第021話:モーレツパスタ
第一章:止まない雨の島
―前回のあらすじ―
《神秘のマナ》の製作に失敗したグローブは、【緑】と【紫】の《エデンの実》にまつわる過去をマリヤから教わった。
そしてマリヤは、今度はグローブに『オパールマウンテン』で何があったのかを尋ねた。
グローブは《カリバーン》を抱えて、二階から戻ってきた。
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*グローブ:
『オパールマウンテン』の山頂で聞こえた声が、この聖剣を持っていきなさいと言ったんだ。
だから、預かってきたんだよ。
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*ナギ:
預かってきた?
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*グローブ:
うん、これを必要とする人に渡せって。
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*ナミ:
そう……。
あんたがもらったわけじゃないんだね。
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*グローブ:
それと、このブローチも……。
《コードリンク》っていう紋章なんだけど……。
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*チサト:
ダメ……!
それはグローブから離れると危ないから、絶対に触っちゃダメだよ!
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*ナギ:
どういうことだ?
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*チサト:
私が最初に触ったら、「バチィッ!」ってなったんだよ。
それで、気絶したんだから!
……精霊さんたちに助けてもらったんだけど……。
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*ナミ:
まあ……それは危ないねぇ。
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*グローブ:
うん。
なぜか、ボクが身につけている間は大丈夫みたいなんだけど……。
だから置き忘れてても、触らないでね。
あと……これを身につけてたら、ボクを待ってる人が分かるらしいんだ。
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マリヤは《カリバーン》と《コードリンク》を、どこか懐かしむような眼差しで見つめていた。
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*グローブ:
それに……。
この諸島の八つの都市を巡り、そこで暮らす人々を見て、「罪悪」を感じなさいって言われたんだ。
そうすれば、『グレーダイヤモンド島』の雨が止むかもって……。
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*マリヤ:
……そうかい。
ありがとう、話してくれて……。
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マリヤはグローブの目を真剣に見つめた。
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*マリヤ:
グローブ……。
それじゃあ、『グレーダイヤモンド島』を出て行くんだね。
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*グローブ:
うん……。
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*マリヤ:
ああ。
だけど、私からも頼みたいことがあるんだ。
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*グローブ:
えっ、おばあちゃんからも……?
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*マリヤ:
お前のお母さんにはねぇ……。
お兄さんがいてね。
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*グローブ:
お母さんのお兄さん……?
=
*マリヤ:
そう……お前のおじさんだよ。
そのおじさんが『メロディア島』にいるんだよ。
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*グローブ:
『メロディア島』……。
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*マリヤ:
『メロディア島』には一つだけ街があってね。
その街に、おじさんが住んでるんだ。
ガクトって言うんだけど。
お前が持ってる《虹の笛》を、ガクトに見せてほしいんだ。
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*グローブ:
うん……分かった。
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グローブは大きく深呼吸して、マリヤの目を見た。
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*グローブ:
それじゃあ、ボクがこれからやらないといけないことは――
この聖剣を必要としている人に届けること。
『メロディア島』に住む、ガクトおじさんに《虹の笛》を見せること。
そして、八つの都市を巡って「罪悪」を感じることだね。
=
マリヤは大きく頷いた。
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*マリヤ:
そうと決まったら、さっそく準備しなきゃねぇ。
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*グローブ:
えっと、何をすればいいの?
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*マリヤ:
そうだねぇ。
これから向かう『ジュエリオ島』や『メロディア島』は、ここ『グレーダイヤモンド島』とは違うんだよ。
人の物を勝手に持って行ったり、強引に奪い取る人だっているんだ。
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*グローブ:
……人の物を……奪う……?
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*マリヤ:
ああ、お前のその《コードリンク》は大丈夫だろうけど……。
他のものは、そうはいかないよ。
だからね……どこでもここでも、ものを置きっぱなしにしちゃダメよ。
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*グローブ:
そっかー、そうなんだ……。
……それじゃあ、バッグを作るよ。
盗まれないようにするか、盗まれてもすぐに見つけられるように工夫するよ。
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*マリヤ:
それがいいねぇ。
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グローブが立ち上がり、さっそく準備をしようとすると――
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*ナギ:
おいおい、グローブ!
マリヤさんに言われたそばから、大事な聖剣を置きっぱなしじゃねえか。
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ナギは立てかけられていた《カリバーン》をグローブに手渡そうと、その柄を握った。
――だが、ピクリとも動かない。
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*ナギ:
なんだあ?
この重さは……。
お前、よくこんな重てえもん、持って帰ってきたな。
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*グローブ:
持つだけなら、そんなに重くないよ。
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*ナミ:
ちょっと、私にも貸して。
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ナミも聖剣の柄を持ち、引いてみるが、やはり動かない。
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*ナミ:
あら……本当にビクともしないわね。
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*マリヤ:
聖剣も、置きっぱなしにしても大丈夫って分かったけど……。
用心しなさいよ。
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*グローブ:
うん、そうだね。
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マリヤは一言も喋らないチサトをチラッと見た。
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*マリヤ:
それじゃあ、今日はみんなでパスタでも食べましょう。
まだたくさん、素材があるからねぇ。
《スウィートウィート》で麺。
《カウカーム》のミルクでクリームソース。
《ヘンブレス》の卵でオムレツ。
《エンジェルティア》で味を調えれば――
《モーレツパスタ》の完成だよ。
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*グローブ:
えっ、なにそれ?
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*マリヤ:
えっ、聞くのかい?
牛さんの「モー」とオムレツの「レツ」で「モーレツ」だよ。
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その意味を聞いたチサトが少し笑った。
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*チサト:
ふふっ。
名前は面白いけど、普通に美味しそう。
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*マリヤ:
ホホホ、いいだろう?
さっき思いついたんだけどねぇ。
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*グローブ:
おばあちゃん、ボクも手伝うよ!
これは《共鳴窯》で作るの?
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*マリヤ:
どっちでも作れるよ。
だけど、お前が作り方を覚えられるように、今日は普通に作りましょうね。
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*グローブ:
うん!
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*チサト:
私も手伝いたい!
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*マリヤ:
じゃあ、みんなで作りましょう!
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やがて、美味しそうな匂いがしてきた。
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*マリヤ:
さあ、できたわよ!
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テーブルの上に、湯気の立つ大皿が置かれた。
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*ナギ:
おお、これはうまそうだな!
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*ナミ:
ふふっ。
量もモーレツね。
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*グローブ:
ボクも手伝ったんだよ!
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*チサト:
うんうん。
グローブも頑張ってた。
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*マリヤ:
さあ、いただきましょうね。
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*グローブ:
それじゃあ、いただきまーす!
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グローブはフォークで麺をすくい、大きな口を開けて頬張った。
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*グローブ:
ん~っ、おいしい!
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*チサト:
本当……フワッフワで、トロットロだよ……。
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マリヤも、ナギもナミも、みんな笑顔になった。




