第024話:二人の誓い
過去・序章:メロディア島の遺産
―前回のあらすじ―
トレブルは『叡智の書蔵』でギルテンドの思想に出会い、その意志を受け継ぐ者として「ジェンド」を名乗るようになった。
《神秘のマナ》の存在を知った彼は、《セブンパス》を手に、『グレーダイヤモンド島』へ帰る決意をした。
ジェンドは『クンツァイトの都』のパープルオベリスクへ向かい、完成した《セブンパス》をはめた手でオベリスクにそっと触れた。
指輪の光晶が淡い光を放ち、純白に輝いた。
ジェンドはそのまま、街の西門にある馬車の停留所へと足を運んだ。
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*ジェンド:
すみません。
お金持ってないんですけど、乗せてもらえませんか?
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*御者:
はぁあ!?
ダメに決まってるだろ!
なめてんのか?
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*ジェンド:
それじゃあ……。
ちょっとだけ、見ててもらえませんか?
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そう言うとジェンドは、街の結界の外へと歩いて行った。
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*御者:
アイツ、バカだろ……。
《ハルモニアの水》も飲まずに、外に出て行くなんて……。
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馬車の御者が呆れて呟く。
その時――
ジェンドに近づいた魔物が、見えない結界に弾き飛ばされた。
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*御者:
ん!?
アイツに近づく魔物が、弾かれていってるよ……。
じゃあ、水を飲んでたのか……?
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ジェンドが御者のところへと戻ってきた。
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*御者:
お前……《ハルモニアの水》を飲んでたんだな。
どうやって手に入れたんだ?
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*ジェンド:
飲んでませんよ。
ただ、同じ結界を張れるんです。
だから、僕を馬車に乗せている間は、《ハルモニアの水》は飲まなくても大丈夫ですよ。
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*御者:
なっ……!?
本当か!?
仕入れるのにも金がかかるってのに、飲まなくていいなら大助かりだ!
おい、荷台の特等席に乗りな!
客が集まり次第、すぐに出発するからよ!
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ジェンドは街から街へと馬車を乗り継ぎ、連絡船を経て――
ついに『グレーダイヤモンド島』へと帰還した。
故郷へ戻った彼を迎えたのは、幼馴染のマリヤ、ダン、レイだった。
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*マリヤ:
おかえり、トレブル。
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*ジェンド:
ただいま、マリヤ……。
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ジェンドが旅に出てから、二人は改めて、お互いの存在の大切さを感じていた。
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*ダン:
へへっ、元気そうだな!
トレブル!
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*レイ:
みんな、トレブルの帰りを待ってたんですよ。
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*ジェンド:
16歳で島を出て、もう24歳だ。
みんなもすっかり大人だね。
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四人は、久しぶりの再会を喜び合った。
そしてジェンドは今、トレブルの名を捨て、ジェンドと名乗っていることを皆に告げた。
ギルテンドの思想、世界を調和へと導く《神秘のマナ》――
そんな話を、マリヤは誰よりも真剣な眼差しで聞いていた。
人の心を満たし、「罪悪」を終わらせると言うジェンド。
その壮大な使命に、彼女もまた心を動かされていた。
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*マリヤ:
素晴らしいわ、トレブル……いえ、ジェンド。
私にも……あなたの使命を共有させて。
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*ジェンド:
うん、もちろんだよ。
マリヤ。
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同じ夢を抱いた二人。
その日から、二人は同じ未来を歩むことを誓った。
ジェンドは窯を作り上げるのに集中するため――
素材集めを、ダンとレイに依頼した。
ダンは、『ミルキークォーツの丘』のラテラに育てられていた。
《カウカーム》のミルクは、ダンにとって幼い頃から慣れ親しんだ身近な恵みであった。
レイもまた、『ロッククリスタルの谷』のルアンに育てられていたのだ。
《ヘンブレス》の卵を手に入れるのは、レイにとって造作もないことだった。
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*ジェンド:
よし、これで完成だ……。
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*マリヤ:
ついに出来上がったのね。
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*ジェンド:
うん。
それでこの窯に名前を付けようと思うんだけど……。
ギルテンドの手記に、共鳴させる窯だって書いてあったから……。
《共鳴窯》って、どうかな。
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*マリヤ:
ええ、とても素敵よ。
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ジェンドが《共鳴窯》を完成させた頃、ダンとレイもまた、すべての素材を揃え終えていた。
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*ダン:
よう!
帰ったぜ。
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*レイ:
あっ……窯も出来上がったみたいですね。
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*ジェンド:
うん、《共鳴窯》って名前をつけたんだ。
素材も揃ったみたいだね。
ありがとう……ダン、レイ。
さっそく、作ってみたいんだけど……。
いいかな?
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*ダン:
もちろん、いいぜ。
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*レイ:
ええ、楽しみです。
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ジェンドは、完成した《共鳴窯》を見つめた。
ギルテンドが遺した理論。
ダンとレイ、そしてマリヤの協力。
そのすべてが、今ここに揃っている。
あとは、《神秘のマナ》を生み出すだけだった。




