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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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こどもの日だった

 昨日はこどもの日でした。

 こどもの日――。祝日法(国民の祝日に関する法律 昭和23年法律第178号 第2条)曰く、こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日とのこと。そうなの!? 母ちゃんにも感謝する日なの!?

 幸福をはかれそうな子供が身近にいないので、取り急ぎ母に感謝を捧げることにします。ありがとう、母。おかげさまであなたのこどもはスクスクとこんな年齢になり、武士一人養えるようになれました。戸惑わせる方向に成長してほんま申し訳ない。


「こどもならここにおろう!」


 しかしここで武士が割り込んできた。

 控えおろう! かように無精髭がまばらなこどもがおるか!


「起きたばかりであるゆえ」


 それよりこどもならここにいるってどういうことだよ。シルバニアなファミリーたちのこと? ハムスターのこと?


「否、某」


 寝言をほざきやがる。


「しかし、考えてもみよ。人はいつから稚児であることをやめる?」


 そりゃ法律で決められた年齢になったらだろ。


「え?」


 え?

 ……あ、そうか。武士は馴染みないよな。ここでは満18歳から大人として見なされるんだよ。お酒やタバコは20歳からだけど。


「しかし、四十を超えても分別がついておらん者もおる」


 まあいろんな人間がいるから……。

 いや待て。よく考えたらお前の時代は15歳ぐらいで元服じゃなかった?


「ばれたか」


 ばれたかじゃねぇよ。じゃあお前だってとっくにこども時代とはおさらばしてるじゃねぇか。


「だが、ずっと大人である必要もなかろう。今日だけは、心を稚児に戻し、稚児のように楽しんでもよいのではないか」


 武士……。

 そうだな、それもありかもしれない。ずっと大人だと疲れちゃうもんな。

 それじゃ、今日だけはこどもに戻ろうか! 武士、何かしたいことはあるか!?


「二度寝」


 寄る年波に童心が負けてない?

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