↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
G【虹のシンフォニー】  作者: 左と右(SATOWU)マコト
第一章:止まない雨の島(全22話)001-022
PR
12/37

第012話:雲の上


第一章:止まない雨の島


―前回のあらすじ―


『カオスの森』を抜けたグローブたちは、『アレキサンドライトの泉』で《エデンの実》の謎に触れた。


【緑】の実で戦争が始まり、【紫】の実で終わったというジェンドの記録が、グローブの心に引っかかった。



『アレキサンドライトの泉』を後にした四人は、ついに『オパールマウンテン』の登山口へとたどり着いた。


そこには「立入禁止」と大きく書かれた看板が立ち、その先には頑丈な門扉があった。


ナギが近づき、鍵を開け、門をゆっくりと開けると――

真っ白な霧が一気に流れ込み、四人の頬をかすめていった。


四人が見上げると、山頂に向かって続く道が、すぐそこで、濃い霧の中に消えているのが見えた。


=

*ナミ:

山頂付近に岩屋があるから、今日はそこまで頑張って行くのよ。

=

*チサト:

うん……でも、お母さん。

なんで、そんなに詳しいの?

=

*ナミ:

私たちも若い頃、一度だけ登ったことがあるのよ。

立入禁止になる前にね。

昔は、登る人も結構いたんだよ。

=

*チサト:

そうだったんだ。

じゃあ、あまり怖がらなくてもいいね。

=

*ナギ:

でも昔とは違う……。

雨がずっと降ってるからな。

足元には気をつけるんだぞ。

=

*ナミ:

それに、喧嘩なんかしちゃダメよ。

この前みたいに、仲良く手を繋いで行くのよ。

=

*チサト:

ちょっと、やめてよー。

=


チサトの抗議にナギとナミが笑い、張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。


=

*グローブ:

ナギさん、ナミさん、いってきます!

チサト、行こう!

=

*ナギ:

おう、頑張れよ。

お前たちが帰るまでは――

いつでも戻れるように門の鍵はかけずにしておくからな。

安心していけ!

=

*ナミ:

そうよ。

怖くなったら、すぐにでも帰っておいで。

=


二人はナギとナミの温かい言葉に深く頷くと、ゆっくりと門をくぐった。


リュックを背負った二人の姿が、濃い霧の中へと吸い込まれていく。


――ギィィィ、バタン。


背後で重たい音を立てて、門が閉まった。


鍵は掛かっていない。


それでもその音が「もう後戻りできない」と告げているようだった。


=

*チサト:

頑張ろうね、グローブ。

=

*グローブ:

うん。

=

*チサト:

そういえば、この前、少しだけ『ジュエリオ島』の話したでしょう。

それで思い出したんだけど、あっちって、魔物がいるらしいよ。

=

*グローブ:

えっ、魔物!?

誰が言ってたの?

=

*チサト:

連絡船の船長さん。

=

*グローブ:

船長さんって、イカリヤさん?

=

*チサト:

そうだよ。

=

*グローブ:

じゃあ、本当の話かもね……。

=

*チサト:

この山にも……何かいたりして。

=

*グローブ:

えっ……ちょっと、やめろよ……。

怖くなるから!

=

*チサト:

えへへっ。

=


――ゴオォォォ……!


二人はピタリと足を止め、顔を見合わせた。


=

*グローブ:

今のって……魔物じゃないよね?

=

*チサト:

ちょっとぉ、やめてよぉー。

ただの風だって!

=

*グローブ:

ごめん、ごめん。

=


二人はお互いを励まし合いながら、『オパールマウンテン』の山道を歩き続けた。


=

*チサト:

『オパールマウンテン』っていつも霧に包まれていたから、よく分からなかったけど、近くで見るといろんな色に見えるんだね。

=

*グローブ:

うん、きれいだよね。

=


雨に濡れた岩肌は、光を受けるたびに淡く色彩を変えていた。


赤、橙、黄金、緑、蒼銀、縹、青――

そして紫。


まるで虹の欠片を散りばめたように、八色の光が明滅していた。


=

*グローブ:

ふぅーっ、腹減った~。

=

*チサト:

そうだね。

ちょうど、そこの岩陰が屋根みたいになってるから――

そこでお昼にしよっか。

=


二人は近くの岩陰へ移動し、腰を下ろした。


=

*チサト:

あぁぁ……。

重かった。

=


チサトがリュックの中からお弁当を取り出した。


=

*チサト:

はい、これ、グローブの分。

=

*グローブ:

いつものより、おっきいじゃん!

ありがとう!

=

*チサト:

そうだよ。

今日は山登りだから、特別に山賊おにぎりにしたんだ。

=


グローブは、おにぎりに勢いよく、かぶりついた。


=

*チサト:

ちょっとぉー!

ちゃんと「いただきます」って言わないとダメだよ!

=

*グローブ:

あっ、ご、ごめん。

お腹が空いてたから、つい……。

じゃあ、いただきまーす!

=

*チサト:

私も、いただきます。

=

*グローブ:

ん……?

なんか頭が冴えてきたけど……。

ねえ、今日の山賊おにぎりにも、隠し味で【緑】の《エデンの実》を入れた?

=

*チサト:

うん、もちろん。

=

*グローブ:

そっか……。

じゃあ、やっぱり【緑】の実は「危険」じゃないね。

=


グローブが素直に笑うと、チサトはなぜか、その言葉がたまらなく嬉しかった。


二人は昼食を終えると、再び山道を登り始めた。


すると、あたりがだんだんと明るくなってきた。


雨足が弱まっていく。


ぽつ……ぽつ……ぽつ……。


ぽつ……ぽつ……。


ぽつ……。


=

*チサト:

あれ……えっ?

=

*グローブ:

ん?

今……雨、止んでる……?

=


二人は、いつの間にか雨雲を抜けていた。


=

*チサト:

……空に、雲がないよ……。

=

*グローブ:

本当だ……。

雨がない空って、本当にあるんだ……。

=


二人の目の前に広がっていたのは、藍色と茜色が混ざり合う、本物の空――

それは、これまで見たことのない、美しい夕空だった。


挿絵(By みてみん)


画像はイメージです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。