第九話 国の存亡をかけた戦場へ
戦場へ行く日が来た。
もちろん、誰にも言っていない。
言えば反対されるのは明白だと分かっているから。
まだ誰も起きていないような時間に出発する。
朝日が私を応援するかのように輝いている。
さあ、行こう。空を翔ける鳥のように
「組合長!これを見てください!」
「なんだ、なんだ。朝っぱらから騒々しい」
「それどころじゃないよ!アヴェーレが!」
ネウルスは組合長の机に紙を叩きつける
「アヴェーレがどうしたって?って、これは!」
「あの子、アウラを助けたいと言って、本当に戦場に行ってしまったの」
二人は頭を抱えることしか出来なかった。
ここにいないということは、もう出発しているということ。
「時すでに遅し。無事に帰ってくることを祈るしかなかろう」
「帰ってきたら、うんと懲らしめてやる!」
だから、必ず帰って来てよね、アヴェーレ。
本都の城壁を飛行魔法で超え、人が見えないところで降りて走ることにした。
理由は単純明快、魔力を温存するためである。
幼いころから、魔力量を増やす訓練はずっとしていたので、魔力量は人よりあると思うが、それでも戦いに備えておきたかった。
南に走ること3時間、少しずつ音が聞こえてきた。
「強化せよ。身体強化魔法 目、耳」
目と耳を強化して、研ぎ澄ます。
続けて
「周囲を探査せよ 探査魔法」
南側がスキエンティア王国軍だろうか、あきらかに数が多い。
10万ぐらいだろうか。
それに対して、カイントス王国軍は3万ぐらいしかいない。
「え、これ負けるんじゃ」
カイントス王国軍の方に意識を向けると、格段に強い気配の者が4人感じ取れる。
「多分、アウラ姉さん、カーラ、サーラ、ヴィアかな?」
少しずつ近づいていく。
劣勢であるのは見て取れる。
むしろこれで、耐えている方がおかしいくらいだ。
私はローブを着て、杖を引っ張り出し準備をする。
「さあ、始めようか」
意識を集中し、魔法を唱える。
「フォルティトゥード(魔法威力強化魔法) 保護魔法ネビュラ 飛行魔法」
空へと舞い上がり、飛行速度を上げて戦場へ征く。
探査魔法を使っているが、段々と戦線が下がっていく。そこから考えられることはただ一つ。
「押されてる」
さらに飛行速度をあげる
「まずは! 降り注げ流星よ! 爆撃魔法 スターレイン!」
目下の敵軍に向かって、魔法を放つ。
もちろん相手の鎧もインキュラムサイトでできているだろうから、あまり意味はないかなあ、と思っていると
「あれ?めっちゃ効いてる」
私の見間違いか、目をこすってもう一度見てみるが、状況は全く変わっていなかった。
「私、とんでもない魔法創っちゃったかも」
もはや今さらなので、気にするのはやめ、次の準備をすることにした。
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