第014話:落下の記憶
第一章:止まない雨の島
―前回のあらすじ―
グローブとチサトは岩屋の外で、満天の星と三日月の夜空を眺めた。
そして眠りについたグローブは、八色の光をまとった不思議な存在から、『ジュエリオ島』と『メロディア島』を巡る使命を託された。
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*グローブ:
おはよう、チサト。
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*チサト:
うん、おはよう。
……って、人の寝顔ずっと見てたんじゃないでしょうね!?
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*グローブ:
うん、見てたよ。
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*チサト:
ちょっとぉー、やめてよー!
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*グローブ:
違うんだ……昨日の夜、不思議な八色の光が現れて、『ジュエリオ島』と『メロディア島』の「罪悪」を感じろって言われたんだ。
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*チサト:
ふーん……何が違うのか、分かんないけど……。
「罪悪」って何?
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*グローブ:
正直、ボクも分かってないんだ……。
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*チサト:
なにそれ。
それで……島から出るの?
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*グローブ:
うーん……まだ分かんない……。
とりあえず、山頂に聖剣があるみたいなんだ。
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*チサト:
そう……。
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チサトはグローブが遠くへ行ってしまうような気がした。
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*チサト:
あ……そうだ!
朝日、朝日を見よっ!
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*グローブ:
そうだね。
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グローブはチサトと一緒に、明るくなり始めた岩屋の外へ出た。
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*チサト:
たぶん、もうすぐだよ。
太陽が昇るのは……。
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*グローブ:
どこから昇るの?
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*チサト:
きっと、あのあたり。
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二人は肩を並べて、東の空が白むのを待っていた。
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*チサト:
すぅーっ……はぁー……。
ねぇ、グローブもやってみてよ。
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*グローブ:
すぅーっ……はぁー……。
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*チサト:
ねっ。
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*グローブ:
なにが?
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*チサト:
気持ちいいでしょ!
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*グローブ:
うん……そうだね。
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朝の光が『オパールマウンテン』の八色の岩肌を鮮やかに照らし出した。
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*チサト:
うわぁ!
岩が光ってる……。
世界中が輝いてるみたいに……まぶしいよ。
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*グローブ:
本当だ……。
それに……なんか、顔が温かいね。
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今まで感じることができなかった、本物の太陽の温もり。
二人はそれを全身で確かめるように、しばらくの間、無言で朝日を浴びていた。
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*グローブ:
じゃあ……そろそろ行こう。
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*チサト:
うん!
あとちょっとだもんね。
山頂まで。
でも、どうやって行くんだろう……?
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*グローブ:
岩屋の裏に道があるよ。
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二人が岩屋の裏手へ回り込むと――
そこには、不気味な石像が立っていた。
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*チサト:
きゃあぁぁぁ!!
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そこにあったのは、人の背中に翼が生えたような、異様な姿の石像だった。
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*グローブ:
な、なんだこれ?
……なんで、こんなところに、こんな不気味なものがあるんだ?
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*チサト:
こ、これって……まさか……。
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チサトは青ざめた顔のまま、言葉を失ってしまった。
グローブが、その石像の手に握られた杖を見ていると――
先端が一瞬だけ淡く輝いた。
それと同時に、グローブの腰に差してあった《虹の笛》が、まるで石像の杖に応えるように淡い光を放った。
笛から放たれた光は大きくなり、グローブの身体をすっぽりと包んだ。
目の前の景色が歪み、グローブの意識は遠い過去へと引き込まれていった。
その瞬間――
グローブの意識は、『オパールマウンテン』の遥か上空にあった。
◇◇◇
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*グローブ:
これは……前に見た光景と同じだ……。
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グローブは真っ逆さまに落下しながら、無意識に指を動かしていた。
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*グローブ:
あっちが北だから……。
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北から、西へ。
西から、南へ。
南から、東へ。
そして東から中央へ――
円を描くように指先を走らせた。
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*グローブ:
やっぱり……【G】……だ。
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次の瞬間――
猛烈な勢いで真っ逆さまに落下していく。
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*グローブ:
うわあぁぁぁーーーっ!?
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地面が、急速に迫ってくる。
その時――
《疾風のエチュード》の旋律と、聞き覚えのある二つの声が響いた。
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*ラテラ:
ルアン~、いくよ~!
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*ルアン:
いいわよ。
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火の精霊ラテラと水の精霊ルアンが、ものすごいスピードで、水蒸気を発生させていた。
グローブの身体が地面に叩きつけられる直前――
――ふわっ……。
水蒸気のクッションが、グローブの身体を優しく包み込んだ。
その直後、旋律は《安寧のノクターン》へと変わった。
二つの旋律には、グローブが奏でた時とは違い、抜け落ちた音がなく、美しく完全な響きが満ちていた。
◇◇◇
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*チサト:
グローブ、グローブ?
大丈夫……?
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チサトの声に目を覚ましたグローブは、自分が地面に倒れていることに気づいた。
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*グローブ:
う、うん……。
大丈夫……。
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*チサト:
なんか、すごくまぶしかったよ。
それで目を閉じてたんだけど……。
目を開けたら、グローブが倒れてたから……。
本当に大丈夫?
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*グローブ:
ちょっと……昔の記憶が、少しだけ戻ったんだ。
ボク、ここに来たことがあるみたい……。
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*チサト:
えっ!?
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*グローブ:
……ここで、ルアンさんとラテラさんに助けてもらったみたいなんだ。
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*チサト:
そうなの!?
じゃあ、ルアンさんとラテラさんは、昔からグローブのこと知ってたんだ……。
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*グローブ:
そうみたいだね……。
それより、早く山頂に行かないと……。
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グローブは立ち上がり、山頂に視線を移した。




