第十八章~ウルフィー VS ゴードン~
「てめぇ、そんなに自分の体を燃やして、いつまで持つんだ?」
眼帯の慈善活動家、ウルフィーが言った。
霊界バトルロワイヤル準決勝一回戦は、このカードの対戦となった。
どちらも優勝候補ではあるが、ウルフィーは候補第三位。
霊力もゴードン6900に対してウルフィー6200と、やや差がある。
最も、試合は必ずしも霊力だけに依存するとは限らないのだが。
「短期決戦で行くぞ!特にお前みたいに中途半端に強いヤツは、
長引くと面倒だ。全てを燃やし尽くして、決勝もその勢いで
私が勝つのだ!ハハハ!!」
ゴードンはより一層、自身が纏う火の勢いを強めた。
試合後にはサポートの仲間が冷やしてくれるとは言え、
彼のダメージはかなり蓄積しているものと思われる。
それでも、その犠牲を伴う力はやはり圧倒的なものだった。
「クソ!コレじゃあ近づけないどころか、コイツの格闘術、
間合いにすぐに詰め寄られちまう!」
ゴードンはウルフィーの目の前でしゃがみ込み、顎を目掛けて
アッパーを繰り出した。
「ほぅら、炎のアッパーカットだ!
皮膚の薄い部分に熱を加えられるのはたまらんだろう?」
ゴードンはあくまで余裕といった面持ちだ。
対してウルフィーは、この攻撃がモロに効いているようだ。
「クソッ、単に火ってだけじゃなく、体術が強いんだコイツ!
迂闊に近寄れねぇし・・こうなったら霊力で飛び道具を・・」
しかし次の瞬間、ゴードンは大技を繰り出した。
「させぬ!させぬぞ!ローリング火の輪潜りだ!!」
ドーナツ状に火の輪となった霊力が、幾重にも繋がり、
ウルフィーを丸ごと包み込んだ。
そして、ゴードンが両手をギュッと合わせると、炎の輪が
ウルフィーにフィットするかのように縮小した。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
ウルフィーはあまりの熱さに耐えきれず、大声を上げた。
そしてそのまま、グッタリと試合会場の床に倒れ込んだ。
「とどめだ!!」
更に火の玉をサッカーボール程度の球にして、
ウルフィーに叩き込んだ。
「がぁぁぁぁ!!!」
ただでさえ倒れ込んだ所に追い打ちを打ち込まれて、
ウルフィーは静かになった。
「ククッ、死んだ、か?」
その時、先ほどの試合でウルフィーと戦った紫陽が叫んだ。
「もうやめて!あなたの勝ちで良いでしょ!
彼はもう戦意も無いし、これ以上やると死んじゃう!!」
その言葉に会場中がシーンと静まり返った。
しかし、ウルフィーは立ち上がらなかった。
「ほぅ、やはり、死んだようだな。脆いものだな、人間とは。」
そう勝ち誇りながら、自身の火による火傷を癒す為、
すぐに仲間達の元へと走るゴードン。
リングの上に横たわるウルフィーの亡骸を、紫陽が抱きしめる。
「酷い、酷すぎる!!
何も、命まで奪う事無いじゃない!!」
Tさん、みぎゃ子、ユキちゃんはただ黙っていた。
まさかこのバトルロワイヤルで命が奪われてしまうとは。
そしてそれは許されているのか、そもそも運営、主催者は一体。
そして何より、みぎゃ子は次の試合と、もしかしたら決勝に進めば
ゴードンと戦わなければならないのだ。
みぎゃ子は棄権をしようと考えた。
しかしそこへ巫女の美琴がやって来た。
「あなたには伝えたい事があります、みぎゃ子さん。
次の試合には出て下さい。そこでお話します。
大丈夫、あなたを傷付けたりはしません。」
みぎゃ子は次の美琴との試合で、一体何を伝えられるのだろうか。




