第032話:ガーネットハブポート
第二章:自由の国ルビスタン
―前回のあらすじ―
グローブは船長のイカリヤから髪と瞳の起源や、聖剣の前所有者「エルヴィス」の名を聞かされた。
期待と不安を胸に抱く彼の視線の先には、『ジュエリオ島』が姿を現していた。
『ジュエリオ島』の玄関口――
『ガーネットハブポート』に停泊する、巨大な貨物船の群れが見えてきた。
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*グローブ:
す、すごいや……。
この連絡船とは比べ物にならないくらい大きな船が、いくつもあるよ。
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――ドンッ……!
『ルビスタン連合国』の貿易都市――
『ガーネットハブポート』へ、ついに到着した。
タラップを降り、目の前に広がる圧倒的な光景に、グローブは思わず息を吞んだ。
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*グローブ:
なになに、あの大きなコンテナ!?
ものすごくたくさんあるけど……。
いったい、何が入ってるんだろう?
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――ガラガラガラ!
グローブが音のする方に目を向けると――
巨大な装置がコンテナを軽々と吊り上げ、次々と運んでいた。
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*グローブ:
うわーっ……すごい、すごい。
あんなの初めて見たよ。
あの機械、触ってみたいな……。
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グローブの胸は高鳴り、もう旅立ちの不安など完全に忘れていた。
興奮したまま街を歩いていると、街のあちこちにそびえ立つ高層ビルの壁面に、色鮮やかな映像を映し出す巨大なスクリーンが目に飛び込んできた。
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*グローブ:
えー!?
大きな写真や絵が動いてる……。
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目を丸くして見上げるグローブの視線の先では、次々と新しい商品の広告や街のニュースが流れていた。
さらに街を歩いていくと、今度は人々の姿が目に入った。
額の汗を拭う港の作業員に、笑顔で客を迎える商人。
買い物や食事を楽しむ人。
忙しそうに、ひっきりなしに行き交う人々。
『ガーネットハブポート』には、イカリヤが言っていた通り、様々な髪の人たちがいた。
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*グローブ:
本当にみんな、髪の色が違うんだ……。
でも、髪の色だけじゃなくて、格好も派手だなあ……。
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通りのあちこちには屋台もあった。
不思議な形の果物や、じっくりと焼き上げられた肉料理が並び、どれも本当に美味しそうだ。
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*グローブ:
あーっ……いい匂い。
何だろう、あの食べ物……?
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目に映るすべてが、グローブにとっては初めてのものだった。
大通りを歩いていたグローブだが、道の向こうから歩いてくる一人の老人の姿に目を奪われ、完全に足を止めてしまった。
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*グローブ:
あれっ……?
あのおじいさんの髪、グレーだけど……。
見たことない人だ。
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『ジュエリオ島』には滅多にいないと、イカリヤから聞いたばかりの、自分と同じグレーの髪。
祖母のマリヤと同じくらいの年齢に見えるその老人は、この豊かな街の景色にすっかり溶け込んでいた。
どうしても気になり、グローブはその老人へと歩み寄った。
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*グローブ:
あの……。
すみません。
=
老人は静かに足を止め、深く鋭い瞳でグローブの姿をじっと見つめ返した。
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*グレーの髪の老人:
んっ?
……なんだ、小僧。
=
*グローブ:
あ、いえ……すみません!
ボク、『グレーダイヤモンド島』を初めて出たんです。
それで、いろんな髪の色の人の中に自分と同じ色のあなたを見つけて……。
つい、声をかけてしまったんです。
=
*グレーの髪の老人:
ほう、そうか。
それで、島で見かけたことがない俺様が気になったってわけだな……。
=
*グローブ:
はい……すみません……。
=
*グレーの髪の老人:
この『ジュエリオ島』は広いからな。
グレーの髪も少しはいるさ。
まあ、この辺りじゃあ、俺様しかいないけどな。
=
そう言い残すと、グレーの髪の老人は雑踏の中へと歩き去ってしまった。
――グウゥ。
=
*グローブ:
そういえば、お腹空いたな。
おばあちゃんからもらったパンケーキがあるけど……。
あれは馬車の中とかで食べたいもんね。
=
グローブは飲食店へと足を向けた。
だが――
そこでグローブが目にしたのは、あまりにも信じがたい光景だった。
食事をしていた客たちが、平然と料理を食べ残していた。
=
*グローブ:
おばあちゃんが食べ残しはダメ――
「食べ物を粗末にすると目がつぶれる」って言ってたのに……。
なんで!?
=
その光景に少しモヤモヤしたものの、空腹だったグローブは料理を注文した。
=
*グローブ:
みんなが残してる理由って、量が多すぎるとか、なのかな……。
それとも、単純にマズイから?
=
グローブは料理が届くまでの間、食べ残す理由を考えていた。
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*店員:
はい、お待たせしましたー!
=
*グローブ:
うわー、美味しそー!
いただきます。
=
◇
*グローブ:
量は普通だ……。
味は……美味しい!
っていうか……。
めちゃくちゃ、うまいじゃん。
じゃあ、なんで残すんだろう?
◇
グローブは料理をきれいに平らげ、謎を抱えたまま店をあとにした。
お腹は満たされたものの、胸の中のモヤモヤは、まだ晴れないまま歩いていると――
今度は服や靴、バッグなどが、山のように積み上げられている光景が視界に入ってきた。
=
*グローブ:
えっ、これゴミ!?
捨てられてるの?
なんで……?
まだ使えるよ。
嘘でしょ。
もったいないよ。
=
『グレーダイヤモンド島』では壊れた道具や衣類は、何度も直しながら使っていた。
その時――
=
*女の子:
あぁーあ……。
このオモチャ、お気に入りだったんだけどなぁ。
ここが折れちゃったから、もういらない。
=
――ポイッ。
すぐ近くを歩いていた小さな女の子が、持っていたカラクリ人形を、ゴミの山へ放り投げた。
ほんの一部が壊れただけで、まだ全体はピカピカだった。
=
*グローブ:
ちょっと待って……!
捨てないで。
=
たまらなくなったグローブは、女の子が投げ捨てた人形を指さした。
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*女の子:
えっ、なに……!?
それ壊れちゃったんだよ。
また新しいのを買ってもらうからいいの。
同じのはないかもしれないけど……。
=
*グローブ:
そうなんだ……ごめん。
でも……。
このくらいならすぐ直せるから、ちょっとだけ待ってて。
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そう言うとグローブは、ウエストバッグから工具を取り出した。
折れた継ぎ目を器用に補強し、流れるような手際で外れたギアを組み直していく。
グローブの指先から淡い光がこぼれた。
割れた部分を指先でなぞると、まるでボンドで接着したかのように、ぴたりとくっついていった。
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*グローブ:
どう?
これで直ったよ。
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グローブが人形の背中のネジを巻くと、新品のようにカチカチと元気よく動き出した。
=
*女の子:
うわぁっ、すごい!
動いた!
これ、お気に入りだったから、本当は捨てたくなかったんだ。
ありがとう。
=
嬉しそうに走り去っていく女の子の背中を見送り、グローブはホッと胸をなでおろした。
その時、背後から「ほう」という渋い声が響いた。




