第四話 信じたくないこと
それから一カ月、カーラ達から何の連絡もなく、アウラも戦争へ招集されてしまった。
ただ街中で聞こえるのは戦争の状態と国王に対する不満だけ。
「君たちも、戦える準備をしておいてくれ」
いつものように学校に行って、いつものようにスコラ先生のたわいもない話があるかと思っていたら、開口一番にそう言われた。
「それって、どういうことですか?」
私は考えるより先に質問してしまった。
(あ、しまった)
先生は言いにくそうに私たちに説明を始めた。
「カイントス王国第一部隊が、戦場で敗北し、戦線を下げたらしい。それに伴い、スキエンティア王国及び、魔族からの攻撃に備えよ。とのことだ」
みんなの顔が青ざめていく。恐らく私と同じことを考えたのだろう。
「先生、カーラは、サーラは、無事なのですか⁉」
クラスメイトの一人、レークスが先生に詰め寄っていく
「だ、大丈夫だ。まだ、死んだという報告もないし、定期的に三人からも手紙は来ている」
そう言って、懐から、手紙を出して見せた。
「だが、そうもいっていられないようだよ」
後ろの方で声がした。
私を含め、全員がそっちを向くと、そこにはクラヴィアが何でもないように座っていた。
「学校長!どうしてこのようなところに!」
「さきほど、部隊から連絡があった。ヴィアが重傷を負った、と。そして、魔物の軍勢がこちらに向かってきていると」
クラス全員の顔から血の気が引いていく。
「みんな、この通りだ。いつでも戦えるように、全員、銃の携帯を許可する。弾薬も用意しておくように」
渋々ながらも私を除く全員が頷いた。
朝の集会が終わり、各々が銃を取りに保管室へ向かう中、私だけは教室に残っていた。
「銃がまともに扱えないのに、取りに行く必要はないよね」
一冊の本を出し、ページをめくる。
そこには、ひとつの魔法が書かれていた。
「あとはこの魔法を使えるようにするだけ」
目を閉じ、集中し、魔力をこめる。
「ふー、飛べよ。飛行魔法」
自分で体が宙に浮くのを感じる。
だけど、すぐに落ちてしまった。
「まだまだ、もっと練習しないと」
気づけば、目の前にノーヴァが狙撃銃を片手に立っていた
「まだ、それに夢を見ているの?」
「当たり前でしょ?銃がまともに使えないのだから」
「だけど、インキュラムサイトがある限り、それが輝くことはないよ」
それは分かっている。あの鉱石のせいで、魔法がなくなったのも同然なのだから。だけど
「それは、だいじょうぶ。すでに方法は考えてある」
「ふーん。まあせいぜい死なないように頑張りなよ、あなたはみんなにとって大事な癒し役なのだから」
「え、初めて聞いたけど」
「でないと、あんなにみんな世話しないでしょ」
「私はペットかなにかですか?」
「そうかもね」
ふふ、笑いが止まらない、こんな時だというのに。
「魔法で、あの伝説を再現する気かい?」
「桃髪の鳥の伝説?むりむり。あれは伝説の話でしょ?」
「そうね」
準備が終わったのか、他の子たちも帰ってきた。
「今日からの授業だが、座学二時間、実習が四時間となった。みんな覚えておくよう
に」
「「「「はい」」」」
先生は教材を取りに行くために、一度職員室に戻っていった。
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