蓄積も多いいのです。
彼の自滅を狙い、ずっと未来視で見える1秒先の攻撃を
避け続けて下さい。それで自滅を待つのです。」
「なるほど・・・。未来視の力って、
一度受け取ると今後もずっと視えるようになるの?」
「いいえ。私のように自分で獲得したもので無ければ、
継承してもせいぜい15分が良い所でしょう。」
「なるほど。それまでにゴードンが自滅しなければ、
未来視は消えてしまうのか・・・。」
「えぇ。ですから、これは賭けです。
私はあなたが勝利する未来を視たのですが、
未来はあくまでもこれからの行動により結果が変わります。
あなたが流れの中で、ベストを選び続けてくれれば・・。」
「わかったよ。受け取るよ。アタシがゴードンに勝つ方法は、
今はそれしか無いんだ。そしてすぐに決勝戦を始める。
迷ってる暇は無いからね。」
「わかりました。そして、ありがとうございます。
どうか、火の男、ゴードンを倒して下さい。
彼のチームメイト達は良からぬ計画を立てています。
ゴードンのような自己犠牲の上に成り立つ強者を量産し、
自分達の地位を確かなものにしようとしているのです。」
「何だかわからないけど、とにかく悪いヤツらって事だね。
さぁ、未来視の力、アタシに与えてよ。」
「では・・・。」
美琴が独特な所作の舞を少し踊った後、手に持った金色の錫杖をみぎゃ子に向けて、「ハッ!」と掛け声を掛けた。
すると一瞬、みぎゃ子の体中に電気が走ったような衝撃があった。
「ハイ、完了です。みぎゃ子さんは器があるから、託せたのです。」
「えぇと・・・何も変わっていないような?」
「未来を視ようと、意識して下さい。
眉間の少し上から、映画を上映するイメージです。」
「わ!今視えてる視界と別に、何か頭の中に映像が出た!」
「それです。成功ですね。
では、力が消えてしまわないうちに、早く決勝へと進んで下さい。
私はここで、棄権しますから。」
「ありがとう、美琴さん。アタシ、必ず勝つよ。」
「えぇ、信じていますよ。それでは。」
かくして、みぎゃ子は決勝戦の開始を急ぎ、
丁度、ゴードンも準備万端といった所でステージに上がって来た。
怖がらせるようなわざとらしい口調でゴードンが言う。
「さぁ、始めようか。
このバトルロワイヤルで二人目の死人を出してやるぞ。」
霊界バトルロワイヤル、決勝戦の火蓋が切って落とされた。




