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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
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第008話:エンジェルティア


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


『ミルキークォーツの丘』から帰ったグローブは、ジェンドの話をマリヤから聞いた。


その夜、夢の中で《虹の笛》の存在を知らされ、『オパールマウンテン』の山頂を目指すよう、再び告げられる。



ダダダダダッ――

静かな家の中に、階段を勢いよく駆け降りる足音が響き渡った。


=

*グローブ:

おばあちゃん、おばあちゃん!

おはよう。

=

*マリヤ:

おはよう、グローブ。

どうしたんだい?

そんなに慌てて。

=

*グローブ:

笛!

おばあちゃん、《虹の笛》って知ってる?

八色に輝く、不思議な笛だよ!

=

*マリヤ:

えっ……?

=

*グローブ:

ボク、夢で見たんだ。

おばあちゃんが持ってるんでしょ?

その笛。

=

*マリヤ:

あ……ああ……あの笛ねぇ。

……そういえば……。

どこに仕舞ったかねぇ。

=


マリヤは視線を泳がせ、考え込むような仕草を見せた。


=

*グローブ:

それじゃあ、ご飯食べたら、一緒に探そっ!

=

*マリヤ:

あ、ああ……。

=


朝食後――

グローブの勢いに押されるように、マリヤはしぶしぶ部屋の奥へ向かった。


=

*マリヤ:

……弱ったねぇ。

=


小さくため息をつきながら、物置の奥をゴソゴソと漁り始めた。


しばらく家じゅうを探していると、グローブの目が部屋の隅に置かれた古い木箱に留まった。


=

*グローブ:

なんだろう……この感じ。

とっても大事なものが入っている気がする……。

たぶん、これだ!

=


そう思ってグローブが、そっと蓋を開けると、中には一冊の古びたノートが入っていた。


その表紙には「ジェンド」という名前が書かれていた。


=

*グローブ:

あ……これ、おじいちゃんの名前だ!

=


グローブは夢中で、ページをめくっていった。


そして、ある挿絵に目が留まった。


そのページに描かれていたのは、先日のおつかいで持ち帰った《ヘンブレス》の卵と《カウカーム》のミルクだった。


さらにページをめくると、さまざまな素材の名と挿絵が、文字とともに並んでいた。


《エンジェルティア》。


《トラベリー》。


《スウィートウィート》。


《ハルモニアの水》。


そして――

《エデンの実》。


=

*グローブ:

これって、昨日おばあちゃんが言ってた《神秘のマナ》の素材なんじゃ……。

=


そして次のページには、見覚えのある八色の光をまとった笛が描かれていた。


=

*グローブ:

あっ、この笛!

……夢で見たのと同じだ。

=


グローブがさらにページを読み進めようとした、その時だった。


=

*マリヤ:

見つかったかい?

……グローブ。

=


背後から不意に聞こえた声に、グローブは思わず肩をすくませた。


=

*マリヤ:

そのノート……見てたのかい?

=

*グローブ:

これ……おじいちゃんのだよね?

=

*マリヤ:

ああ、そうだよ。

=

*グローブ:

ボク、手伝いたいんだ……。

ミルクも卵もここに載ってるってことは――

おばあちゃんも集めてるんでしょ?

=


マリヤは息を呑んだ。


=

*グローブ:

おじいちゃんが作ろうとしてた《神秘のマナ》を――

ボク、完成させたいんだ!

=


マリヤはしばらく何も言えなかった。


=

*グローブ:

ここに書いてあることって本当なんでしょ?

=

*マリヤ:

ああ、本当だよ。

=

*グローブ:

だったら《エンジェルティア》って、『ダイヤモンドビーチ』に埋まってるよね。

じゃあ、すぐ採ってくるよ!

=


グローブは勢いよく家を飛び出していった。


=

*マリヤ:

もう……止められそうにないねぇ……。

=


『ダイヤモンドビーチ』へたどり着くと、ナギとナミが、いつものように親しげに話しかけてきた。


=

*ナギ:

よう、おはようさん!

今日はどうした?

慌てて。

=

*ナミ:

あら、スコップなんて持ってるけど……。

今日はいったい、何をするつもりだい?

=

*グローブ:

《エンジェルティア》を採るんだ。

=


グローブの返答に、ナギとナミは顔を見合わせて苦笑いする。


=

*ナギ:

《エンジェルティア》を掘るって……お前。

自分の腰の高さくらい掘らないと出てこないぞ!

=

*ナミ:

そうだよ。

ちょっと砂を退けるくらいじゃ出てこないよ。

=

*グローブ:

えっ、そうなの?

……でも、必要なんだ。

=


グローブは二人の言葉を背に、砂浜へとスコップを突き立てた。


――シャク、シャク。


シャク、シャク。


――ザクッ、ザクッ。


グローブが何度か掘ると、音が変わり、重みが増した。


=

*グローブ:

このまま、掘ってたら、疲れるし……。

何時間もかかっちゃうな。

=


グローブはスコップを置くと、家へと戻って行き、工具と素材を手に戻ってきた。


スコップの前に座り、グローブが大きく息を吸い込む。


すると、手のひらが八色に輝き出した。


その瞬間――

羽根のようなものが、一瞬だけ見えた。


=

*グローブ:

……今の、何だろう?

=


グローブは不思議そうに自分の手を見つめた。


手の輝きが収まると同時に、グローブはスコップを加工し始めた。


石が粘土のように柔らかくなり、木材は思い通りの形へ組み上がっていく。


=

*グローブ:

あ……前より、うまく波長を操れる……。

=


あっという間に、砂を掘るための装置を作り上げた。


そして最後に、指先で装置全体をなぞると、淡い光を帯びた。


=

*チサト:

おはよう、グローブ!

何やってんの……?

=

*グローブ:

チサト、おはよう!

《エンジェルティア》を採ろうと思って……。

=

*チサト:

その変な機械で掘るの?

=

*グローブ:

そうだよ。

=


グローブが手元のレバーを回すと、装置が砂を遠くへ飛ばしていった。


=

*チサト:

うわー、おもしろーい!

私にもやらせて!

=

*グローブ:

いいよ。

=

*チサト:

軽い!

簡単、簡単。

=


そう言いながら、チサトはレバーを回し続けていた。


掘削装置は、どんどん砂を掻き出していく。


しばらくすると――

――カツーン!


掘削装置の先端が、砂の中で硬いものに当たった。


その音にナギとナミが振り向いた。


=

*ナギ:

おいおい、マジかよ。

=

*ナミ:

まだ、お昼にもなってないわよ。

=


グローブはその硬いものの周りの砂を、手でかき分けた。


灰色の砂の中から、淡い撫子色の輝きが姿を現した。


=

*チサト:

うわー!

きれいだね。

=

*グローブ:

出てきたね……。

ありがとう、チサト。

=

*チサト:

きれいだけど……。

急にそんなもの取って、何かあるの?

=

*グローブ:

えーっと、おじいちゃんの研究の続きを手伝ってるんだ。

=

*チサト:

えっ……?

どういう意味?

=


チサトが怪訝そうに眉をひそめた。


=

*グローブ:

あっ、ごめん。

……実はさ、おばあちゃんの部屋でおじいちゃんの研究ノートを見つけたんだ。

=

*チサト:

研究ノート?

=

*グローブ:

うん。

そこにこの《エンジェルティア》のことが書いてあったんだよ。

=

*チサト:

ふーん……そうなんだ。

=

*グローブ:

一緒に取りに行った、《ヘンブレス》の卵と《カウカーム》のミルクのことも書いてあったよ。

=

*チサト:

それで……何ができるの?

=

*グローブ:

《神秘のマナ》だよ。

……ボクもよく分かってないんだけどね。

=

*チサト:

何それ?

=

*グローブ:

とりあえず、一度この《エンジェルティア》をおばあちゃんのところに持って帰るよ。

=


グローブはそう言うと、《エンジェルティア》を大事そうに手に持ち、家へと駆け出した。


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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