↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
PR
22/36

第022話:旅立ちの日


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


『オパールマウンテン』で授かった使命を打ち明け、『グレーダイヤモンド島』から旅立つ決意を固めたグローブ。


《神秘のマナ》の残りの素材で作ったマリヤ特製のパスタに、みんな笑顔になった。



マリヤの創作料理、《モーレツパスタ》をみんなで食べ終えたあと、チサトがグローブに声をかけた。


=

*チサト:

ねぇ、グローブ……。

私も、一緒に行けるのかな?

=

*ナギ:

チサトも行きたいのか?

=

*ナミ:

ずっと、グローブと一緒に育ってきたんだもんねぇ。

=


家族の視線が集まる中、グローブは優しい目をチサトに向け、静かに首を横に振った。


=

*グローブ:

ごめん、チサト。

ボクは、一人で行くよ。

あっちには悪い人もいるって、おばあちゃんが言ってたでしょ。

=

*チサト:

でも……!

私も、グローブの力になりたいの!

=

*グローブ:

うん、ありがとう……。

……だけど、チサトも言ってたよね。

魔物もいるって。

そんな危ない場所に、チサトを連れて行きたくないんだ。

もし、チサトに何かあったら、ボクはきっと後悔するから……。

=


チサトの瞳には、みるみる涙が浮かんでいった。


グローブは《コードリンク》を握りしめた。


=

*グローブ:

きっと、この役目はボク一人でやらなきゃいけないんだ。

それに……もし、チサトがいなくなったら、ナギさんとナミさんの昼食はどうするの?

チサトの大切な仕事でしょ?

=


ナギは、娘を守ろうとするグローブの覚悟を感じ、静かに目を細めた。


ナミは、そっとチサトに寄り添うと、涙をこらえる娘の肩を優しく抱き寄せた。


それから、チサトたち家族はグローブの家をあとにした。


その後――

グローブは部屋にこもり、旅立ちに備えて防犯バッグ作りに没頭した。


――リュック、肩掛けバッグ、手提げ袋……。


さまざまな形を試作した。


そして出発の前日、ついに納得のいくウエストバッグが完成した。


それは上部を覆うフラップを備えたものだった。


グローブは《コードリンク》に触れ、フラップの留め具へ自分の波長を刻み込んだ。


=

*グローブ:

ふう、やっとできた……。

これなら、悪い人たちにだって簡単には開けられないぞ。

=


さらに、ウエストバッグ全体を包み込むように保護障壁を展開させた。


=

*グローブ:

よし、これなら傷だってつけられないし――

どんなことされても、中身が壊れることもないよ。

=


グローブは出来上がったウエストバッグを、満足そうに見つめた。


◇ ◇ ◇


時を同じくして――

マリヤは《トラベリーチョコ》と新作のパンケーキを作っていた。


《トラベリーチョコ》は五箱。


新作のパンケーキは、一口サイズのものを数十個作った。


=

*マリヤ:

うん。

うまくいった。

これを食べて、グローブも安心してくれるといいけどねぇ。

あの子は決して表情には出さないけど……。

初めての一人旅で、不安を覚えない人なんていないからねぇ。

=


マリヤは、出来上がった新作のパンケーキを袋に詰めながら、つぶやいた。


=

*マリヤ:

……そうだ。

このパンケーキに名前をつけましょう。

=


マリヤは出来上がったパンケーキを、じっと見つめた。


=

*マリヤ:

パンケーキだけど、ふっくらしてホットケーキみたいだから……。

《安心ほっとケーキ》ってどうかしら……。

=


◇ ◇ ◇


―トラベリーチョコ―

Travel-berry Chocolate


一粒で強い満腹感を得られ、体力も回復する。


腐りにくいため、旅人に人気があった。


一箱で家が買えるほどの価値があると噂される、幻のチョコレート。


《共鳴窯》で作るため希少。


必要な素材は――

トラベリー

スウィートウィート

ハルモニアの水


◇ ◇ ◇


―安心ほっとケーキ―

Anshin Hot Cake


不安な気持ちを和らげてくれるパンケーキ。


必要な素材は――

ヘンブレスの卵

カウカームのミルク

スウィートウィート

トラベリー


◇ ◇ ◇


ついに迎えた、出発の日の朝。


グローブはマリヤからオベリスクの説明を受け、《セブンパス》を手渡された。


さらに、五箱の《トラベリーチョコ》と、数十個の《安心ほっとケーキ》も受け取った。


=

*グローブ:

おばあちゃん、いろいろ用意してくれて、ありがとう。

それじゃあ……いってきます。

=

*マリヤ:

ああ、頑張るんだよ。

お前は《レインボーフェニックス》に選ばれたんだ。

自信を持ってね。

いってらっしゃい……。

=


そして――

グローブは『ダイヤの港』へと向かった。


港では、チサトたちがグローブの到着を待っていた。


=

*ナギ:

忘れ物してねえか?

しばらくは戻って来れねえだろうからな。

=

*ナミ:

グローブ、気をつけてね。

危なくなったら、逃げるんだよ。

=

*グローブ:

ナギさん、ナミさん……。

ありがとうございます。

=


ナギとナミの横で、うつむいていたチサトが顔を上げた。


=

*チサト:

本当に行っちゃうんだね。

グローブの16歳の誕生日からまだ、10日くらいしか経ってないんだよ……。

=


チサトは言葉に詰まりながらも、溢れそうになる涙を必死にこらえ、言葉を紡いだ。


=

*チサト:

それなのに……それなのに……。

ルアンさんにラテラさん。

『オパールマウンテン』に『アレキサンドライトの泉』。

あの日から、本当にいろいろあり過ぎて……。

なんだか、あっという間だったよ。

=

*グローブ:

絶対に……。

絶対に、この島の雨を止める方法を見つけて帰ってくるから……。

だから、それまで待っててよ。

=

*チサト:

……うん、分かってる。

信じてるから。

=


そう言うとチサトは、お弁当をグローブへと手渡した。


=

*チサト:

……船の中で食べてね。

=

*グローブ:

うぅ……っ。

=


チサトの手作りの温もりに触れ、グローブは思わず目頭を熱くした。


――ブゥォォォーーーン!


その時――

出航の時間を告げる、連絡船の汽笛が響き渡った。


ナギとナミに背中を押され、グローブは涙を拭いながら、タラップを駆け上がった。


デッキに立ったグローブは、手すりにしがみつくようにして、港で見送るチサトたちを見下ろした。


港の岸壁では、チサトたち三人が大きく手を振っていた。


――ゴゴゴゴ……。


大きなエンジン音が足元から響き、船体がゆっくりと岸壁から離れ始めた。


=

*チサト:

グローブーーっ!

身体に気をつけてねーーっ!

待ってるからねーーっ!

絶対に、絶対に帰ってきてねーーっ!

=


遠ざかっていく船に向かって、チサトは両手を口に添え、精一杯の声で叫んでいた。


その瞳からは、もうこらえきれなくなった涙がポロポロと溢れていた。


=

*グローブ:

チサトーー!

みんなーー!

行ってきまーーす!

=


グローブも喉が張り裂けんばかりの声で叫び返した。


『グレーダイヤモンド島』が霧で見えなくなるまで、ずっと手を振り続けた。


完全に島が見えなくなると、グローブは静かに船室へと足を向けた。


船室に用意されたベッドに腰掛け、グローブはチサトから受け取ったお弁当の包みをそっと開く。


慣れ親しんだ香りがふわりと漂い、グローブは思わず目を細めた。


その瞬間――

出発前夜のチサトとのあの出来事が、鮮やかによみがえった。


◇◇◇


第一章

止まない雨の島

――完


◇◇◇


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。