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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第二章:自由の国ルビスタン(全16話)030-045
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第034話:天球の灯台


第二章:自由の国ルビスタン


―前回のあらすじ―


《虹の鏡》から不思議なピアスを得たグローブは、ダンの孫娘がいる『ルビスタン連合国』の首都『カーネリアン富豪区』へ向かうことになった。


ブラウンの髪だけしか住めない街の「滞在許可証」を求め、『ガーネットハブポート』の理事長に会うことにした。



翌日――

グローブとダンはロズドンに会うため、『天球の灯台』と呼ばれる高層ビルへと向かっていた。


ダンの後ろをついて行き、最上階へと案内されたグローブは、その豪華絢爛な内装に圧倒された。


高級感あふれるソファーに深く腰掛け、不敵な笑みを浮かべている男が――

この街の理事長、ロズドンだ。


=

*ロズドン:

おや……これは驚いた。

まさか「火竜の豪傑」と呼ばれた伝説の英雄ダン殿が、わざわざ足を運んでくださるとは。

急用でも?

=

*ダン:

堅苦しい挨拶は抜きだ、ロズドン。

コイツは俺様の連れのグローブだ。

それで「滞在許可証」を、一枚だけもらいにきたんだけどよ。

いいか?

=


ロズドンは、ダンの言葉に目を細めると、値踏みするような視線をグローブへと向けた。


=

*ロズドン:

ふむ……。

許可証一枚、出すのは簡単ですが、基本的な質問だけはさせてください。

グローブくんと言いましたね。

君は『カーネリアン富豪区』へ何をしに行くんですか?

=


グローブは少し考えた。


『オパールマウンテン』で聞こえた声を含めて、すべての話をするべきか。


祖母からの依頼だけをするべきか。


それとも、チサトとの約束を話すべきか。


=

*グローブ:

はい、ボクは……。

ボクの故郷、『グレーダイヤモンド島』の雨を止めるための旅をしています。

今は『メロディア島』を目指してます。

=

*ロズドン:

……なるほど。

『カーネリアン富豪区』へは、旅の経由地として立ち寄るためですね。

分かりました。

=


ロズドンが「滞在許可証」を発行しようとした、その時だった。


=

*グローブ:

あの……ロズドンさん。

ちょっといいですか?

この街のことで、どうしても提案したいことがあるんです!

=

*ダン:

ん?

どうしたグローブ?

=


ダンが怪訝そうに眉をひそめるのも構わず、グローブは真っ直ぐな瞳でロズドンを見つめた。


=

*グローブ:

昨日……街のゴミ捨て場を見たら、まだ使える衣類やおもちゃが、たくさん捨てられていました。

ボクならあれを全部、きれいに直せます!

だから、壊れたものを修理して、みんなで大切に再利用する仕組みを作ってください!

=


グローブの必死の訴えを聞いたロズドンは、一瞬の静寂の後、頷きながら笑い出した。


=

*ロズドン:

ははは!

面白い提案だ、グローブくん。

だが、そんな貧乏くさい真似。

この貿易都市で、誰が喜ぶと言うんだ?

=

*グローブ:

えっ……?

=


感謝されると信じていた提案を一蹴され、逆に「誰が喜ぶのか」と聞き返されたグローブ。


だが、その問いに答える言葉を、グローブは持っていなかった。


ロズドンはソファーから立ち上がると、窓の外に広がる街並みを見下ろした。


=

*ロズドン:

物が壊れたら新しい物を買う。

だからこそ、世界中から新しい物が、次から次へと輸入される。

そしてそれを、港の作業員が運び、商人たちが店で売る。

多くの人が壊れたものを修理して使うようになれば、港で働く大勢の労働者はどうなる?

物を運ぶ作業員や、商人たちはどうやって生活するんだ?

=


グローブは初めて知った。


この豊かな街は、物を消費する人々だけでなく、それを運び、売り、生計を立てる大勢の人々によって支えられているのだと。


自分の提案なら、この街をもっと良くできると思っていた。


だが、それによって仕事を失う人がいるかもしれない。


そう考えた途端、グローブはただ拳を握りしめることしかできなかった。


=

*ロズドン:

この国は自由だ。

だから、グローブくん。

余計なことをするなとは言わない。

だが、私も君を手伝うことはない。

分かりますね?

=


ロズドンは勝ち誇ったように笑った。


=

*ダン:

おい、ロズドン。

……俺様をあまり待たせるなよ?

=


それまで黙ってやり取りを見ていたダンが、低く、地響きのような声で割り込んだ。


=

*ロズドン:

おっと……失礼いたしました。

……ダン殿、そんな怖い顔をしないでください。

私はただ、この街の現実を彼に少しでも分かってもらえればと思い、お話しただけですよ。

=


ロズドンは小さく息を吐くと、一瞬だけ浮かんだ冷や汗を拭った。


=

*ロズドン:

はい、どうぞ。

これが首都『カーネリアン富豪区』への「滞在許可証」です。

本来ならお金を頂くところですが……。

伝説の英雄ダン殿から取るわけにはいきませんので。

=


ロズドンは「滞在許可証」をダンへと手渡した。


=

*ダン:

話が早くて助かる。

行くぞ、グローブ。

=


ダンは未だにショックから立ち直れずにいるグローブの肩を叩き、「滞在許可証」を手渡すと、そのまま部屋を後にした。


グローブは何も言えなかった。


自分の提案なら、この街をもっと良くできると思っていた。


ゴミを直せば、必ず喜ばれる――

そう信じていた。


だけど、それによって仕事を失う人がいるかもしれない。


働いている人のことまでは考えていなかった。


だからといって、あのゴミの山が正しいとも思えなかった。


物を大切にすることと、人々の暮らしを守ること。


その両方をかなえる道は、本当に存在しないのだろうか――

グローブの頭と心の中は、ざわついたままだった。


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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