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違世界ダイジェスト  作者: ながずぼん
第7章 イェリコ~エルサレム編
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第53話 ねえ、最古の都市ってどうおもう?

 ヨルダン川を東岸から西岸に渡り、坂を登ったところにあるイェリコの街。

 城壁のようなものはなく、荒野にいきなり現れるオアシスの街。ナツメヤシがたくさん生えていて、バナナや、サトウキビの畑もある。家はレンガ造りで農村っぽい。

 アドワン部族の護衛たちは要塞の門の手前でラクダを止め、しゃがませ、白井たちはラクダから降りるように言われる。


「主殿、我々はここまでです。ここから先はオスマン帝国の奴らの領地《シマ》です。この先の護衛は奴らの守備隊に頼ってください。奴ら口煩くて融通が利かないが、オスマンの旗があれば野盗は寄ってきません」


「そうなんだ。ここまで護衛ありがとう。それから、彼女が服を脱ぐのを見逃してくれてありがとう。僕たちの世界では男も女も同じ扱いだから、彼女が泳げなくなるのは僕たちとしても悲しいことになるんだ。すごく感謝しているよ」


「ははは。あの女、服脱いでも泥だらけで肌なんか見えませんでしたからね。ところであの女が胸に巻いていた白い布、随分と物が良さそうでターバンにしたいんですが分けちゃもらえませんかね」

 ―――それ、ブラジャー頭に被る変態と何も変わらないけれどわかってんのかな?


「青山さん。彼らがさらしを分けてくれないかって言ってるんだけど、もう捨ててもいいぐらいのものある?」


「え?さらしですか?さっき泥だらけにして川で洗ったやつならいいですけど」


 水で流して絞っただけのまだ乾いていないさらしを受け取り護衛に渡すと「これはやっぱり上質な布ですね。ありがとう」と言って青山に頭を下げていた。

 青山は頭上に「?」を浮かべながら、そんなので良ければと笑っていた。

 ―――使用済み乳当て布… 変態は国も時代を超えるんだなあ…


 こうして門の前で護衛と別れ、門番には久しぶりの「召喚者だけど」と告げて要塞の中に入るとそこがキャラバンサライであることを知る。緑川先生の話では、ハーンと呼ばれる隊商宿兼詰め所なのだそうだ。街に城壁がない代わりにこの建物を要塞化しているらしい。

 宿の主人に部屋を取ってもらう。ついでに守備隊に護衛を依頼したい旨を告げると、さっきのでかい門の上が詰め所になっているということなのでそちらに行く。

 部屋に入ると衛兵のような役人がいたので護衛の依頼をする。


「明日エルサレムまで行って泊り、次の日からガザまで行きたいんですが」


「承知しました。馬などはご自分で手配してください。護衛は2人付けます。オスマンの旗の前では蛮族どもも震え上がるのでご安心を。それで護衛代金なのですが…」


「へえ、ドラゴン討伐の旅をしている召喚者からオスマンさんは、金、取るんだ? あ、そっか。国がグズグズで皆さん給料が安いから民間人から巻き上げようって?」


 白井がそう言うと役人はギクッとして「いえ、召喚者ということであれば護衛代金など不要です。ドラゴン討伐以上に尊いものはありませんので」と慌てて訂正した。

 門番から召喚者が来た連絡は受けているはずなので白井に罪悪感はなかった。

 明日の出発時間を確認して「よろしくお願いしますね」と言って部屋を出る。


「なんかまた、悪い顔していましたけど、脅したんじゃないですよね?」


「やだなあ緑川さん。聞いた通りに給料が少なくて大変なところ申し訳ないですってお願いしただけですよ」


 護衛の契約は済んだので、次はエルサレムまでの脚を確保に行く。

 キャラバンサライを出て街をうろついていると、「あー!かわいいー!」と青山がたくさんのロバを見つける。―――ロバか、ロバね。悪くない。

 ロバ使いのおじさんに声を掛け、行程を説明してロバを譲ってもらえないか尋ねる。


「エルサレムまではこのロバより、馬力のあるラバのほうがオススメだよ。それからエルサレムからガザまでは舗装路を往くからラバより馬の方が早いし快適だね。だから、明日のエルサレムまではラバを貸してあげるよ。ただし帰りのためにわたしも付いていくから、その往復費用も必要になるがね」


 おじさんの話を三人にすると「ラバ!ラバってどの子だろう!」と青山がはしゃぎ、「確かに買って売るよりレンタルがいいですね」と緑川が判断し「で、幾ら必要なんですか?」と赤坂がふてくされていた。

 白井は護衛代をチャラにしたんだから許して欲しいと思った。

 で、赤坂の財布からおじさんに代金を支払った。


 明日の準備が整ったので夕食を食べることに。

 成都を出てからだいたい固いパンか、びしゃびしゃの米か、モソモソのナンみたいなものしか食べて来なかったので、屋台から漂ってくる『いい匂い』と『いい音』に4人は期待で胸が高鳴っていた。


 バザールの屋台にはいろんなものがあり、中でもシシュ・ケバブは4人が渇望してきた現代に通ずる食べ物だった。串焼きにした羊肉をホブズというナンのような平べったいパンに乗せ、タマネギやハーブも乗っけてかぶりつくもの。4つお買い上げ。

 さらにファラフェルという、ふやかした豆を石臼で挽いてスパイスと混ぜて揚げたコロッケを半分にしてポケット状にしたホブズに数個IN。そこにピクルスや生のトマトやタマネギもIN。仕上げに練りごまのソースをかけて食べるもの。これが破格値で売られているので、当然4つお買い上げ。


 まだ食べてもないのにホクホク顔で4人は道端の石に座って齧りつく。

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