第009話:虹の笛
第一章:止まない雨の島
―前回のあらすじ―
グローブはジェンドの研究ノートを見つけ、《神秘のマナ》を完成させることを決意した。
そして、その素材の一つである《エンジェルティア》を『ダイヤモンドビーチ』で採取した。
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*グローブ:
おばあちゃん!
《エンジェルティア》、採ってきたよ!
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家に駆け込むと、マリヤは椅子に座って、静かに待っていた。
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*マリヤ:
ああ、早かったねぇ。
……私の方も、ちょうど見つかったところだよ。
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そう言うとマリヤは、八色に輝く笛を取り出した。
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*グローブ:
すごい、すごいよ!
これ……本当に夢で見たものと、まったく同じだ!
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*マリヤ:
そうかい。
それじゃあ、《エンジェルティア》はそこのテーブルの上に置いて、これを受け取っておくれ。
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グローブがテーブルに《エンジェルティア》を置き、マリヤから《虹の笛》を受け取った。
その瞬間――
三つの美しい旋律が、一気に頭の中へと流れ込んできた。
これまでに一度も笛を吹いたことのないグローブだったが、笛を口元へ寄せ、指先がひとりでに動き始めた。
一つ、二つと旋律を奏で――
気がつけば、グローブは三つの旋律を奏で終えていた。
しかし――
その神秘的な音色は、完全なものではなく、特定の響きだけが抜け落ちて消えていた。
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*マリヤ:
やっぱり……音が途切れてしまうみたいだねぇ。
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*グローブ:
な、何これ……。
ボク、一回も笛なんて、吹いたことないのに……。
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*マリヤ:
……今、お前が奏でた最初の旋律――
それは《昇華のプレリュード》と言うんだよ。
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*グローブ:
……《昇華のプレリュード》?
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*マリヤ:
二つ目は、《安寧のノクターン》。
そして最後が、《疾風のエチュード》。
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*グローブ:
なんで、いっぺんに三つも旋律を覚えられたんだろう……?
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*マリヤ:
それはね……。
笛が旋律を記憶してるからだよ。
笛から選ばれた者にだけ、その旋律を伝えてくれるのさ。
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*グローブ:
そうなんだ……。
おばあちゃんも吹けるの?
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*マリヤ:
もちろん……吹けるよ。
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マリヤは目を細めた。
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*マリヤ:
……『オパールマウンテン』に行きたい気持ちは変わってないかい?
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*グローブ:
うん。
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*マリヤ:
それなら……。
ちょっと、チサトを呼んできておくれ。
……あと、ナギさんとナミさんもね。
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*グローブ:
分かった。
すぐに行ってくる!
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グローブは深く頷くと、勢いよく家を飛び出していった。
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*グローブ:
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。
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『ダイヤモンドビーチ』まで、全力疾走したグローブは、そのままチサトのもとへ駆け寄った。
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*チサト:
ちょっと、どうしたの!?
グローブ?
そんなに息を切らして……。
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*グローブ:
行けるかも……。
はぁ、はぁ……。
『オパールマウンテン』に!
だからチサトは、お弁当の準備をして!
それから、えぇっと……。
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*チサト:
え、え、え、えっ……!?
ちょっ、ちょっと待って!
急に言われても意味が分からないよ。
なんでいきなり、お弁当なわけ!?
なんかテンション高いし……怖いんだけど……。
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*グローブ:
ああっ、ご、ごめん……。
おばあちゃんから山の話が出たから……。
嬉しくなっちゃってつい……。
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*チサト:
ふーん……そういうことね、
それで、さっき「チサトはお弁当の準備をして」って言ってたけど……。
私はお弁当だけ、準備すればいいってこと?
それとも、私も一緒に行くってこと?
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*グローブ:
う……ご、ごめん、違うんだ。
まだ何も決まってないんだ。
おばあちゃんから、チサトたちを呼んでくるように言われただけなんだ。
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*チサト:
じゃあ、お父さんとお母さんと一緒にグローブの家に行けばいいってこと?
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*グローブ:
うん……ごめん。
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グローブは空を見上げて、大きく息を吐いた。
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*チサト:
おとーさん!
おかーさん!
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チサトの大きな声に、ナギとナミが作業の手を止めて、振り返った。
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*ナギ:
んー?
どうした?
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*チサト:
マリヤさんが呼んでるって!
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*ナミ:
えっ、村長が……?
いったい、何事だろうね。
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それから四人は、グローブの家へと向かった。
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*マリヤ:
急な呼び出しだったのに、みんなすぐに集まってくれて、ありがとうねぇ。
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マリヤは、グローブが不思議な声から『オパールマウンテン』へ行くように言われていることを、三人に説明した。
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*マリヤ:
……というわけなんだよ。
それで……。
チサトにもグローブと一緒に『オパールマウンテン』へ行ってもらいたいと思ってねぇ。
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話を聞き終えたナギとナミは、顔を見合わせた。
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*ナギ:
村長……。
二人にはまだ、早いような気がします……。
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*ナミ:
山はずっと雲に覆われたままですし……。
心配ですよ……。
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二人の当然の懸念を聞いたマリヤは深く頷いた。
そして「プリンキャラメル」を取り出した。




