第027話:スギライトの塔
過去・序章:メロディア島の遺産
―前回のあらすじ―
『叡智の書蔵』で四つの神器の存在を知ったジェンドたちは、マリヤが持つ《虹のオーブ》が、その封印を解く鍵だと知った。
最初の目的地である北の聖域『スギライトの塔』を目指し、四人は新たな一歩を踏み出した。
四人はパープルオベリスクで《セブンパス》をチャージし、『スギライトの塔』へと向かった。
『クンツァイトの都』から真北に約50キロ。
馬車も通らない荒野を、装備を背負って歩くのは過酷な道のりだった。
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*マリヤ:
本当にこの方向で合ってる?
険しくなってるみたいだけど……。
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*ジェンド:
うん、間違いないよ。
僕が『叡智の書蔵』で学んでいた頃、学皇様から場所を聞いたことがあるんだ。
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2日目の夕方――
ようやく四人の目に『スギライトの塔』が見えてきた。
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*マリヤ:
あ……塔だよ。
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*ジェンド:
ふぅーっ。
やっと着いたね。
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*ダン:
ああ。
さっさと塔の中に入ろうぜ!
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*レイ:
しかし、開けた途端に何か出てくるかもしれませんよ。
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*マリヤ:
それじゃあ、外でキャンプの準備する?
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*ジェンド:
うん。
万全の状態で塔に入ろうよ。
丸二日歩いて、みんなクタクタだしね。
まずはしっかり休もう。
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翌朝――
《セブンパス》の光晶は「青」へと変わり、残り5日を示していた。
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*ジェンド:
みんな、よく眠れた?
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*ダン:
おう!
体力全開だぜ!
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*マリヤ:
私もよ。
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*レイ:
今なら、何が出てきても大丈夫です。
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*ジェンド:
うん、そうだね。
それじゃあ、さっそく行こう。
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*ダン:
よっしゃ、突入だぜ!
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ダンが扉を豪快に引いた。
――ガシャーン!
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*ダン:
……お?
……鍵がかかってやがる。
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*レイ:
ここで《虹のオーブ》なのでは?
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*マリヤ:
そうね。
分かったわ。
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マリヤは胸元の《虹のオーブ》に左手をあて、右手で扉を握った。
だが――
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*マリヤ:
あれ……?
何も起きないわ。
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次に《虹のオーブ》を両手で包み込み、祈った。
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*マリヤ:
ダメだわ……。
=
さらに《虹のオーブ》を掲げてみた。
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*ジェンド:
……ちょっと待って。
この扉の取っ手。
よく見てみると……頑丈そうな錠前がぶら下がっているよ。
学皇様が……後から付けさせたものかもしれない!?
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*ダン:
それじゃあ、また街まで戻って、鍵を借りてくるのか?
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*レイ:
この道を往復するのは大変ですね……。
=
*ジェンド:
これくらいなら、僕が開けられるよ。
学皇様には申し訳ないけど……。
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ジェンドはポーチから細いピンを取り出し、鍵穴へと差し込んだ。
――カチャ、カチャ。
カチリ。
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*ジェンド:
ねっ。
開いたでしょ。
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*ダン:
すげえな、お前。
まあ、俺様の一撃でも壊れたけどな。
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*レイ:
お見事です。
50キロの道のりを戻るのは正直イヤでした。
内心、ホッとしましたよ。
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*マリヤ:
……それじゃあ、この《虹のオーブ》はどこで使うのかしら?
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*ジェンド:
分からないけど……。
古文書に書いてあったんだから、使うところがあるはずだよ。
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*マリヤ:
そうね。
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四人は大扉を開け、最初の聖域『スギライトの塔』へと足を踏み入れた。
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*ダン:
……なんだここ?
なんにもねえじゃねえか。
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*レイ:
確かに……。
二階に上がる階段も、見当たりませんね。
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マリヤが壁の歯車を指さした。
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*マリヤ:
あれは……何かしら?
時計の内側みたい。
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ジェンドが駆け寄って、その歯車を確かめた。
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*ジェンド:
これは、『叡智の書蔵』の古文書にあった、古代の幾何学機構だ。
正しい手順で歯車を連動させないと、上の階への通路が現れない仕組みなんだよ。
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*ダン:
なんか難しそうだな。
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*レイ:
ジェンド、いけそうですか?
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*ジェンド:
大丈夫、任せて。
古文書にあった理論通りなら、解けるはず……。
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ジェンドは真剣な眼差しで、歯車を見据えた。
複雑に並んだ歯車の奥に隠された「法則」を、頭の中で組み立てていく。
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*ジェンド:
よし、分かったよ。
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ジェンドは迷いなく、壁の歯車とレバーを次々と動かしていった。
――ゴゴゴゴゴゴゴ。
天井が開き、二階へと上がる階段が下りてきた。
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*レイ:
天井から下りてくる仕組みだったんですね。
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*ダン:
壁をぶっ叩かなくて、正解だったぜ。
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*マリヤ:
これで、二階へ上がれるわね。
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四人は下りてきた階段を上った。
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*ダン:
うげっ!
また同じような壁だぜ……。
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*レイ:
ジェンド……。
申し訳ないですが、またお願いします。
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*ジェンド:
うん、任せて。
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幾何学の仕掛けは、階を上がるごとに複雑さを増していった。
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*マリヤ:
ジェンド、休憩しなくても大丈夫……?
もう何時間も、そうしてるわよ。
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*ダン:
無理するな。
もう半分以上は、登ってきてるだろうからな。
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*レイ:
ええ。
だけど、自分たちは見てるだけですから……。
心配です。
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*ジェンド:
みんな、ありがとう。
……ここまで解いたら、今日はやめにするよ。
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翌朝――
《セブンパス》の光晶は「蒼銀」へと変わり、残り4日を示していた。
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*ジェンド:
よし、今日こそ、最上階までいくよ。
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*マリヤ:
頑張ってね……。
=
仲間の声援を背に、ジェンドは昨日の経験を活かして残りの仕掛けを次々と解いていった。
そしてついに――
四人は塔の最上階へとたどり着いた。
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*ジェンド:
あれは……!?
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目の前に現れたのは、神獣、《鷲獅子》の石像だった。
その前には、すべてを切り刻むほどの激しい風の障壁が展開されていた。
その神獣の足元には、一本の美しい笛があった。
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*ダン:
あの古文書で見た、挿絵と同じだな。
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*レイ:
ええ。
まったく同じです。
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*マリヤ:
それじゃあ、障壁を解くのが《虹のオーブ》ってことかしら?
=
*ジェンド:
たぶん、そうだよ。
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――ビュン、ビュン、ビュン、ビュン、ビュン……。
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*ダン:
それにしても、すごい音だな。
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*レイ:
これ以上、近づくと身体を切り刻まれそうです。
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*ジェンド:
マリヤ……大丈夫?
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*マリヤ:
怖いけど……。
ジェンドが頑張ってくれたから……私も逃げない。
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マリヤは強く頷くと、風の障壁へと歩み寄った。
すると――
《虹のオーブ》から八色の光が放たれた。
障壁の風が弱まっていく。
突風の轟音はみるみる収まり、やがて完全な静寂が訪れた。
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*ジェンド:
……消えた。
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ジェンドは静かに歩み寄り、神獣の足元に置かれた《虹の笛》を拾い上げた。
その瞬間――
《虹のオーブ》と《虹の笛》が共鳴した。




