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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
過去・序章:メロディア島の遺産(全07話)023-029
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第028話:旋風のトッカータ


過去・序章:メロディア島の遺産


―前回のあらすじ―


『スギライトの塔』を攻略したジェンドたちは、最上階で神獣と《虹の笛》を発見した。


《虹のオーブ》の力で風の障壁を消し、ジェンドが《虹の笛》を拾い上げた瞬間、二つの神器が共鳴した。



共鳴した二つの神器は八色の光を放った。


その光はマリヤの腰にある《漆黒の苦無》へと流れ込んだ。


=

*マリヤ:

えっ……!?

なに?

=


八色の光が収まると、マリヤは《漆黒の苦無》を腰から引き抜き、構えていた。


そして次の瞬間――

マリヤは床を蹴り、くるりと軽やかに宙へ旋回した。


――シュッ!


刃先から柔らかな翠の風が溢れ出し、螺旋を描く旋風となって空間を満たしていく。


マリヤは無意識のうちに身体を動かし、唇から秘技の名をこぼしていた。


=

*マリヤ:

――《旋風のトッカータ》。

=


それは旋風の刃が、心にある「罪悪」を切り刻み、消し去る秘技だった。


=

*ジェンド:

マリヤ、すごいよ……。

=

*ダン:

おいおい、どうしちまったんだ?

武器が怖いって、言ってたお前が。

=

*レイ:

何かの秘技のようにも見えましたよ。

=

*マリヤ:

ええ……身体が勝手に動いて……。

《旋風のトッカータ》って言葉が浮かんできたの。

=

*ジェンド:

今の光の共鳴……《虹の笛》が君を選んでいたように見えたよ。

だから……この笛は、君が持つべきなんだと思う。

=


ジェンドは《虹の笛》を、マリヤへと差し出した。


マリヤが笛に触れた瞬間――

今度は、美しい旋律とともに、澄んだ声が頭の中に響き渡った。


◇◇◇


=

*???:

その旋律は、《昇華のプレリュード》です。

反発する力を共鳴させることができます。

その音色は、傷ついた身体を癒やすこともできるでしょう。

=


◇◇◇


楽器など一度も触ったことのないマリヤだったが、無意識に《虹の笛》を口元へと寄せていた。


『スギライトの塔』の最上階に、美しい音色が響き渡った。


=

*ダン:

マリヤ、お前が笛なんか吹いてるとこ見たことなかったけど……。

うまいな。

=

*レイ:

ええ。

それに、疲れが一瞬で吹き飛ぶようです。

=

*ジェンド:

なんて完璧な旋律なんだ……。

=


塔を包んでいた柔らかな光がすっと収まり、マリヤは静かに笛を口元から離した。


=

*マリヤ:

これは、《昇華のプレリュード》。

反発する力を共鳴させる旋律みたいよ。

=

*ジェンド:

反発する力……!?

焦げる……《エデンの実》……。

これだ……!

この旋律だよ。

《共鳴窯》に必要だった音の正体は……。

=

*ダン:

やったな、ジェンド。

この調子で、さっさと次の神器も手に入れちまおうぜ。

=

*レイ:

ええ、そうですね。

そろそろ、塔を下りましょう。

=


四人は階段を、一気に駆け下りた。


しかし――

一階へとたどり着いた時には、外は闇に包まれ始めていた。


=

*ダン:

もう、暗くなっちまうな。

足元が悪い道を、夜歩くのは、さすがに危険だからな。

=

*レイ:

ええ。

今日はこの塔の一階で、キャンプするのはどうでしょう?

=

*マリヤ:

賛成!

街まで戻るのに、歩いて丸二日でしょう?

明日の朝に出発しても、《セブンパス》が切れるまでには、十分に間に合うしね。

=

*ジェンド:

うん、そうだね。

今夜はここで身体を休めて、夜が明けたらすぐに出発しよう。

=


ジェンドたちは『スギライトの塔』の一階で、キャンプをすることにした。


そして――

静かな夜が過ぎ、塔の隙間から朝の光が差し込み始めた。


=

*ジェンド:

おはよう。

……《セブンパス》が緑色になったね。

=

*レイ:

残り、3日ですね。

=

*ダン:

まあ、街までは丸二日だ。

心配することはねえよ。

=


身支度を終えた四人が、塔の外へ出ようとした瞬間――

――ズシン!


大扉の前に、出入口を完全に塞ぐほどの巨大な塊が、轟音とともに落下してきた。


=

*ダン:

な、なんだぁ、こいつは……!

出られねえじゃねえか!

=

*レイ:

これは、なんですか?

生き物?

=

*スロース:

ふぉふぉふぉふぉ。

失礼ですね。

私は、スロース。

あるお方の命で、神器を運び出す者を見張っているのですよ。

=

*ジェンド:

見張っている……!?

=

*スロース:

ふぉふぉふぉふぉ。

その《虹の笛》を置いて行きなさい。

そうすれば、通してあげます。

=

*ジェンド:

僕たちには、これが必要なんだ。

だから、そこをどいてよ。

=

*スロース:

ふぉふぉふぉふぉ。

そうですか……。

それなら、そこで朽ち果てるまで、無駄な時間を過ごせばいい……。

あなた方が、動けなくなったら、ゆっくり回収させてもらいますから。

=


スロースはそう言うと、スライムのように身体を伸ばし、出入口の隙間を完全に塞いでしまった。


=

*ダン:

どかねえなら、力づくでぶっ飛ばすまでだよ!

=


ダンが《火竜の斧》を渾身の力で振り下ろした。


――ズバァーン!


=

*ダン:

よっしゃー!

真っ二つだぜ。

=


だが――

みるみるうちに、スロースの身体は元通りに戻ってしまった。


=

*ダン:

なっ……!?

切ったそばから、くっつきやがったぞ!?

=

*レイ:

それなら自分が!

=


レイが《水龍の槍》を高速で繰り出した。


――バシュシュシュシュ!


スロースの身体に無数の穴が空いたが、すぐに塞がってしまった。


=

*レイ:

ダメです……。

すぐ再生してしまいます。

=


二人の背後では、ジェンドが《ゼウスの弓》を構えていた。


――シュン!


シュン、シュン!


ヌプッ。


ヌプッ、ヌプッ。


=

*ジェンド:

矢が吸収されていく……。

=


スロースは大きなあくびをひとつ漏らした。


=

*スロース:

ふわぁ……あ……。

だるい……。

痛くも痒くもないので、お好きなだけどうぞ……。

私は攻撃なんて、面倒なことしませんから……。

力尽きるまで、頑張ってください。

=


スロースは寝息を立て始めた。


それから三人は、同時に攻撃してみたり、順番に連続で攻撃したりした。


しかし――

結果は変わらず、無情にも時間だけが過ぎていく。


=

*ダン:

マジか……。

こいつ、斬っても突いても何してもダメだぜ!

=

*レイ:

相手が攻撃してこないのが幸いですが……。

=

*マリヤ:

……みんな、下がって!

=

*ジェンド:

マリヤ……!?

=


マリヤは前へ進み出ると、震える手で、腰の《漆黒の苦無》を静かに引き抜いた。


マリヤは床を強く蹴り、宙へと身を翻した。


――シュッ!


=

*マリヤ:

――《旋風のトッカータ》!!

=


旋風の刃が、スロースの心に巣くう「罪悪」を包み込み、切り裂きながら、消し去っていく。


=

*スロース:

なっ……!?

な、なんだ……この風は……!?

まさか、これが秘技……?

ぐあぁぁぁーーーっ!!!

=


スロースの巨体が緑紫色の光に包まれ、ガラスが砕けるように、光の粒子となって霧散していった。


――パリィィィン……!!


大扉を完全に塞いでいた塊が、跡形もなく消えていた。


=

*ダン:

……す、げえ……。

なんなんだ、今のは……。

=

*レイ:

力技じゃない……ですね。

=

*ジェンド:

マリヤ……!

ありがとう。

=

*マリヤ:

はぁ……よかった……。

でも、怖かった……。

=


外の風が、開かれた出入口から塔の中へと吹き込んできた。


=

*レイ:

扉は開きましたが……。

予定より半日遅れの出発になりましたね。

……急ぎましょう。

=

*ダン:

街までは丸二日……。

のんびりは、できねえけど……。

まあ、まだ何とかなる。

=

*ジェンド:

それにしても……あのスロースって……。

まさか……オベリスクの結界が効かない魔物がいるのか?

=


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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