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Wonder Chronicle Other Stories  作者: Erde
【One of the bag】
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7/10

Episode -007【The one born from a crack】

 バックウォーターを旅立ったベクターは幾多の街や村を訪れ、この世界〈ワンダー・クロニクル〉に起きている異変を探っていた。そして、そんなベクターは旅の中で得た、ある情報を確かめるべく。イディア王国があるパラストブルク地方を訪れていた。


「聞いた話では、ここ辺りらしいんだが……」


 イディア王国はパラストブルク地方一帯を治める大国家であり、その成り立ちは古くからになる。イディア王国が出来るまでパラストブルク地方は戦乱が絶えず、言葉通り皆が戦争の終焉を望んでいた。その中である王国が一つの提案を持ち出したのである。その提案は当初、他の多くの王国から反対されていたが。日増しに増える飢餓や、それによる治安の悪化などを受け。また諸外国に提案を出した王国ロスカスタの尽力により、話はまとまっていった。それがーー


「ここが合衆国国家・イディア王国の王都か」


 合衆国国家・イディア王国に属する、それぞれの国家は自国の領土内においての自治権が認められており。イディア王国に属している国でも、国によりその趣は様々である。そんなイディア王国の王都が置かれているのが、イディア王国を建国するのに最も尽力した王国ロスカスタの王都ランヘンベルグであった。

 そしてベクターはある人物に合う為、王都ランヘンベルグに来ていたのであった。


「神獣・unicorn……」


 鞄からメモを取り出し、そこに書かれている文字を見るベクター。そのメモをベクターに渡したのは、ここに来る前の街で出会った、自称・情報屋の右近というテスト・ユーザーだった。


「おい、右近。情報って、たったこれだけなのかよ!?」

「何言うてんねん!? 俺がここまで調べるのに、どんだけ危ない橋渡った思とんねん!?」

「お前、まさか俺を騙そうとしてるんじゃないだろうな?」

「はぁ!? 鉄騎・ベクターを騙して誰が得するぅいうねん!!」

「そこまで必死な顔をするって事は、嘘じゃないみたいだな」

「当たり前じゃ!! 俺も調べるまで分からんかったけど、お前が調べよる奴がどんだけ危ないんか。鉄騎と言われとるお前も気ぃ付けろよ。ってか、よう今まで名も知れずに居れるもんやわ。そいつ」

「クロノ・ス・ドヴェイン……」

「一体、そいつ何者やねん?」

「俺の仲間が死んだ理由の張本人だ」

「なるほど……。そんで、そこまで必死になっとんねやな」

「で。この神獣・unicornってのは、クロノとどういう関わりなんだ?」

「何でも、この世界に来た当初、そのクロノって野郎と一緒に行動していたテスト・ユーザーみたいらしいぜ」

「当初って事は?」

「ああ、今はソロでやってるらしい」

「そいつが今居るのが、このーー」

「合衆国国家・イディア王国の王国の一つ、王国ロスカスタの王都ランヘンベルグや」

「どんな奴なんだ?」

「さあな?」

「どういう事だ、それ?」

「幾ら調べても、全くもってそいつの情報が皆無なんや。男なんか女なんかも分からへん」


 メモを鞄にしまいながら、右近との会話を思い出すベクター。


「ったく。男なのか女なのか分かんねえって、情報屋って謳っときながら半端な事教えやがって。右近の奴」


 仕方なく、街で神獣・unicornと言われるテスト・ユーザーについて調べ始めるベクター。王都と言われるだけあって、そこには沢山の人々が住んでいた。そんな住人達に手当たり次第に声を掛けていくベクター、しかし街の人々からは何一つ有益な情報を得られなかった。そしてベクターは街の住人達との会話で、住人達が他の事に関心がいっている事が分かった。


「皆、イディア王国の後継者が誰になるかって話ばっかりだな」


 そんなベクターの背後を囲むように男達が現れた。


「誰だ? お前ら?」

「神獣・unicornに何の用だ?」

「なるほど……。神獣・unicornって奴が、ここに居るってのは本当の話みたいだな」

「貴様、何者だ!?」

「ベクター。モンスタースレイヤーのベクターだ」

「やはり、モンスタースレイヤーだったか……。ここで騒ぎになるのはお互いに都合が悪いだろう、ついてこい」


 そして男達に囲まれながら、案内されるベクター。そんな中でベクターはある事に気が付いた。


(こいつら、NPC達じゃねえか? 一体、どういう事なんだ?)


 男達に人気の少ない路地裏に連れてこらてたベクター、そして男達はベクターに体を向け話し掛けてきた。


「何度来ようと、お前達、族にunicornさんが手を貸す事はない!!」

「族? 一体何の話をしているんだ? お前達は?」

「とぼけるなっ!! 貴様もクロノとか言うモンスタースレイヤーの仲間の一人だろう!?」

「クロノっ!? お前達、クロノの事を知っているのか!?」

「何をとぼけた事を!? アインツヴァイン傭兵団の団長クロノ・ス・ドヴェイン、我らが知らない筈もない!! 我らの村を襲いし、モンスタースレイヤーどもがっ!!」


 そう言って、男達がベクターに襲い掛かってきた。


「待て待て!!」


 男達の攻撃を躱し、誤解を解こうとするベクター。しかしベクターの言葉も虚しく、男達の耳には届かなかった。


「いくら俺の為って言っても、勝手にそんな事されたら。困るって」


 路地の奥から一人の男が現れ、言葉を掛けてきた。


「unicornさんっ!?」


 ベクターを襲っていた一人が、その男を見て声を上げた。


「unicornさんって!? こいつが!?」


 振り返り、unicornと呼ばれた人物の方を見るベクター。その見た目は、背が高く端正な顔立ちをした男であった。そして魔導師の様なローブを羽織る男は、背中に盾を腰には剣を携えていた。


「初めまして、鉄騎ことガーディアンのベクターさん。俺が神獣・unicornって言われている。ただのクレリックです」


 唐突に現れたunicornに対して戸惑うベクターに、unicornが続けた。


「あまり無闇に動いていると、クロノに目を付けられますよ」


 そう言って、ベクターに笑い掛けてくるunicorn。






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