↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Wonder Chronicle Other Stories  作者: Erde
【One of the bag】
PR
4/10

Episode -004【Do you remember that when I met?】

 男が手にする剣を見るベクター。


(何なんだ……、あの剣は……)


 ベクターが驚くのも無理ではない、何故なら男が手にしている剣をベクターは一度も見た事がなかったからである。


「お前の目的は一体何なんだ? その剣は何だ?」

「俺は、ただお前達が持っている武器や素材を奪いに来ただけさ」


「どういう事だ?」



 ベクターの問いに、面倒くさそうな顔をして男が答え出した。


「お前、ドロップ率が少ない素材とかって、どうしてる? 出るまで何度もクエストをこなしたり、モンスターと戦うのか?」

「それと、これと何が関係あるんだ?」

「俺はさ、それに飽きたんだよ。元の世界に戻れるかも分からない、ここでの楽しみもなくなった。だったら新しい楽しみを見付けたら良いんだよ。」

「何を言ってるんだ?」

「だからさ、俺は同じプレイヤーから素材や装備品を取る事にしたんだよ。そっちの方が手に入りやすいからな。そんな時だ、俺にこれをくれた野郎が居たんだよ」

「誰だ? そいつは?」

「さあな。NPCだったか、テストユーザーだったのかも覚えちゃいないさ」


 そして男は話終えると、ベクターに襲いかかってきた。

 男はベクターと同じファイターだったが、盾も持たずに異様な剣で攻撃を繰り返してくる。ベクターは、その攻撃を盾で受け止めながら反撃の隙を窺っていた。


(あれで斬られるのはマズい。だが早く奴を倒さないと、ヤスハラの命が危ない……)



「シールドアタック!!」


 盾で弾き飛ばされ、体勢を崩す男。そこにベクターが攻撃を仕掛けた。「ガキンッ!!」と金属がぶつかる音がする。男は片手を地面に着きながらも、ベクターの攻撃を剣で受け止めていた。


「くそっ!!」


 ローゼンハルトの事が気になり、焦るベクター。その所為で動きが雑になり、男に攻撃を与えられないでいた。


「それでも、Lv20以上なのかよっ!!」


 ベクターが振った剣を避け、男はその腕に攻撃を仕掛けた。それを躱そうとするベクターだったが、右腕を少し斬られてしまった。幸い深い傷ではなかったが、見た目以上に傷から血が流れ出てくる。


「これで俺が止めを刺さなくても、お前は死ぬ運命だな」


 男がベクターに向かって、不気味に笑いかけてくる。


「まあ、俺もそこまでイジは悪くねえからな。今すぐメイジ野郎の所に送ってやるよ!!」


 そう言って、男はまたベクターに襲いかかってきた。ベクターは傷を受けてしまった事に動揺してしまい、男の動きに反応が遅れてしまった。男の剣が再度、ベクターに襲いかかってくる。


(くそ……)



 剣がベクターを斬りかかろうとしか瞬間、急に男の動きが止まった。


「くそ、まだ生きていやがったのか!!」


 その男の体には紫色をした棘が絡みついていた。それを見て、後ろを振り返るベクター。


「ヤスハラ!!」


 そこには片肘を付きながら、かろうじて上半身を起こした姿のローゼンハルトが居た。


「ベクター、今だよ」


 ローゼンハルトの言葉に頷き、男に向き直すベクター。


「同じファイターなら、Lv20になったら覚えられるスキルくらい分かってるだろうなぁ!!」


 ベクターの言葉に怯える男。


「剣聖への頂!!」


 ベクターの振り下ろす剣に青いローラの様な物が宿る。バインドアンカーで動けない男は、ベクターの攻撃をまともに受けてしまった。バインドアンカーの効果が切れ、その場に崩れ落ちる男。どうやら男は意識を失った様であった。



「ヤスハラ!!」


 ベクターがローゼンハルトの元に駆け寄って行く。


「なんとか倒せたみたいだね……」


 駆け寄るベクターに言葉を掛けるローゼンハルト。


「もう喋るな、ヤスハラ。今すぐ街に連れて行ってやるからな」

「そんな事より、ベクターの傷の手当てをしないと……」

「俺の傷なんて、大した傷じゃない!!」

「でも血が止まってないじゃん……」

「それはお前も同じだろうが!! つべこべ言ってるんじゃない!!」


 そう言って、ローゼンハルトを背負い洞窟の外へと向かうベクター。ローゼンハルトの意識が戻った事にほっとした

ベクターだったが、気持ちは依然として焦っていた。


(くそ……、背中越しにヤスハラの血が伝わって来る……)



 そんなベクターの気持ちを余所に、ローゼンハルトが話し掛けてきた。


「そう言えば、初めてベクターに出会った時もこんな感じだったね……」

「こんな時に、何話してんだよ!! もう喋るな!!」

「あの時も、今みたいにベクターって俺に叱ってたよね……」



ーー


 森の中を歩く男、その男の足取りは重たかった。それもそのはずである、何故なら男は背中に髪の長い男を背負っていたからである。


「……あれ?」


 男の背中で目を覚ます髪の長い男。


「気が付いたか? ったく、メイジが一人で無茶してんじゃないぞっ!!」

「あれ? 俺、確か?」

「もうすぐでハウンドウルフの餌食になるところだったぞ、お前!!」

「だよね?」

「 "だよね?" じゃねえよ!! 俺がその場を通り掛からなかったら、お前本当に死んでたんだぞ!! その事分かってるのかよ!?」

「お前じゃないし!! ヤスハラだし!!」

「はあ? 今そんな事聞いてねえだろうが!!」

「大事な事だし!!」

「分かったよ。それでヤスハラ、この世界で死んだらどうなるか分かってないんだから気を付けろよ」

「ヤスハラ言うなし!! ローゼンハルトだし!!」

「お前が今さっき言ったんだろうが!?」

「それで、君は何て名なの?」

「聞けよ!! 人の話を!! ったく、俺はベクターだよ」

「なるほど」

「なんだよ?」

「ありがとうね、ベクター」


 改まってお礼を言われて、照れるベクター。そんなベクターは照れ隠しのようにローゼンハルトを背中から振り下ろした。


「いつまで乗っかってんだよ」

「ごめんね」

「それよりお前、他に仲間とか居ないのか?」


 ベクターの言葉に口籠るローゼンハルト。


「どうかしたのか?」

「なかなか、一緒に行動してくれる人が居なくてね。一度や二度は一緒に行けるんだけどね……」

「はあ……。ったく、仕方ねえな。今度からは俺を誘え」

「え?」

「パーティー組もうって言ってるんだよ」

「ほんと!?」

「また、どっかで気を失ってられても困るしな」

「ありがと!! ベクター!!」



ーー


 ローゼンハルトの話を聞いて、出会った時の事を思い出すベクター。


「あれから色々とあったよな? ウィルヘルムやロビン、縁とも出会ったしな」

「……」

「おい? ヤスハラ?」


 ベクターの問いかけに応えないローゼンハルト。


「おい!? ヤスハラ!?」


 ローゼンハルトを下ろし、声を掛け続けるベクター。


「おい、嘘だろ? おい、ヤスハラ……」


 そんなベクターの言葉も虚しく、ローゼンハルトは黙ったままであった。


「くそ……。危なっかしい、お前を助けてやろうと思っていたのに……。俺は、いつもお前に助けられてばっかりだ……」



  『新たにスキルを覚えました』



 嘆くベクターの目の前にウィンドウ画面が現れ、そこにはそう書かれていた。事態を飲み込めずにいるベクターを余所に、更に文字が現れてきた。



  『スキル:ディフェンデ』






スキル説明


【剣聖への頂】

全MPを消費して、絶大なる攻撃を敵単体に与えるスキル。その威力は使用者の能力と残りMPに関係してくるが、最低でも通常の2倍の威力を発揮する。ファイター特有のスキルである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。