↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
PR
10/36

第010話:ヘルプリン


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


グローブはマリヤから《虹の笛》を受け取り、笛に記憶された三つの旋律を無意識に奏でた。


マリヤはチサトにも『オパールマウンテン』への同行を提案するが、危険を心配するナギとナミは難色を示した。



=

*マリヤ:

グローブ……。

ちょっとこれを口に含んで、《虹のオーブ》に「助けて」と強く念じてみておくれ。

=

*グローブ:

えっ!?

それ昨日のプリンキャラメルだよね。

……今、やるの?

=


マリヤは何も言わず、ただ頷いた。


グローブは全員が見守る中――

プリンキャラメルを口に含み、胸元の《虹のオーブ》を握りしめた。


◇

*グローブ:

助けて。

◇


グローブが強く念じた瞬間――

《虹のオーブ》から赤と青の煙が噴き出した。


=

*グローブ:

うわっ!?

なんだ、この煙……。

=


立ち込める煙の向こうから、二つの美しい人影が浮かび上がった。


=

*ナギ:

おぉっ……!

=


突如現れた二人の美女に、ナギの目が一瞬で輝いた。


『ロッククリスタルの谷』のルアンと――

『ミルキークォーツの丘』のラテラだった。


=

*グローブ:

ええっ!?

ル、ルアンさんに、ラテラさん……!?

=

*ルアン:

……何か用?

=

*ラテラ:

ん~?

何かあった〜?

=


ナミはあまりの出来事に、その場で硬直していた。


=

*ルアン:

どうしたの?

グローブ。

そんなに私の顔が見たかったの?

……それにマリヤ、久しぶりね。

=

*ラテラ:

ふふ、急に呼ばれてびっくりしちゃった~。

マリヤも元気そうで、よかった~。

=


マリヤは二人に手を振った。


=

*ルアン:

顔が見れて嬉しいけど、用がないなら私は戻るわよ。

=

*ラテラ:

でも何かあったら、すぐに呼んでいいからね~。

=


二人が同時にウインクをした瞬間――

再び《虹のオーブ》から赤と青の煙が噴き出し、ルアンとラテラを包んだ。


二人の姿は淡い光の粒へと変わり、吸い込まれるようにオーブの中へと消えていった。


=

*ナギ:

あーぁ……。

=


ナギがあからさまに肩を落とした。


=

*ナギ:

……そういえば……。

家の卵とミルク、切れてたよな?

=

*ナミ:

いいえ!

卵もミルクも、まだあります!

=


ナミの氷点下の冷たい視線に、ナギは反射的に背筋を伸ばした。


=

*マリヤ:

実は、このプリンキャラメルは、《ヘルプリン》というんだよ。

=


マリヤは手のひらの上の小さな粒を、改めて全員に見せるように掲げた。


=

*マリヤ:

この《ヘルプリン》で、『グレーダイヤモンド島』を守ってくれてる――

火の精霊ラテラと水の精霊ルアンを、同時に呼び出すことができるんだ。

一日一回だけ、だけどね。

=


目の前で起きたことと、マリヤの話を聴いたナギとナミは、互いの意見を確認するように小さく頷いた。


=

*ナギ:

島の精霊様たちがグローブとチサトを見守ってくれてるなら、大丈夫だな……。

=

*ナミ:

ええ、そうね……。

本当に危険な時に、精霊様たちが力を貸してくださるなら、そんなに心配することもないわね。

=

*チサト:

――ちょっ、ちょっと待ってよ!

=


話がどんどん進んでいく中、それまで黙り込んでいたチサトが、慌てて声を張り上げた。


=

*チサト:

なんか当然みたいに、二人で山に行く空気になってるけど……。

私、まだ「行く」なんて、言ってないよ!

=

*グローブ:

あっ……ご、ごめん……。

ボクの勝手な都合に、無理やり巻き込んじゃって……。

無理なら、ボク一人で行くよ。

=

*チサト:

……「行かない」とも言ってないでしょ!

怖いけど……。

グローブひとりじゃ行かせられないよ……。

=


チサトは大きく息を吸い込んで、グローブの目を見た。


=

*チサト:

何かあったら、責任取ってよね。

=

*グローブ:

う、うん。

=

*チサト:

「うん」じゃない!

「はい」でしょ!

=

*グローブ:

は、はいっ!

=

*チサト:

もう、本当にしょうがないんだから!

=


ナギとナミは二人のやりとりを微笑ましく眺めていた。


マリヤは二人の決意を見届けると、静かに口を開いた。


=

*マリヤ:

……グローブとチサトは、さっそく明日の準備に取りかかりなさい。

=

*グローブ:

うん、分かった。

行こう、チサト。

=


二人は明日の荷物をまとめるため、二階にあるグローブの部屋へと向かっていた。


ぎし……ぎし……ぎし……。


=

*マリヤ:

ナギさん、ナミさん。

《トラベリー》を採ってきてもらいたいんだけど……。

お願いできるかい?

=

*ナギ:

……《トラベリー》ですか?

それなら、お安い御用ですが……。

いったい、何に使うんです?

=

*マリヤ:

グローブが山から戻ったら――

『ジュエリオ島』に行くと言い出すから……きっと。

=

*ナミ:

えっ……!?

=

*マリヤ:

だから旅に出るあの子に持たせるのさ。

《トラベリーチョコ》をね。

=


◇ ◇ ◇


―ヘルプリン―

Help-Pudding


《カウカーム》のミルクと《ヘンブレス》の卵を《共鳴窯》で練り上げた特殊携行食。


《虹のオーブ》の所持者が口にして「助けて」と念じることで、火の精霊ラテラと水の精霊ルアンを召喚できる。


一粒で二人の精霊を同時に呼び出せる。


一日一回だけ。


◇ ◇ ◇


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。