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違世界ダイジェスト  作者: ながずぼん
第2章  釜山~中国横断編
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閑話2 花蕾たち (青山葵)

[ラブコメ/オムニバス]


 朝起きておもう。きょうも頭がぐらぐらする。

 原因はわかってる。誰でもわかる。

 でも、山田くんが止めない限り、わたしだってこれを止めたくない。

 あれから1年。

 また金木製の花が咲く。


 ◆◆◆◆◆


 わたしの通う、市立油奈高校はとてもカラフル。本当に色とりどり。

 去年の春、生徒会長さんがセンター分けの右金髪、左赤髪で全校集会に登場した。

 すぐに生活指導の先生が「なんだおまえ、その髪色は!」って怒鳴ってこわかった。

 そしたら生徒会長さん「髪色と学力にはなんら関係がありません!」って。

 先生は「ふざけるな!高校生らしくしろ!」ってまた怒鳴ったけれど、生徒会長さん「だったら髪の毛生やしてきてくださいよ、ハゲ川先生」って半笑いで煽ってた。

 生徒指導の景川先生はゆでだこみたいになっていておかしかった。

 他の先生が生徒会長さんを説得しようとしたら「エビデンスは?」って全部の問い掛けにそう答えて、結局先生たちは反論できずに次の日から髪色は自由になった。


 わたしは夏休みになるまで悩んで、アッシュにした。白に近い。

 お母さんは「あら、ヤマンバみたいでかわいいわね」って褒めてくれた。


 二学期が始まると、クラスのみんなも思い思いの髪色になって登校してきた。

 バーガンディやピンク、水色、黄色と黒で虎や豹みたいな子もいた。

 一番席の遠い、最前列で窓側のバスケ部の山田くんは綺麗な濃いめの緑だった。

 男の子にしては少し長めの髪が、午後の日差しに照らされて、なんだかそういう植木があそこに生えてるみたいでかわいいなと思った。


 それからわたしは山田くんを目で追うようになった。

 職業研修で同じ班になったときも、工場の人がトカマク型のトロダイル電磁コイルを作っているところを、じっと見つめる山田くんをどきどきしながら見てた。

 レポートをまとめる話し合いのときも、率先してまとめ役をしていた山田くんに相川さんが一家訓ある感じで「ヘリカル型の方が炉が小さくできて開発コストが低くできるとおもう」って言ってたけど「まあでも、見てきたのはトカマクだからさ」って柔らかく笑っていなしてた。風にそよぐ柳のように。

 いいなあって見てたら山田くん「なんだよ田中、言いたいことがあるなら言えよ」って言われて… そんなの言えるわけないじゃん、みんなの前で。

 わたしのことすきになって、だなんて。



 山田くんがわたしをすきなのかわからないまま秋になった。

 文化祭の準備の班分けで、わたしと山田くんはまた同じ班になって嬉しかった。

 わたしたちのクラスの出し物は、子豚のロティサリー(丸焼き)。

 中庭にレンガを組んで炉を作った。ぐるぐる回す串を受ける2本のYの字型の支柱を、わたしと山田くんで調達してくることになった。

 学校の裏山に枝分かれした木を二人で拾いに行く。


「足元悪いから気をつけろよ?」


「う、うん。ありがとう」


 そう言ってすぐ足を滑らせて転びそうになったとき、山田くんが腕を掴んでくれて支えてくれた。山田くんの敏捷性が高いのはバスケ部だからかな。


「言ってるそばからこれかよ。し、しょうがねえなあもう、ほら」


 山田くんは耳まで顔を真っ赤にして手を繋いでくれた。

 緑色の髪と赤い顔が、なんだかクリスマスみたいだなって思ってたら、鈴の音が聞こえてくる。

 え?本当に聞こえてる?と思ったら山伏さんの錫杖の音だった。

 

 山田くんと手を繋いで枝を探す。

 歩きながら山田くんの顔ばっかり見ていたら「な、なんだよ。前見て歩けよ危ないから」ってもう赤くならなくなっちゃった。慣れちゃったのかな。

 わたしはまだ、ちょっとどきどきしているのにな。

 Y型の枝は無事に見つかって山田くんと一つずつ持って中庭に戻ると、隣のクラスのモヒカンヤンキーとわたしのクラスの女子たちが揉めていた。


 なにに揉めていたのかわからなかったけれど、正義感の強い山田くんはY型の枝をさすまたのように使ってヤンキーを捕まえた。

 右に倣えでわたしもモヒカンを捕まえた。

 すると別のモヒカンヤンキーたちが「いま助けるぞー」とか言いいながらやってきて、わたしたちに火の点いた爆竹を投げつけてきた。箱ごと。


 バババババババババババババンッ!


 山田くんとわたしの頭に乗った大量の爆竹が爆ぜた。箱ごと。

 そしてわたしと山田くんはアフロになった。


「うわっ、すげえ!ブロッコリーとカリフラワーじゃん!ギャハハハ!」


 ヤンキーたちはわたしたちを指さして笑って去っていった。

 わたしは自分のことは見えないけれど、山田くんは本当にブロッコリーだった。


「山田くん、ちょっと待ってて!」


 わたしはそう言って駆け出して、ちょうど花が咲いている中庭のこぶざくらの枝を折ってもってきて、白い花をもいで山田くんの頭にぽんぽんと乗せてあげた。


「ブロッコリーって白い花が咲くんだよ?かわいいね!」


 わたしがそう言うと、山田くんは「ちょっと、待ってろ」と言って駆け出した。

 中庭で咲いている金木犀の枝をへし折って持ってきて、わたしの頭にばさばさっと擦り付けた。わたしの頭には黄色い花が咲いた。


「カ、カリフラワーは花が黄色いんだぜ?」


 そう言って白い花を咲かせたブロッコリーが笑った。


 山田くん、カリフラワー好きなのかな。

これは青山さんが召喚前に書いていたラブコメオムニバスです。

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