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G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
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第016話:スウィートウィート


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


グローブは山頂で《カリバーン》と、自分だけが身につけられる《コードリンク》を手に入れた。


聖剣を扱える者へ届ける使命を受けたグローブは、『グレーダイヤモンド島』を出ることを決めた。



グローブはチサトが目覚めるのを、そばで待っていた。


しばらくすると――


=

*チサト:

うーん……。

=

*グローブ:

あっ、チサト。

もう大丈夫なの?

=

*チサト:

うん。

あー、よく寝た。

んっ!?

っていうか、またずっと私の寝顔を見てたんじゃ……。

=


寝顔を見られて抗議しようとしていたチサトだが、グローブの姿を見て、目を見開いた。


=

*チサト:

……グローブの背中のそれって、山に突き刺さってたヤツじゃない?

=


チサトは、グローブが背負う《カリバーン》を指さした。


=

*チサト:

……で、大丈夫なの?

勝手に抜いて……。

=

*グローブ:

うん。

それなら、「抜きなさい」って言われたから大丈夫だよ。

それより、すぐ山を下りよう。

=


グローブが座り込んでいたチサトへ、優しく手を差し伸べると――


=

*チサト:

あぁぁぁーー!!

ちょっ、ちょっと待って……。

そのブローチ……っ!?

=


チサトの視線がグローブの左胸でピタリと止まった。


=

*チサト:

……私が触って、「バチィッ!」ってなったヤツじゃない?

なんでグローブが身につけてるのよ?

……それで、なんでグローブは大丈夫なわけ?

=

*グローブ:

ボクも詳しくは分からないんだ。

だけど、もう大丈夫だよ。

ボクがつけてる時は、「バチィッ!」ってならないみたいだから。

それで、『グレーダイヤモンド島』を出て、この聖剣を届けないといけなくなったんだ。

だから、早く山を下りないと。

=


チサトは両手で頭を抱えた。


=

*チサト:

なんで、なんで、なんで!?

なんで、グローブが聖剣を届けるの?

なんで、そんな話になるの?

=

*グローブ:

ボクには、この聖剣が扱えないから……。

だから、扱える人に届けるんだよ。

=

*チサト:

なんで、グローブがそんなことするの?

それで、誰に聖剣を届けるの?

=

*グローブ:

……えっと……。

分かんないけど、行かなきゃいけないんだ。

=


チサトはますます混乱した。


何も整理できないまま、ただ黙って、グローブの後を追った。


ちょうど岩屋の裏にあった、あの石像の前まで下りてきた時だった。


山道の静寂を切り裂くように、チサトが突如として、凄まじい悲鳴を上げた。


=

*チサト:

あぁぁぁーーーっっっ!!!

ちょっと待って!!!

ストップ、ストップ、ストーーーップ!!!

=

*グローブ:

うわっ、びっくりしたぁ……。

どうしたの?

急に大声出して?

=


チサトは真剣な顔で言った。


=

*チサト:

グローブ……。

私たち、とーっても大事なこと忘れてるよ!

=

*グローブ:

えっと……なんだっけ?

=

*チサト:

はぁーっ……。

=


チサトが大きなため息をついた。


=

*チサト:

《神秘のマナ》……。

《神秘のマナ》だよ!

=

*グローブ:

あっ……。

=

*チサト:

ほらね、やっぱり……。

忘れてたでしょ!

=

*グローブ:

《スウィートウィート》……。

聖剣を触るまで覚えてたのに……。

=

*チサト:

そうだよー!

「バチィッ!」とか、いろいろあり過ぎて、完全に頭から抜けちゃったんだよー。

=

*グローブ:

ごめん、チサト。

戻ろう!

=


二人は大慌てで、山頂へと引き返した。


=

*グローブ:

はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。

=

*チサト:

あぁ……。

つ、疲れたぁ……。

=


息を切らして、再び山頂へと戻ってきた二人。


それからグローブとチサトは、若草色した小麦、《スウィートウィート》を丁寧に収穫した。


持ってきた袋が、はち切れそうになるまで詰め込むと、二人はようやく大きく息を吐いた。


=

*チサト:

ふぅーっ……。

これだけ採れば、オーケイだね。

=

*グローブ:

うん。

今度こそ、本当に帰ろう。

=


山頂で手に入れたものをすべて確かめると、二人は再び麓を目指して、山を下り始めた。


石像の横を通り過ぎた時――

グローブは、ふと足を止めた。


=

*チサト:

どうしたの?

=

*グローブ:

なぜか、懐かしい気がするんだ。

=

*チサト:

……そう……。

=


チサトは何か言おうとしたが、言葉が見つからなかった。


=

*グローブ:

……なんだろう?

この感じ……。

=


そして、再び歩き出した。


しばらくすると――

二人は雲の中へと入っていった。


――……ぽつ……。


ぽつ……ぽつ……。


ぽつ……ぽつ……ぽつ……。


島に降り注ぐ単調な雨の音が、二人の耳に戻ってきた。


=

*グローブ:

雨だ……。

=

*チサト:

レインコート、着なきゃ。

=


二人はレインコートに袖を通した。


それから、急いで山を下りたが、麓まで下りてきた頃には――

辺りはすっかり暗くなっていた。


一度、《スウィートウィート》を採りに山頂へ引き返したため、予定より遅くなってしまったのだ。


=

*チサト:

うわぁー、もう真っ暗だ……。

やっと、門のところだよ。

=

*グローブ:

うん、もうちょっとだね。

急ごう!

=


そして――

門を開けると、二人の目に『アレキサンドライトの泉』の光が、【紫】になっているのが映った。


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

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