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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
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第017話:紫の実の罠


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


グローブは採り忘れていた《神秘のマナ》の素材、《スウィートウィート》を収穫するため、チサトと二人で山頂へ引き返した。


ようやく山を下り、夜の闇に包まれた『アレキサンドライトの泉』に着いた二人の目に、【紫】の光が映った。



=

*チサト:

あっ!?

泉が【紫】になってる……。

=

*グローブ:

本当だ……。

すごい……。

=


闇の中に浮かび上がる【紫】の水面が、幻想的な輝きを放っていた。


=

*グローブ:

……あっ、そうだ!

《エデンの実》も、色が変わってるかも……。

=

*チサト:

うん、そうだね。

行ってみよう。

=


二人は『ガイアの木』がある場所まで、早足に向かった。


=

*チサト:

やっぱり、《エデンの実》も【紫】になってるよ!

=

*グローブ:

ちゃんと《エデンの実》も、泉の色に合わせて、変わるみたいだね。

=

*チサト:

うん。

=

*グローブ:

よし、これも採って帰ろう!

=

*チサト:

これ、採って帰るのはいいけど……。

《神秘のマナ》には、どっちの《エデンの実》を使うの……?

=

*グローブ:

……【緑】で戦争が始まって、【紫】で戦争が終わったんなら……。

両方入れたら、いいんじゃない?

=

*チサト:

なるほど……グローブ、頭いいじゃん!

じゃあ、急いで採って帰ろう!

=


二人は【紫】の《エデンの実》をいくつか収穫した。


=

*チサト:

これ……どんな味がするのかな?

【緑】の実の時と味、変わってると思う?

ねえ、1個だけ、食べてみない?

=

*グローブ:

そうだね。

【緑】の実みたいに頭が「シャキーン」ってするのかな?

=

*チサト:

ふふっ、どうだろうね。

=


二人は【紫】の実を同時に口へと運んだ。


サクッ……モグモグ、ゴクン。


=

*チサト:

うん、美味しい!

でも……味は【緑】とそんなに変わらないかも。

=

*グローブ:

うん、そうだね。

=


ぽつ……ぽつ……ぽつ……。


雨音さえかき消してしまいそうなほど、激しい鼓動が二人の胸の中で響き始めた。


ドクン……。


ドクン……。


ドクン……。


グローブとチサトは、互いの姿がいつもと違って見えていた。


二人の胸の奥で、普段は意識することのない感情が、急速に膨れ上がっていった。


=

*チサト:

グローブ……。

=

*グローブ:

うん……?

=


二人は見つめ合い、どちらからともなく手を重ねた。


――吐息と吐息が……。


じりじりと、二人の距離が近づいていく。


視線が互いの唇へと注がれた。


チサトが瞳を閉じると、合わせるようにグローブも瞳を閉じた。


――唇と唇が……。


もう、その、あと数センチ……。


唇が触れ合う直前――


=

*ナギ:

おーい!

グローブー!

チサトー!

=


遠くの方からナギが呼んでいる声が聞こえた。


――ビクッ!!!


二人は弾かれたように、凄まじい勢いでそっぽを向いた。


=

*グローブ:

う、うわっ!?

=

*チサト:

んっ、んん!?

=


二人とも激しく高鳴る鼓動を必死に落ち着かせた。


すぅーっ、はぁーっ。


すぅーっ、はぁーっ。


すぅーっ、はぁーっ。


そして、近づいてくるナギとナミの方へと向かって、ぎこちなく歩き始めた。


=

*ナギ:

なかなか帰って来ないから、心配して迎えに来てやったぞ!

大丈夫だったか?

なんか、あったのか?

=

*ナミ:

ふふふっ。

なんか……泉の真ん中で、見つめ合ってたようにも見えたんだけど……。

何、やってたのかしらねぇ。

=

*チサト:

ちょ、ちょっとー、お母さん!?

な、なに言ってるの?

=


グローブとチサトは、ナギとナミの追及から逃れるように、マリヤの待つ家へと急いだ。


=

*グローブ:

ふぅーっ……。

おばあちゃん、ただいま!

=

*チサト:

はぁーっ……。

マリヤさん、戻りました。

=

*マリヤ:

ああ、おかえり。

無事に帰ってきてくれて、ありがとうねぇ。

遅かったから、みんな心配していたんだよ。

=


ほっと胸をなでおろしたマリヤだったが、二人の姿を見て、息を呑んだ。


グローブの背中の聖剣と、左胸の紋章。


袋いっぱいに詰め込んだ《スウィートウィート》。


そして――

両手に抱えた【紫】の《エデンの実》。


=

*マリヤ:

今日は疲れただろう?

いろいろ聞きたいこともあるけど……。

今日は、ゆっくり休みなさい。

=

*グローブ:

うん、ありがとう、おばあちゃん。

テーブルの上に《スウィートウィート》と【紫】の《エデンの実》は置いておくね。

=

*マリヤ:

……よくやったねぇ。

これでまた一つ、《神秘のマナ》に必要な素材が揃ったねぇ。

ありがとう。

=


マリヤはグローブの成長に喜び、思わず《神秘のマナ》という言葉を口にしてしまった。


その言葉を聞いたナギとナミはハッとして、互いに顔を見合わせた。


=

*マリヤ:

それじゃあねぇ、今日はお疲れ様。

また明日、お話を聞かせておくれ。

=

*グローブ:

はい、おやすみなさい!

=


チサトたちも別れの挨拶をして、自宅へと帰っていった。


一泊二日の大冒険の余韻と、ほのかな恋のドキドキを残したまま、夜は静かに更けていった。


◇◇◇


―エデンの実―


昼の【緑】の実は、理性を研ぎ澄ます。


夜の【紫】の実は、本能を呼び覚ます。


収穫すると、その時の色を維持する。


【緑】で収穫した実は夜になっても【緑】。


【紫】で収穫した実は昼になっても【紫】。


◇ ◇ ◇


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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