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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第二章:自由の国ルビスタン(全16話)030-045
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第032話:ガーネットハブポート


第二章:自由の国ルビスタン


―前回のあらすじ―


グローブは船長のイカリヤから髪と瞳の起源や、聖剣の前所有者「エルヴィス」の名を聞かされた。


期待と不安を胸に抱く彼の視線の先には、『ジュエリオ島』が姿を現していた。



『ジュエリオ島』の玄関口――

『ガーネットハブポート』に停泊する、巨大な貨物船の群れが見えてきた。


=

*グローブ:

す、すごいや……。

この連絡船とは比べ物にならないくらい大きな船が、いくつもあるよ。

=


――ドンッ……!


『ルビスタン連合国』の貿易都市――

『ガーネットハブポート』へ、ついに到着した。


タラップを降り、目の前に広がる圧倒的な光景に、グローブは思わず息を吞んだ。


=

*グローブ:

なになに、あの大きなコンテナ!?

ものすごくたくさんあるけど……。

いったい、何が入ってるんだろう?

=


――ガラガラガラ!


グローブが音のする方に目を向けると――

巨大な装置がコンテナを軽々と吊り上げ、次々と運んでいた。


=

*グローブ:

うわーっ……すごい、すごい。

あんなの初めて見たよ。

あの機械、触ってみたいな……。

=


グローブの胸は高鳴り、もう旅立ちの不安など完全に忘れていた。


興奮したまま街を歩いていると、街のあちこちにそびえ立つ高層ビルの壁面に、色鮮やかな映像を映し出す巨大なスクリーンが目に飛び込んできた。


=

*グローブ:

えー!?

大きな写真や絵が動いてる……。

=


目を丸くして見上げるグローブの視線の先では、次々と新しい商品の広告や街のニュースが流れていた。


さらに街を歩いていくと、今度は人々の姿が目に入った。


額の汗を拭う港の作業員に、笑顔で客を迎える商人。


買い物や食事を楽しむ人。


忙しそうに、ひっきりなしに行き交う人々。


『ガーネットハブポート』には、イカリヤが言っていた通り、様々な髪の人たちがいた。


=

*グローブ:

本当にみんな、髪の色が違うんだ……。

でも、髪の色だけじゃなくて、格好も派手だなあ……。

=


通りのあちこちには屋台もあった。


不思議な形の果物や、じっくりと焼き上げられた肉料理が並び、どれも本当に美味しそうだ。


=

*グローブ:

あーっ……いい匂い。

何だろう、あの食べ物……?

=


目に映るすべてが、グローブにとっては初めてのものだった。


大通りを歩いていたグローブだが、道の向こうから歩いてくる一人の老人の姿に目を奪われ、完全に足を止めてしまった。


=

*グローブ:

あれっ……?

あのおじいさんの髪、グレーだけど……。

見たことない人だ。

=


『ジュエリオ島』には滅多にいないと、イカリヤから聞いたばかりの、自分と同じグレーの髪。


祖母のマリヤと同じくらいの年齢に見えるその老人は、この豊かな街の景色にすっかり溶け込んでいた。


どうしても気になり、グローブはその老人へと歩み寄った。


=

*グローブ:

あの……。

すみません。

=


老人は静かに足を止め、深く鋭い瞳でグローブの姿をじっと見つめ返した。


=

*グレーの髪の老人:

んっ?

……なんだ、小僧。

=

*グローブ:

あ、いえ……すみません!

ボク、『グレーダイヤモンド島』を初めて出たんです。

それで、いろんな髪の色の人の中に自分と同じ色のあなたを見つけて……。

つい、声をかけてしまったんです。

=

*グレーの髪の老人:

ほう、そうか。

それで、島で見かけたことがない俺様が気になったってわけだな……。

=

*グローブ:

はい……すみません……。

=

*グレーの髪の老人:

この『ジュエリオ島』は広いからな。

グレーの髪も少しはいるさ。

まあ、この辺りじゃあ、俺様しかいないけどな。

=


そう言い残すと、グレーの髪の老人は雑踏の中へと歩き去ってしまった。


――グウゥ。


=

*グローブ:

そういえば、お腹空いたな。

おばあちゃんからもらったパンケーキがあるけど……。

あれは馬車の中とかで食べたいもんね。

=


グローブは飲食店へと足を向けた。


だが――

そこでグローブが目にしたのは、あまりにも信じがたい光景だった。


食事をしていた客たちが、平然と料理を食べ残していた。


=

*グローブ:

おばあちゃんが食べ残しはダメ――

「食べ物を粗末にすると目がつぶれる」って言ってたのに……。

なんで!?

=


その光景に少しモヤモヤしたものの、空腹だったグローブは料理を注文した。


=

*グローブ:

みんなが残してる理由って、量が多すぎるとか、なのかな……。

それとも、単純にマズイから?

=


グローブは料理が届くまでの間、食べ残す理由を考えていた。


=

*店員:

はい、お待たせしましたー!

=

*グローブ:

うわー、美味しそー!

いただきます。

=


◇

*グローブ:

量は普通だ……。

味は……美味しい!

っていうか……。

めちゃくちゃ、うまいじゃん。

じゃあ、なんで残すんだろう?

◇


グローブは料理をきれいに平らげ、謎を抱えたまま店をあとにした。


お腹は満たされたものの、胸の中のモヤモヤは、まだ晴れないまま歩いていると――

今度は服や靴、バッグなどが、山のように積み上げられている光景が視界に入ってきた。


=

*グローブ:

えっ、これゴミ!?

捨てられてるの?

なんで……?

まだ使えるよ。

嘘でしょ。

もったいないよ。

=


『グレーダイヤモンド島』では壊れた道具や衣類は、何度も直しながら使っていた。


その時――


=

*女の子:

あぁーあ……。

このオモチャ、お気に入りだったんだけどなぁ。

ここが折れちゃったから、もういらない。

=


――ポイッ。


すぐ近くを歩いていた小さな女の子が、持っていたカラクリ人形を、ゴミの山へ放り投げた。


ほんの一部が壊れただけで、まだ全体はピカピカだった。


=

*グローブ:

ちょっと待って……!

捨てないで。

=


たまらなくなったグローブは、女の子が投げ捨てた人形を指さした。


=

*女の子:

えっ、なに……!?

それ壊れちゃったんだよ。

また新しいのを買ってもらうからいいの。

同じのはないかもしれないけど……。

=

*グローブ:

そうなんだ……ごめん。

でも……。

このくらいならすぐ直せるから、ちょっとだけ待ってて。

=


そう言うとグローブは、ウエストバッグから工具を取り出した。


折れた継ぎ目を器用に補強し、流れるような手際で外れたギアを組み直していく。


グローブの指先から淡い光がこぼれた。


割れた部分を指先でなぞると、まるでボンドで接着したかのように、ぴたりとくっついていった。


=

*グローブ:

どう?

これで直ったよ。

=


グローブが人形の背中のネジを巻くと、新品のようにカチカチと元気よく動き出した。


=

*女の子:

うわぁっ、すごい!

動いた!

これ、お気に入りだったから、本当は捨てたくなかったんだ。

ありがとう。

=


嬉しそうに走り去っていく女の子の背中を見送り、グローブはホッと胸をなでおろした。


その時、背後から「ほう」という渋い声が響いた。


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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