27 準備
─チュンチュン…チュン……─
鳥たちは、どんな時でも朝を告げてくれるらしい。
「ん……」
「おう勇気、起きたか」
「ああ…おはよう貴康──貴康ッ!?」
早朝眼の前に飛び込んできたのは惚れた相手で、その上彼は筋トレ中であり朝日の差し方も手伝って最高に絵になる瞬間だった。大げさな反応にもなるだろう。
「おっ、おう…おはよう勇気。…大丈夫か?」
「あ、ああ心配しないでくれ、ちょっと寝ぼけていただけだから」
「そうか、…良かったよ副会長にも抜けてるところがあって」
「どういう意味だ…?」
「学校で勇気の噂聞くと、妙にぶっ飛んでて人間らしい話が出てこねえんだよ。腕の一本や二本折られても笑顔だったとか、本当に誰にでも優しいから逆に心がないとか」
「……噂なんだよな?」
「その筈だぜ? …目撃者は数人居るみたいだけど」
「信憑性あるじゃないか……。まあ、今の生徒会を見ていると実感はするな。"星野勇気"がどれだけお人好しなのか」
「だな。美麗の一件で俺も感じたぜ…、ありがとな勇気」
「えっ、ああいや、お礼を言うならこの世界の"星野勇気"にだな……」
「…いくら記憶喪失だからってそれは回りくどくないか?」
「そうかもな…。いやでも大事なことなんだ、これは」
「んん…そうか? ──じゃ分かった、ありがとう記憶喪失前の勇気!」
中藤貴康は虚空に手を組んで感謝を述べた。それは理解に及ばぬこともとりあえず受け入れてみるというある種優しさの発露だろうか。
「──で、今の勇気にもありがとう、だ。言っとくけど、今のお前への感謝を取り下げるつもりもねえからな」
「……分かった、受け取るよ」
「へへ、安心だ。──さて、そろそろ朝飯の準備しねえと。適当に寛いでてくれ、出来たら呼ぶ」
「まさか、俺も手伝うよ」
「えっ、良いのか? ……なんつって、ちょっと期待してたとこある。じゃ、行こうぜ」
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勇気と貴康の二人は献立の相談などしながらリビングへ向かう。そして着くやいなや、手際よくキッチンで作業を始めるのだった。
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─しばらく後─
──「…ふあぁ……、おはよう兄さん……」
眠い目を擦りながら、中藤美麗がリビングに現れた。
「おう、おはよう」
「おはよう美麗──…って、なんだそれ?」
勇気は、美麗の右腕を見て尋ねた。なんと宇宮鶴城がしがみついているのである、彼女は完全に寝ぼけているようだが……。
「ん、ああこれ、鶴城だよ。一緒に寝るといつもこうなんだ、可愛いだろ? いつも見栄張ってたから、最近またこういう姿が見れて嬉しいぜ」
「……俺に見られたって知ったら不味いんじゃないのか」
「──あ、そうかも。ちょ、ごめん、一旦戻って起こしてく──」
そう美麗が言いかけたとき、もぞもぞと鶴城が動く。どうやら遅かったらしい。
「……別に、そこまで短気でも見栄張りでもないよ美麗じゃないんだから。…おはよ」
「なっ、てめ──起き抜けから頭フル回転でなによりだぜ……。兄さん、ご飯出来てる?」
「ああ美麗、丁度終わったとこだ。今日は勇気とのコラボレーションだ、旨いぞ」
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和気藹々とした食卓を過ごし、勇気達は制服に身を包んで学校へ向かう。
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その道中。
「さーて! いよいよ練習もクライマックスだぜ! 今日も思いっきりハードにするから、付いて来いよ副会長?」
「もちろんそのつもりだ美麗、迷惑はかけない」
「もう一声欲しいな、「俺が支えてやる」くらいの気概で行ってくれ。週明けにはもう本番だぜ?」
「む…そうか、その通りだな」
「……ほんと、美麗って無限にガッツ湧いてくるよねー」
「他人事みたいに言うな鶴城、お前を見習ったんだっつの」
「え──そんな私に依存してたっけ美麗って……」
「そうだぞ。もう黙って離れんなよ頼むから」
「…はいはい、約束」
鶴城の返答を聞いて、美麗は嬉しそうに親友の肩へ手を回した。勇気はそれを見て平穏を感じると、今度は貴康の方へ目をやる。彼もまた同じ心境なのだろう。暖かく微笑んでいた
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登校後。息切れ必死の朝練を終え、勇気は生徒会室へ急ぐ。すぐさま朝の業務へ取り組むために。
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「おっはようございます ふくかいちょうっ!」
扉を開けるやいなや、天上真白が勇気の胸へ飛び込んでくる。
「うっ、ああ、おはよう真白」
真白を受け止めつつ生徒会室を見渡すと、生徒会長 天上美咲と木崎恵の二人が居る。早朝に集まるメンバーはいつもこの4人だ。
「おはよう勇気、練習頑張ってるみたいね?」
「ああ恵、もうすぐ本番だからな。軽音部の皆も張り切ってたよ」
「そう…良かったわ」
恵はほんの一瞬、意味深に黙った。今の勇気なら、その理由も分かる筈だ。
(昨日、貴康から聞いた"拷問"…。きっと恵も、今は後悔しているんだろう、たぶん"星野勇気"のお陰で)
「──……いいよね、美咲?」
「…ええ。勇気さんにはもう一度、知っていただかねば」
ふと、美咲と恵が示し合わせたように頷いた。
「ごめんなさい真白、副会長に大事な話があるの。外してもらえる?」
「え、…うん ねえさま、わかった」
真白は言われた通り、仮眠室へ消えていった。
「……それで、勇気。……ええと…話があるの」
恵は言い辛そうに、ゆっくり語り始めた。
「…どうしたんだ?」
勇気は恵を助けるように、柔らかく聞き返した。恵は深呼吸をして、言葉を続ける。
「…もう散々聞いてるわよね? "圧政"のこと」
「ああ。…ここ最近の出来事を経験していれば、嫌でもな」
「…詳しく話すわ、よく聴いて。──2年の春…早々に生徒会長へ就任した美咲は、より良い"健全な"学校を目指した。有意義で、生産的で、清く正しい学校を……」
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──1年前
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教室。美咲の机に軽音部の美麗が迫る。
──「おい生徒会長!! これは一体どういうことだ!?」
美麗は1枚の通知書を叩き付けた。
「……書いてある通りよ。軽音部には無期限の活動休止を言い渡します」
「納得できないって言ってんだ。こっちの話をちっとも聞いてくれなかったのに、突然こんな通達…!」
「話し合いは充分に行われたわ。歌詞と曲調、並びに活動場所についてのガイドライン…、「同意しない」のであれば、それは契約違反と言えるでしょう。部活動とは学校の許可を得て行うものと忘れたのかしら?」
「何がガイドラインだッ……校内での演奏が出来なくなるだけじゃねえ、学校の外でさえ活動を許されない! そんな指標になんか何の価値もねえだろ!!」
「…はあ……よく理解していないようね。そんな事は書いていません、要件を満たせと言っているの。…まだ、納得出来ませんか」
「当たり前だ!」
「では従わないと?」
「ああ、従えない! あんたらには、今後二度とな…!」
「なるほど、…よく聴きなさい。生徒会が掲げるガイドラインは、言わば校内における秩序です。あなたがそれを乱すというのなら、我々は裁かねばなりません」
「…はっ、脅すのか? 生徒会が聞いて呆れるぜ、屈してたまるかっ」
美麗はそう吐き捨てて、教室の出口に手をかけた。
「な──……開かない?」
「最後の確認です、中藤美麗。あなたは、秩序を受け入れないのですね?」
美咲はゆっくりと立ち上がり、美麗の背中に迫る。
「…っ、あれは秩序じゃない。ただの枷だろうが!」
「受け入れるのか、受け入れないのか、答えなさい」
「受け入れるわけねえだろ!!」
「……残念です。──恵、お願い」
美咲の言葉が聞こえた瞬間、美麗の意識は一瞬にして途切れた。
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その後美麗は、見知らぬ部屋で目覚める。
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「──ッ!! なんだ…? ここ……!?」
目覚めた美麗は身を動かすが、動かせない。手足を鎖で縛られ、椅子に拘束されていた。
「おはよう、中藤美麗。こんな結果になって本当に残念、せっかく引き返せたのに…」
「お前は…ッ?」
「生徒会の木崎恵よ、不安因子の処理を任されているわ。安心して、すぐに済むから」
恵は座して腕を組み、値踏みするような視線を送った。その後、手元の端末を操作して、立ち上がる。
「校内の皆、生徒会による緊急放送です、お近くの画面を御覧下さい」
部屋の壁からカメラがせり出し、美麗の顔を映した。
「校内に…放送されてるのか……!? ──皆!! 生徒会は普通じゃない…! あんな奴らに従っちゃ──」
「ごめん説明が抜けていたわ、美麗。喋らないように」
「んだと──」
───ボグッ!─
美麗が叫んだ直後、恵は彼女の腹を強く殴った。
「ごァ…はっ……ッ!?」
「喋るなって言ったわね? ──さて皆、先日掲示したガイドラインは熟読した? あれはこの学校の新たな秩序となる規則なの、つまり…破っちゃいけないものなのよ」
恵は言いながら、美麗を見下ろす。
「彼女、1-C 中藤美麗は、それを知りながら故意に生徒会の指示を無視した…。つまりは違反、違反したものには当然罰を──」
「ふざ…けんな……ッ!!」
「"ふざけんな"?」
恵は、足を振り上げ、美麗の顔面を蹴りつけた。
─ガッ!─
「グッ…ゥ……!」
「本当に心外ね。これはこの学校に必要なことなの、私達がより良く成長するために」
「なにが…成長だ……! 人間ってのは──!」
─ゴズァッ!─
言葉の途中で、今度は腹に蹴り込まれる。
「ぉごッ……ぐゥ…! ッ、人間ってのは…そんな単純じゃねえ! たった一つの指標だけじゃ駄目なんだ…もっと……もっと自由に道を選べる筈なんだ!!」
「……チッ」
───ガダアァンッ!!─
恵は美麗を椅子ごと蹴り倒し、床に踏み付ける。
「ッ……ぅ、だから…、だから…ッ!! こんな──あ゛ぅッ!?」
今度は腹を踏み降ろし、言葉を封じた。
「ハァ……。ごめんなさい皆、なにぶんこっちも初めてなもんだから手間取ってるわ…。──で、本題ね、これから彼女には罰を与えます。…不安になるかもしれないけど安心して、余程のわからず屋じゃなければここには来れないから。これを見て、最後の一線だけは超えないように気を付けなさい」
恵は美麗を蹴り起こし、再び椅子に座らせた。
「1-C 中藤美麗。ガイドライン違反、並びに複数の執行妨害により…──あぁ不運ね、ライン超えてる。A判定の違反行為と定まりました」
恵は一瞬 にやりと笑い、美麗の腕を縛っていた鎖をほどいた。
「ッ、てめェッ!!」
その直後美麗は果敢に殴りかかるが、あっさりと腕を掴まれてしまう。
「窮鼠のくせに、猫も噛めないとは……。まあ良いわ、これは利き腕?」
「──はぁ…!? だったら何だよ、離せよ…このッ!!」
「そう、じゃ丁度良いわ。──A判定の罰は、"数ヶ月に渡る物理的な違反防止"。腕一本が適切ね」
恵は、掴んだ腕に力を込める。
「ッ、え──」
美麗が理解する前に、それは行われた。
───メキッ…!!─
「──ゔ、あ゛あぁッ!!」
腕を折られた美麗は痛みにのたうち回る。恵はしばらく面白そうに見ていたが、やがてカメラの方を向いて語り出す。
「……勘違いはしないで欲しいのだけど、これは故意に違反し、過度に抵抗した結果よ。我々生徒会は違反者を容赦しない、けれど故意でないなら許す、やむを得なかったのなら許す。一方で、嘘を吐いたら重い罰、抵抗すれば更に酷い。…簡単よね? 我々はシンプルな対応を心がけていくわ、だから皆もシンプルに考えるように」
恵は画面の奥へ微笑んだ。その横では、うずくまった美麗が呻いている。それはあまりに不気味な光景だった。
「さて、これで放送は終わりよ、今後とも生徒会をよろしくね。ご協力ありがとう、美麗」
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こうして、生徒会の"圧政"は始まった。
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「──知ってほしいのは、今の私と、"圧政"の私は、どちらも"私"ということ……。私は人を痛めつけるのが好きなの、忘れようとしても感情までは振りほどけなかった。……それは、美咲も同じ」
目を伏せたまま話す恵の言葉に、美咲はゆっくり頷いた。
「…ええ。私の感情は、今でもあのような規則に支配されているのです。良くないものだと理解していても、私はあれを忘れられていない……。今の軽音部の活動を見ても、劇場の建設を自分で決めた今でも…私は……。心の何処かで、あの支配を求めているのです…」
美咲は拳を握り締める。それが悔しさを、自分への怒りを表しているのだとすぐに分かる。
「…勇気さん、あなたは記憶を失っています。……もし、この話を聞いてなにか思う所があれば、生徒会を──」
「そこまでだ、美咲さん」
「え……?」
「確かに、もし俺がその場に居てその光景を目にしていたなら、必ず激怒していた。今でさえ、怒っていないといえば嘘になる。……いずれ、道を違えることもあるだろうな。でも──」
勇気は一呼吸置いて、言葉を続ける。
「──それは卒業してからだ。俺は副会長として、生徒のやりたいことを出来る限り手助けする。それは生徒会長相手でも変わらない。…元々の"星野勇気"だって、俺であるならそう考える筈だ。まあ、"責任"ってやつかな」
「……」
美咲と恵は、沈黙したまま聞いている。
「あと、美咲と恵の二人ならもう大丈夫だと思う。どんな感情があったって、もう人を傷つけるつもりはないんだろ?」
「え、ええ、もちろんそのつもりよ…。でもいつまた暴走するか──」
「しないさ、信じるよ」
「……全くあんたは、さらりとそういう事を言うわよね…。正直、助かるわ」
「私達はもっと…、在り方を考えなければいけませんね。……時間を取ってしまい申し訳ありません、勇気さん」
「いいや、話してくれて嬉しかったよ。ありがとう、二人共」
「……週明けのライブ、楽しみにしています」
「ああ。こっちも週末の調査報告、楽しみに待つよ」
もう少しで、何かが大きく変わる。生徒会長と副会長は、お互いにそう思っただろう。
──キーンコーンカーンコーン──
「っと…時間だな、行こう恵」
「そうね。じゃあ美咲、また昼に」
「ええ、良い午前を。──真白、もう良いですよ。時間をかけてごめんなさい──」
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勇気達はチャイムに従い、それぞれの教室へ向かった。その後は懸命に学校生活を過ごし、時間はすぐに午後へと着いた。
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───ガチャ─
「お疲れ様──って、もう皆居るのか」
生徒会室の扉を開けると、そこには生徒会の面々が全員揃っていた。
「お疲れ様、勇気。丁度週末の予定を立てていたところよ、あんたの記憶に関することなんだから作戦会議くらいは参加しなさい」
「そうだな、恵。今どんな感じだ?」
「とりあえず足取りを辿ってみる事にしたの。…ええとごめん小百合、説明頼める?」
「はい恵先輩」
進藤小百合は携帯を片手に説明を始める。
「まず、行き先の予測は済んでいます。結愛ちゃんからの電話に「すぐ帰る」と返答してから、30分前後で帰宅…これを元に行動範囲を割り出しました。その中の候補地から勇気先輩に縁のある場所を結愛ちゃんに尋ねた結果…」
小百合は端末を操作し、中央の机に周辺地図を映し出す。そして、いくつかのポイントを差した。
「ここです。海水浴場と…水族館、そして海洋博物館…ですね。海沿いだったのでそれらしい場所ばかりですが…」
「結愛、この中でも一番印象に残ってるのは?」
「うん鶴城、…ええと、海水浴場……かな。二人して溺れたことがあったんだ」
「溺れたぁ? なにそれ」
「ああそれは…私が最初に溺れて、お義兄ちゃんは私を助けようとして溺れたの。私はもちろん、お義兄ちゃんも「すごく恥ずかしかった」ってよく覚えてたみたい」
「……なるほど、吊り橋効果か。じゃ、会長達が監視カメラを辿る他に…結愛と私がそっち行くのはどう? 何か分かるかも」
「でも鶴城、監視カメラを辿るんだったら映像を見るわけだし…私はそっちに行きたいな」
「あぁ…そっか……じゃあ、私一人で行くかぁ、なーんか気になるんだよね。そうだ姉さんが一緒に──なんて、無理か……」
「別に良いよ? 鶴城。──というか、私もそっちが気になる」
「えっ良いの姉さん!? やっ──ん゛ん゛ッ! じゃ、じゃあ一緒に行こっか、姉さんが居てくれたら何でも出来るや」
「なるほど。では指針も決まった所で、担当地区を手分けしましょう。私は恵と、結愛さんは小百合と真白の3人で探ってみてください。カメラの映像は、適宜共有するように」
「「はい、会長」」
「そうか…、共有された映像は俺も目を通しておくよ」
「お願いします、副会長。…ああでも、週末にあるリハーサルに影響が出ないようにしてください」
「ありがとう、会長。もちろんだ」
「では早いですが、本日はこれで解散としましょう。皆さん、良い午後を」
生徒会はそれぞれ別れを告げて、それぞれの教室へ向かっていく。全員が違った思いを抱いていることだろう、しかし、望む世界はきっと同じ筈だ。
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──同時刻。
《──では早いですが、本日はこれで解散としましょう。皆さん、良い午後を》
生徒会のやり取りを、画面越しに眺める人物が一人。
「……これはまずいかも、のう…」
三途川幽は、ため息交じりに呟いた。
「星野…ヌシはきっと望まないじゃろうが……"これ"だけは隠し通させてもらうぞ。ヌシが世界の扉を開く、その時までな。……許せよ、勇気」




