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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
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第005話:黄金のツノ


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


グローブは《ヘンブレス》の卵を持ち帰り、次の目的地『ミルキークォーツの丘』へ向かうことになった。


その夜グローブは、【緑】と【紫】に変わる泉の前で、「八色の羽根」を受け取る夢を見た。



=

*グローブ:

おばあちゃん、おはよう。

=

*マリヤ:

おはよう、グローブ。

今日は、食事を済ませたら、《カウカーム》のミルクを忘れずにお願いね。

=

*グローブ:

うん、大丈夫だよ。

=


食事を済ませたグローブは、ナギとナミに挨拶をするため、『ダイヤモンドビーチ』へ向かった。


=

*ナギ:

よう、おはようさん。

『ロッククリスタルの谷』は楽しかったかい?

=

*ナミ:

ふふ、なんだか昨日より、ちょっと大人になったんじゃない?

=

*グローブ:

うん、なんか少しだけ、自信が持てるようになったんだ。

=

*ナギ:

おお、言うねぇ!

=

*ナミ:

チサトから聞いたわよ。

手を繋いで橋を渡ったんだって!?

=


その言葉にグローブは、一瞬で耳たぶまで真っ赤になり、返す言葉を失って黙り込んでしまった。


夫婦は顔を見合わせ、そんなグローブの様子を微笑ましく見守っていた。


=

*グローブ:

きょ、今日も『ミルキークォーツの丘』に行くから、手伝えないんだ!

=

*ナギ:

そうか。

こっちは大丈夫だぜ。

=

*ナミ:

気をつけてね。

=


そう言うとグローブは西へと向かった。


『ミルキークォーツの丘』へ向かう途中には『ダイヤの里』があり、島の人々はそこで暮らしている。


グローブの家は、島の南西にある『ダイヤの里』と、南東にある『ダイヤの港』のちょうど中心にあった。


島民たちはこの『ダイヤの里』と『ダイヤの港』を合わせて、『ダイヤ村』と呼んでいる。


=

*チサト:

おはよう、グローブ!

どこ行ってんのー!

=


ちょうど家から出てきたチサトが、声をかけてきた。


ナギとナミに冷やかされた直後だったこともあり、グローブはわざと聞こえないふりをした。


=

*チサト:

ちょっと、グローブ!?

=

*グローブ:

おはよう……。

=


グローブは気まずそうに視線をそらしたまま、挨拶を返した。


=

*チサト:

ん、なんか怒ってる?

=

*グローブ:

別に。

=

*チサト:

ひょっとして……お父さんか、お母さんに何か言われた?

=


グローブは一瞬だけチサトの顔を見て、慌てて視線をそらした。


=

*チサト:

あ……分かった!

手を繋いで橋を渡った話でしょ?

もう……。

すぐ言うんだから。

=


グローブはすぐ言うのはチサトだと思ったが、口にはしなかった。


=

*グローブ:

違うよ……。

=

*チサト:

ふーん……。

じゃあ、まあいいっか。

それで、今日はどこ行ってんの?

=

*グローブ:

『ミルキークォーツの丘』だよ!

=

*チサト:

ほら、やっぱ怒ってんじゃん。

=

*グローブ:

怒ってないって。

=

*チサト:

嬉しかったんだよ!

=

*グローブ:

えっ……?

=

*チサト:

……手つないだこと。

=


グローブは時が止まったように固まった。


そんなグローブの反応を見て、チサトは満足そうに目を細めた。


=

*チサト:

ふふっ。

私も一緒に行っちゃお。

=

*グローブ:

別に……いいけど。

=


――しゃん、しゃん、しゃん、しゃん……。


ガラスの鈴を振るような軽やかな音が響き、『ミルキークォーツの川』が近づいてきた。


=

*グローブ:

こっちの川も、『ロッククリスタルの川』とまったく同じ音がするんだね。

=

*チサト:

昨日も言ったけど……。

本当に不思議だよね。

=


二人は橋の上で立ち止まり、欄干から身を乗り出すようにして川の流れを見つめた。


=

*グローブ:

おばあちゃんが言ってた通り、こっちの川は蒼銀色だ……。

=

*チサト:

本当、きれいだよね。

『ロッククリスタルの川』が黄金色で――

『ミルキークォーツの川』が蒼銀色だね。

=


チサトがそう言いながら、ふと橋の向こうへ視線を巡らせると――

薄暗い霧の向こうで、何やら大きな影がゆらりと動いた気がした。


=

*チサト:

……ねぇ。

それで、今日は橋、渡る時……。

手、つながなくてもいいの?

=


グローブは何も言わず、少し照れくさそうに、そっと手を差し出した。


チサトがその手を嬉しそうにギュッと握りしめた。


――しゃん、しゃん、しゃん、しゃん……。


橋を渡ると黄金色の巨石群の中に巨大な乳牛が佇んでいた。


茶色の独特な毛並みを持ち、頭部には、立派な黄金色のツノを備えていた。


=

*チサト:

うわっ、お、大きい……。

=

*グローブ:

す、すごい。

これが《カウカーム》か……。

=


――んもぉーぅ。


低く重たい鳴き声が、地響きのように足元に響いた。


=

*チサト:

ねぇ……グローブ。

ここへ何しに来たんだっけ?

=

*グローブ:

《カウカーム》のミルクを取りに来たんだよ。

=

*チサト:

……これがその《カウカーム》よね?

どうやってミルクを取るのよ?

=

*グローブ:

んー、どうしよう……。

=


グローブが困り果てて、遠くを見渡すと、薄暗い霧の向こうに、牛舎のような建物の影が視界に入った。


=

*グローブ:

あっちの方に建物が見えるよ。

行ってみない?

=

*チサト:

そうだね。

あそこに行けば、誰かいるかもね。

=


二人は《カウカーム》を刺激しないよう、ゆっくりとした足取りで建物へと向かった。


牛舎にたどり着いた二人は、入口から大きな声を張り上げた。


=

*チサト:

こんにちは!

=

*グローブ:

こんにちはー!

=

*チサト:

……誰もいないのかな?

=


――んもぉーぅ。


返ってきたのは《カウカーム》の鳴き声だけだった。


=

*グローブ:

もう一回、呼んでみるね。

こんにちはー!!!

=


――んもぉーぅ。


=

*キュートな女性:

あれ~、誰か来たのかな~?

=


おっとりとした可愛らしい声が響いた。


少し待っていると――

牛舎の奥から、柔らかな笑みを浮かべた、キュートな大人の女性が現れた。


=

*グローブ:

こ、こんにちは!

はじめまして、グローブです!

=


グローブは、勢いよく頭を下げた。


あまりに元気よく頭を下げるグローブを見て、チサトはジロリと横目を向けた。


=

*チサト:

こんにちは。

チサトです。

=

*キュートな女性:

は~い、こんにちは~。

何しに来たの~?

=

*グローブ:

はい!

おばあちゃんにおつかいを頼まれて、《カウカーム》のミルクを取りに来たんです!

=


グローブの調子の良さに、チサトはムッと頬を膨らませ、冷ややかなジト目を向けた。


=

*チサト:

でもー。

《カウカーム》が大きすぎてー。

どうやって取ればいいか分からなくて困ったんだよねー。

……ねっ、グローブ?

=


背筋に冷たいものが走り、グローブは引きつった笑顔のまま冷や汗を流した。


=

*グローブ:

えっ、あ……う、うん!

そうなんです。

ボクたち困ってて……!

ははは……。

=

*キュートな女性:

なるほど~。

そういうことね。

私は、ラテラって言うの。

よろしくね~。

=


ラテラがそう言って優しく微笑んだ、その時だった。


――バターンッ!!


牛舎の奥から、激しい音が響き渡った。


=

*チサト:

えっ!?

=


――もぉーーーっ!!!


=

*グローブ:

うわっ、なんだ!?

=


一頭の小さな《カウカーム》の仔牛が、牛舎の外へ逃げ出してしまった。


=

*ラテラ:

あら~、大変!

あの子、まだお外に出しちゃダメなのにぃ~。

迷子になって、風邪ひいちゃうよ~!

二人とも、お願い。

あの子を連れ戻して~!

=


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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