第一章~みぎゃ子~
「キャアァァ!!」
ある日の日常の街中で、女性の叫び声が響いた。
そこには、小鬼のような生物が女性のバッグを奪おうと、
長い爪を引っかけて力づくで引っ張っている。
「だ、誰かぁ!助けて下さい!!」
しかし、近くにいたのは小学生男子3名と杖をついた老人で、
彼らは足早に踵を返して逃げ出してしまった。
「ギィィ、ギィギィ!!」
小鬼の力は圧倒的というほどでは無いが、女性が抗いきれない程度に
大きめの成人男性の体重程度の過重が加わっている。
「大事なものがいっぱい入ってるの!離して・・・」
しかし、小鬼の目的はどうやらバッグでは無く、女性自身らしかった。
女性が必死にバッグを引っ張る間に、小鬼は一瞬手をパッと離して、
前のめりに倒れ込む女性の顔目掛けて、鋭い爪を突き立てて来た。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
ーその瞬間ー
小鬼は、向かって来たのと逆方向に吹き飛ばされていた。
何が起きたかわからず、宙で唖然とする小鬼に向けて、
「セコい戦い方してんじゃねーよ!
やるなら正々堂々と、アタシみたいな強者と戦いな!」
と、威勢の良い声が聞こえた。
見ると、ツンツンした髪型にチョーカー、青い肩出しシャツに
スタッズの付いたベルトと黒の短いスカート、足元はニーハイに
ショートブーツを履いた少女が立っていた。
「ホラ、かかって来いよ?」
小鬼は一旦は地面に叩きつけられた後、態勢を立て直したようだったが、
自分を突き飛ばした存在に焦りと恐怖が見える。
「来ないのか?じゃあもう、サッサとケリを付けさえて貰うよ?」
少女はグッと右足に力を入れると、足の周りにモヤがかかったようだった。
そしてそれを大きく振りかぶり、小鬼目掛けて強く打ち叩いた。
「グウェラバヤァ~~~~~~~~!!!!!!!!!」
鳴き声では無い、意味不明な悲鳴を上げて、小鬼は飛び上がり、
そしてその2秒後、空中でパァン!と弾け飛び、霧散した。
あっという間の出来事だった。
「あの、大丈夫ですか?」
少女が女性に走り寄る。
「えぇ、私は無事です。・・ええと、あなたは?」
「あぁ、少し霊感がありまして、霊感ってよりも霊力ですかね。
ホラ、最近、街に小さな化け物が出るようになったって、
ニュースで言ってるじゃないですか?
アレを退治して、その様子を衛星ドローンが確認する事で
国とかから報酬を頂く仕事をしているんですよ。」
「そうなんですね・・・。本当に最近、突然あんな化け物が出るって、
ニュースでは見ていたけれど、まさか自分の元になんて・・・。」
「そうですね。幸い、出現しているのは小物ばかりで、
まだそこまで社会への影響は大きくは無いのですが、
もっと強いのが現れ始めたら、社会は大混乱でパニックです。
だから、退治をしながら、根本原因についても調べているんです。」
「お若いのに、本当に素晴らしい事をされているんですね・・・。
何にもしてあげられませんけれど、どうかお体に気を付けて、
頑張って下さいね。」
「ありがとうございます。それじゃあ、お気を付けて。」
ー少女の名は、みぎゃ子。
コレは本人が名乗っているもので、本名では無いかも知れない。
謎の多い少女ではあるが、確実に世の中の為になっている。
物語はまず、彼女を軸として動き始めるー




