↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
PR
2/36

第002話:川の向こう側


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


グローブは16歳の誕生日に、祖母マリヤから一族に代々伝わる《虹のオーブ》を手渡された。


その瞬間、不思議な光景を目にし、謎の声から「オパールマウンテンの山頂へ行け」と告げられた。



翌朝――

食卓についたグローブは、黙り込んだまま、湯気の立つスープをじっと眺めていた。


=

*マリヤ:

おや……?

グローブ、どうしたんだい?

具合でも悪いのかい?

=

*グローブ:

あの……おばあちゃん。

昨日の『オパールマウンテン』のことなんだけど……。

行きたいんだ。

あの不思議な感覚は――

《レインボーフェニックス》のお告げだと思うんだ。

=


マリヤはグローブを真剣に見つめた。


=

*マリヤ:

……グローブ。

《レインボーフェニックス》の声は、選ばれた者にしか聞こえない……。

だから、《虹のオーブ》に触れた時に聞こえたんだろう。

……でもね……。

お前はまだ、川の向こう側にさえ、行ったことないだろう?

=


痛いところを突かれ、グローブは思わず目をそらしてしまった。


=

*マリヤ:

……今のお前には『オパールマウンテン』は無理だよ。

=

*グローブ:

でも……!

どうしても、行かなきゃいけない――

そんな気がするんだ。

=

*マリヤ:

ああ、そうだろうね。

ただ、今のお前を行かせるわけにはいかないよ。

=


そう言ったあと、マリヤは少しの間、考えるように黙り込んだ。


そして――

何かを思いついたように、小さな笑みを浮かべた。


=

*マリヤ:

じゃあ、こういうのはどうだい。

『ロッククリスタルの谷』で《ヘンブレス》の卵を、取ってくるっていうのは?

=

*グローブ:

えっ、川の向こうに?

=

*マリヤ:

そうだよ。

東の果てに「ルアン」って人がいるから、もらってきておくれ。

……それができなきゃ『オパールマウンテン』なんて、とても無理だよ。

=

*グローブ:

……分かった。

《ヘンブレス》の卵だね。

=


朝食を終えたグローブが外に出ると――

向かいの『ダイヤモンドビーチ』には、ナギとナミがいた。


=

*ナギ:

よう、おはようさん。

ん、どうした?

今日は仕事しねえのか?

=

*ナミ:

おはよう、グローブ。

なんだか今日は、いつもより元気がなさそうに見えるけど……。

=

*グローブ:

あっ……二人とも、おはよう。

おばあちゃんから、ちょっとしたおつかいを頼まれちゃって……。

だから今日は、仕事、手伝えないんだ。

=

*ナギ:

ん、おつかい?

村長がお前に頼み事なんて、珍しいじゃねぇか。

=

*グローブ:

うん……。

『ロッククリスタルの谷』に行かなきゃいけないんだ。

=

*ナミ:

じゃあ、《ヘンブレス》の卵だね。

アンタ、あそこまで行ったことあるのかい?

=


ナミの問いかけに、グローブは黙って首を横に振った。


=

*ナギ:

まあ、心配すんな、グローブ。

この島には化け物とか、いねえからな。

=

*ナミ:

……でも、気をつけて行くんだよ。

=

*グローブ:

うん。

=


グローブは小さな不安を抱えたまま、東へと向かっていた。


すると――


=

*チサト:

おーい、グローブ!

待ってよー!

=


振り返ると、チサトが小走りで駆けてきていた。


=

*チサト:

ちょっと、お母さんから聞いたよ。

『ロッククリスタルの谷』に行くんだって?

=

*グローブ:

うん。

=

*チサト:

あそこ……。

昼間でも、けっこう暗いらしいよ。

一人で大丈夫?

=

*グローブ:

えっ!?

うっ……。

=

*チサト:

ほら、怖いんでしょ?

無理しないで。

私が一緒に行ってあげるよ。

ねっ!?

=


チサトはそう言うと、グローブの隣に並んで歩き出した。


グローブは少し安心したように、息を吐いた。


それから二人は、『ダイヤの港』を横目に、道なりに歩みを進めた。


港には、『ジュエリオ島』との間を往復するための大きな連絡船が停泊していた。


=

*チサト:

ねぇ、グローブ。

『ジュエリオ島』の人が、この島に来ない理由って、知ってる?

=

*グローブ:

うん。

この止まない雨のせいで――

「呪われた島」って、怖がられてるからでしょ。

=

*チサト:

そうそう。

こっちの連絡船が、行ったり来たりしてるだけなんだって。

雨は降ってるけど、呪いなんてないのにね。

=


だからグローブは、島の外から来た人をまだ見たことがなかった。


――しゃん、しゃん、しゃん、しゃん……。


しばらく歩いていると――

耳慣れない不思議な音が響いてきた。


=

*チサト:

あ、この音……。

もうすぐ『ロッククリスタルの川』だ。

不思議だよね……。

海に雨が落ちてもこんな音はしないのに……。

=


雨粒が川面を叩くたび、まるでガラスの鈴を振ったような、涼やかな音が響いていた。


だが、橋の向こう側へ視線を移すと――

薄暗く、不気味な雰囲気を漂わせていた。


=

*チサト:

ねぇ、グローブ……。

この橋を渡ったら、もう谷だよね。

=

*グローブ:

うん。

=

*チサト:

ちょっと、怖くなってきちゃったかも……。

=


グローブはチサトの顔を覗き込んだ。


=

*チサト:

でも……ちょっとだけ……。

ほんのちょっとだけだよ!

=


言葉では強がっているものの、チサトの顔は分かりやすく引きつっていた。


=

*チサト:

ねぇ、グローブ?

ここからは……手を繋いで行こっ。

ねっ……。

=


グローブは無言で小さく頷いて、そっと手を差し出した。


チサトはその手を包み込むように、強く握りしめた。


=

*チサト:

ふふっ。

グローブの手って、けっこう大きいんだね。

=


グローブがチサトの顔を見ると、彼女は照れ隠しのように橋の向こう側に視線を向けた。


=

*チサト:

……じゃあ、「せーの!」で、一気に走って渡るよ。

=


グローブは、握られた手をそっと握り返し、小さく頷いた。


=

*チサト:

せーの!

=


二人は一気に橋を駆け抜けた。


今日の雨は、まるで二人の背中をそっと押してくれているようだった。


――しゃん、しゃん、しゃん、しゃん……。


しかし、橋の向こう側で何かが光ったことに、二人は気がついていなかった。


◇ ◇ ◇


―レインボーフェニックス―


『グレーダイヤモンド島』に伝わる神獣。


世界を創造したとされる、神獣の一体。


◇ ◇ ◇


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。