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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第二章:自由の国ルビスタン(全16話)030-045
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第030話:満月の約束


第二章:自由の国ルビスタン


―前回のあらすじ―


ここからは、グローブの物語に戻ります。


グローブが『ジュエリオ島』へ向かう連絡船の中でお弁当を開くと、昨夜のチサトとの記憶が鮮やかによみがえった。



=

*グローブ:

ちゃんと「いただきます」って言ってから食べないと怒られちゃうからな〜。

=


グローブはお弁当に手を合わせた。


=

*グローブ:

……いただきます。

=


◇ ◇ ◇


出発前夜――

グローブは静まり返った自分の部屋で、天井を見つめていた。


=

*グローブ:

はぁーっ。

いろいろ考えてたら、眠れなくなっちゃったよ……。

ちょっとだけ、散歩しようかな。

=


気分転換にグローブは、家をそっと抜け出した。


その足は引き寄せられるように、『アレキサンドライトの泉』へと向かっていた。


真っ暗な『カオスの森』を抜けると、【紫】になった泉に人影が見えた。


=

*グローブ:

……あれ?

チサト……?

=

*チサト:

あっ……グローブ?

=

*グローブ:

なんで……もう遅いのに……。

=

*チサト:

そっちこそ。

私は、明日のこととか考えてたら、眠れなくて……。

=


チサトは少し照れくさそうに笑った。


=

*チサト:

ねえ、グローブ。

『オパールマウンテン』で一緒に見た星空、覚えてる?

=

*グローブ:

うん、もちろんだよ。

=

*チサト:

実はさっき……。

『オパールマウンテン』の登山口まで行ったの。

もう一度、あの満天の星空が見たくて……。

でも、やっぱり鍵がかかってた。

=


ぽつり、ぽつりと紡がれるチサトの言葉。


=

*チサト:

開いてたとしても、今から登れるはずないのにね。

だから、私……また見たいんだなって思った。

あの星空を……。

だけど、グローブにも行ってほしくない。

本当は行ってほしくないのに――

でも……あの星空も見たい。

もう自分でも、何が何だか、どうしていいのか分かんないよ。

=

*グローブ:

絶対に……。

絶対に雨を止めてみせるよ。

山頂で聞こえた声は、雨を止められるかもしれないって言っただけだけど……。

その方法を見つけてみせる。

だから絶対――

この場所で、一緒に星空を見よう。

夜明けまでずっと……。

=


チサトは軽く頷いたあと、少し笑った。


そして、グローブの左胸にある紋章、《コードリンク》を見つめた。


=

*チサト:

そういえば……山に登る前、私と約束してくれたよね。

何かあったら、責任取ってくれるって。

=

*グローブ:

うん……。

=

*チサト:

その紋章で私、「バチィッ!」ってなって、気絶しちゃったよね?

=

*グローブ:

そうだったね……。

ごめん。

=

*チサト:

その時の責任、まだ取ってもらってなかったんですけど?

=


そのいたずらっぽい笑顔は、いつものチサト、そのものだった。


=

*チサト:

じゃあ、その責任取ってもらおうかな。

=

*グローブ:

えっ、今?

どうやって?

=


そう言うとチサトは、グローブの目の前まで近づいた。


それから、そっと瞳を閉じて、小さく口を尖らせた。


=

*チサト:

ほーら、早くしないと泣いちゃうぞ。

=


からかうような言葉とは裏腹に、こらえきれなかった一粒の涙が、チサトの頬を伝って落ちていく。


グローブはゆっくりと顔を近づけた。


互いの吐息が触れそうになった時――

チサトはふっと目を開けた。


――ちゅっ。


グローブの頬に、軽く唇をあてたチサトは、サッと身を引いた。


=

*チサト:

……あぁー、なんかスッキリした。

ありがと、グローブ。

じゃあ、約束、守ってね。

=


不意を突かれたグローブは、呆然と立ち尽くしていた。


=

*チサト:

なーに、その顔。

まさか、もう忘れたんじゃないでしょうね。

ここで「夜明けまで星空を見る」って、約束よ。

あなた、さっき言ったでしょ!?

=

*グローブ:

ちゃんと覚えてるよ。

=

*チサト:

ふーん……。

それじゃあ、『オパールマウンテン』で見た月のことも、ちゃんと覚えてる?

=

*グローブ:

うん、覚えてるよ。

三日月だよね。

=

*チサト:

そう!

だから、今度は満月!

満月の星空だよ。

絶対だよ……。

絶対に約束だからね!

=


ぽつ……ぽつ……ぽつ……。


いつものように島には、静かな雨が降っていた。


二人を優しく見守るように。


◇ ◇ ◇


――ふと我に返ると、チサトのお弁当も残りわずかとなっていた。


気がつけば、頭が冴えわたっていた。


=

*グローブ:

チサト……また《エデンの実》、お弁当に入れてたんだ……。

=


グローブは最後の一口を食べ終えると――

からっぽになったお弁当箱の底を見つめた。


=

*グローブ:

ごちそうさまでした。

=


グローブは手を合わせたあと、お弁当の蓋を閉じると、少しだけ寂しくなった。


気分を切り替えるため、デッキへと向かった。


――キラリ……。


頬を打つ潮風。


輝く青空。


そして――

真っ赤な太陽。


=

*グローブ:

島の外は、『オパールマウンテン』の山頂と同じで、本当に晴れてるんだ……。

=


それからグローブは、遠ざかっていく『グレーダイヤモンド島』を見つめた。


雨雲に包まれた島が、しだいに小さくなっていく。


=

*グローブ:

――絶対に、約束を守るからね。

=


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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