第015話:聖剣と紋章
第一章:止まない雨の島
―前回のあらすじ―
初めての朝日を浴びたグローブとチサトだったが、岩屋の裏で翼を持つ不気味な石像に遭遇した。
石像の杖と共鳴した《虹の笛》の光に包まれたグローブは、かつて上空から落下した際に精霊たちに救われた過去を思い出した。
二人が山頂へ向かう道を進んでいると、視界の先に若草色の小麦畑が広がっていた。
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*グローブ:
あの緑色の小麦が《スウィートウィート》だよ。
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*チサト:
あの色で熟してるの?
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*グローブ:
うん。
あれで収穫できるってノートにも書いてあったから、大丈夫だよ。
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*チサト:
そうなんだ。
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さらに近づくと、若草色に輝く小麦畑の中央に――
一本の剣が、静かに突き刺さっていた。
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*グローブ:
あれが……聖剣、《カリバーン》……。
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グローブは引き寄せられるように、《カリバーン》の柄に触れると――
祠の奥で、何かが輝き始めた。
光が収まると、そこには、《レインボーフェニックス》を象った紋章が現れていた。
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*チサト:
あれ何だろう……。
すごく、きれい。
……ブローチかな?
真ん中に黒い光晶みたいなのがついてるよ。
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チサトは祠へと歩み寄り、紋章に手を伸ばした。
そして指先が紋章に触れた瞬間――
――バチィィィッ!!!
激しい破裂音とともに、まばゆい閃光が弾け飛んだ。
チサトは吹き飛び、そのまま倒れ込んだ。
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*グローブ:
チサトっ……!
チサト!
しっかりして!
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グローブは慌てて倒れたチサトに駆け寄り、その身体を抱き起こした。
気を失ってしまっていた。
グローブは、チサトの顔を不安そうに見つめていた。
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*グローブ:
……どうしよう……。
もし、このまま目を覚まさなかったら……。
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グローブの胸を不安が締めつけた。
パニックに陥りかけたグローブの胸元で、《虹のオーブ》が優しく輝き始めた。
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*グローブ:
そうか……《ヘルプリン》だ!
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グローブは即座にバッグから《ヘルプリン》を取り出し、口に含んだ。
そして《虹のオーブ》を握りしめた。
◇
*グローブ:
助けて。
◇
《虹のオーブ》から赤と青の煙が噴き出してきた。
煙の中からルアンとラテラが姿を現した。
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*ルアン:
落ち着きなさい。
グローブ。
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ルアンがグローブの肩にそっと手を置いた。
淡い蒼銀の光がグローブを包み込む。
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*ラテラ:
もう心配しなくていいからね、グローブ。
チサトは任せて。
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ラテラは横たわるチサトに、そっと手をかざした。
穏やかな黄金の光が、チサトの身体を優しく包み込んだ。
しばらくすると――
グローブの呼吸は落ち着き、チサトが小さく声を上げた。
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*チサト:
う、うーん……。
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そしてチサトは、ゆっくりと目を開けた。
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*ルアン:
もう大丈夫みたいね。
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*ラテラ:
それじゃあ、グローブ、私たちは帰るね。
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チサトが目を覚ましたのを確認すると、ルアンとラテラは同時にウインクをした。
その瞬間――
再び《虹のオーブ》から赤と青の煙が噴き出し、ルアンとラテラを包んだ。
二人の姿は淡い光の粒へと変わり、吸い込まれるように《虹のオーブ》の中へと消えていった。
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*グローブ:
チサト、どこか痛いところはない?
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*チサト:
うん、大丈夫……。
でも、ごめん。
今、なんだか身体がぽかぽかして……すごく気持ちいいの。
だから、もう少しだけ寝かせて。
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グローブはチサトを岩陰に休ませると、紋章に視線を移した。
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*グローブ:
……なんで、チサトは吹き飛んじゃったんだろう?
これは、危ないから触らない方がいいよね。
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そう思っていたが、グローブは導かれるように紋章に手を伸ばしていた。
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*グローブ:
ちょっ、ちょっ、ちょっ……。
怖い、怖い……。
ちょっと待って!
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グローブが指先を伸ばすと、紋章は淡い光を放った。
まるで、彼の手が触れるのを待っていたかのように。
そして、その指先が触れた瞬間――
◇◇◇
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*???:
その紋章は《コードリンク》と呼ばれるものです。
それを身につけていれば、あなたを待つ者たちを示すでしょう。
《コードリンク》の光晶が教えてくれます。
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*グローブ:
ボクを待つ者……?
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ブローチ型の紋章、《コードリンク》を左胸に留めた。
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*???:
《コードリンク》は、あなた以外の者が触れることを決して許しません。
ただし、あなたが身につけている間は、他の者が触れても問題ありません。
しかし、奪おうとしたりして、あなたの身体から離れた瞬間――
触れている者に電撃が走ります。
さあ、聖剣を抜きなさい。
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グローブは静かに頷き、《カリバーン》へと歩み寄った。
両手で柄を握ると、まるでグローブを待ち続けていたかのように、何の抵抗もなく静かに抜けた。
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*???:
あなたには、その聖剣を扱うことはできません。
ですが、それを必要とする者がいます。
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グローブは手元の《カリバーン》を確かめるように、ゆっくりと動かしてみた。
ただ手に持つだけなら驚くほど軽いが、武器のように振ろうとすると鉛のように重くなった。
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*グローブ:
確かに……軽く持てるのに、振ろうとしても振れない……。
うん、分かった。
ボクが、この聖剣を扱える人に、届ければいいんだね。
=
*???:
頼みましたよ。
さあ、山を下りなさい。
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◇◇◇
声が遠のくと、グローブは我に返った。
目の前には、いつの間にか鞘が現れていた。
グローブはそれを手に取り、背中に身につけた。
それから《カリバーン》を収めた。




