休日出勤
まずは休日出勤して、少ない業務をこなしつつ慣れていけばいい。そんな上司の提案をありがたく採用させてもらい、私は今日会社に来ている。
それを“慣らし保育”と言ってきた同僚の背筋は念入りに伸ばしておきました。
そういうわけで、今日は休み明けの業務をスムーズにする程度の簡単な作業をして帰るつもり……
“だった”。
先輩が、電話のあとこちらを振り向くまでは。
先輩「客先のサーバーでトラブルです。データ復旧作業のためマンパワーが必要になりました」
うおおおおおおお!!!!
社内にいた人員、そして平身低頭で呼んだ助っ人数名で客先へGO! 粛々と作業を済ませてふと顔を上げるとなんと夜の10時。嘘だろ。
さすがにノー連絡でこの時間は武士の不興を買うに違いない。でも私も残業できるぐらい体力が戻ってきたんだな……。
そうしみじみとしながら帰宅した私の目に飛び込んできたのは!
「おかえりでござる」
ハエ叩きを手に、ふんどし一丁で仁王立ちする武士の姿だった。
どうして私はここが自宅なのだろう。
「風呂上がりに虫を見つけたゆえ、退治しようと思ってな」
お、そうだったんだ。それはご苦労様です。
「見失って既に四半刻」
三十分も経ってんの?
「なお大きさはこれぐらいの黒光りするあやつ」
でっっっっか!!!! でっかG!!!! 頼むから絶対仕留めてくれ!!!!
「ところで大家殿、本日の勤めはどうであったか」
今それどころじゃねぇー!!!! 家ん中密やかに闊歩してる黒光り探すぞ!!!!




