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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
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第019話:偽らない唇


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


ナギとナミは《神秘のマナ》について、マリヤを問いただすが、誤解だったと納得した。


グローブは残る素材、《ハルモニアの水》を手に入れるため、再び『アレキサンドライトの泉』へ向かうこととなった。



朝食を終えたグローブが、大きな水筒を肩に掛け、家を出ると――

外でチサトが待っていた。


=

*チサト:

あっ、グローブ、おはよう。

=

*グローブ:

おはよう、チサト。

どうしたの?

=

*チサト:

……朝からお父さんとお母さんが、そっちの家に行ってたみたいだけど、何か知ってる?

二人とも帰ってきたけど、「大丈夫」としか言わないから……。

=

*グローブ:

……えっと、ボクも詳しくは分からないんだ。

おばあちゃんも「もう大丈夫」って言っただけだから。

=

*チサト:

そう……。

やっぱり、大人は何にも話してくれないね。

=

*グローブ:

うん。

=

*チサト:

……それで、グローブはどこに行くの?

=

*グローブ:

『アレキサンドライトの泉』だよ。

=

*チサト:

えっ!?

=


その言葉を聞いた瞬間、チサトの脳裏に昨夜の出来事が鮮明によみがえった。


固まってしまったチサトに、グローブが声を掛ける。


=

*グローブ:

大丈夫?

どうしたの?

=

*チサト:

ううん、何でもない……。

……私も一緒に行っていい?

=

*グローブ:

うん。

=


グローブはチサトを連れて、『アレキサンドライトの泉』へと向かった。


その途中――


=

*チサト:

ねぇ、昨日のことなんだけど……。

=

*グローブ:

んっ……!?

=

*チサト:

やっぱり、あれって……。

【紫】の《エデンの実》を食べたからだよね?

=

*グローブ:

……たぶん。

=

*チサト:

じゃあ……誰と食べても、ああいう雰囲気になっちゃうってこと?

=

*グローブ:

えーっと……。

=


グローブがどう答えていいか分からず、もじもじしている間に――

『アレキサンドライトの泉』へとたどり着いた。


=

*チサト:

……慣れると、ここまで来るのも、あっという間だね。

=

*グローブ:

うん……ごめん、そうだね。

=


グローブはそう言うと、しゃがみ込んで《ハルモニアの水》を汲み始めた。


=

*チサト:

じゃあ、私は《エデンの実》を採ってくるね!

=

*グローブ:

うん、分かった。

=


グローブは動揺しているのか、なかなか水を汲むことができなかった。


そうしている間に、チサトが【緑】の《エデンの実》を抱えて戻っていた。


=

*チサト:

まだ、水、汲んでたの?

ふふっ、不器用なんだから……。

私も手伝うよ。

=


チサトはそう言って、グローブの隣にしゃがみ込んだ。


その時――

濡れた岩肌にチサトの足が滑った。


=

*チサト:

きゃっ!

=

*グローブ:

危ない!

=


グローブが咄嗟に手を伸ばし、チサトの身体を抱きとめた。


だが、汲んでいた水筒は勢いで倒れてしまい、せっかく溜めた水は、すべてこぼれてしまった。


グローブはチサトを抱きとめたまま、泉のほとりへ倒れ込んだ。


ぽつ……ぽつ……ぽつ……。


至近距離で、目と目が合う二人。


――ドキ、ドキ。


ドキ、ドキ。


二人とも今日は、【紫】の《エデンの実》を食べていない。


それなのに――

胸の鼓動は、昨夜と同じように激しく鳴っていた。


グローブがチサトの唇に目をやると、チサトはそっと目を閉じた。


チサトの呼吸が、すぐそばで小さく揺れていた。


グローブは震える指先を握りしめた。


それから、目を閉じた。


そして、そっと唇を重ねた。


――ほんの数秒。


時が止まったようだった。


ぽつ……ぽつ……ぽつ……。


チサトが目を開けた瞬間――

グローブはハッと我に返った。


二人は弾かれたように飛び起きて、お互いに背を向けた。


無言の時間が流れた。


数秒しか経っていないはずなのに――

その1秒1秒が、永遠のようだった。


=

*グローブ:

み、水汲まなきゃ……!

=

*チサト:

う、うん。

ごめん、手伝う!

=


二人は水を汲み直すと、静かに帰路についた。


――ガチャ。


=

*グローブ:

ただいま。

=


リビングでは、大人たちが話をしていた。


=

*ナギ:

村長……はい、これ。

《トラベリー》です。

=

*マリヤ:

まあまあ、こんなにたくさん。

ありがとうねぇ。

=

*ナミ:

私たちにできるのは、これくらいなものですから。

=


ナギとナミが微笑む中、グローブが声をかけた。


=

*グローブ:

ただいま、おばあちゃん。

《ハルモニアの水》、汲んできたよ。

=

*マリヤ:

まあ、こっちもたくさん。

すごく重かっただろう?

=


二人の姿を見たナギが、ふと娘のチサトの顔を覗き込んで眉をひそめた。


=

*ナギ:

ん?

チサト、どうした?

大丈夫か?

顔が赤いぞ。

=

*ナミ:

あら、本当ね。

風邪でも引いちゃったのかしら……。

=


ナミも心配そうにチサトの顔を覗き込んだ。


=

*チサト:

だ、大丈夫だよー。

水を運ぶの手伝ったから……。

=

*ナギ:

そうか……。

それならいいんだけどよ。

=

*ナミ:

無理しないでね。

=


マリヤは《神秘のマナ》の素材を、テーブルに丁寧に並べていった。


=

*マリヤ:

これで全部そろったねぇ。

ごくろうさま。

みんな、ありがとうねぇ。

=


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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