第三話 別れたくない別れ
次の日、いつものように学校に行くと、カーラとサーラは準備を済ませ、学校での最後のひと時を過ごしていた。
「ヴィアは?」
私が、ノーヴァに聞くと、何も言わず外を指さした。
外を見てみると、ヴィアが先生と試合をしていた。
「な、なんで?」
「気を紛らわすため、だそうよ」
それから、私もカーラたちの会話に入り、時間が来るまで話をしていた。
「そういえばアヴェーレ。どうしたの?その恰好。アヴェーレらしくない」
え?と思って鏡を手に取って見る。
「あ」
しまった、寝癖を直すのを忘れてた。
「はあ、せっかくの桃髪が台無しじゃない。こっちにきな」
せっかくの最後の時間だというのに、サーラに櫛で髪を直されている。
はあ、なにやってるんだろ、私
「ああ!顔も洗うの忘れたでしょ!せっかくの幼げの残る可愛い顔が!」
次はカーラが私の顔を拭いてくれる。
「ごめんね。昨日のことが衝撃的過ぎて」
「私たちがいなくなってもしっかりしてよね。いつまでも私たちがいるわけじゃないんだから」
その一言で、周りのみんなが笑い始めた。
ずっと、ずっとこんな時間が続けばいいのに。
「必ず、帰って来てね!」
私が、手を握ってそう言うと、カーラたちも力強く答えてくれた
「「「必ず!帰ってくる!」」」
三人は、迎えに来た国の兵士の馬車に乗って行ってしまった。
「教室が、少し寂しくなりますね」
「ええ、でもあの子たちが帰ってくる場所を私たちはただ守るだけです」
みんなが見送っている後ろで、学校長クラヴィアはスコラと話をしていた。
「この戦争に意味があるのでしょうか」
スコラは悲しみに暮れながら、クラヴィアに問いかけた。
「そんなこと、答えは分かりきっているでしょう」
今さら、そんなことを聞くな、といった調子で答えてきた。
「意味はない、ですね。戦争はなにも生まない。不幸をまき散らすだけだと、国王も分かっているはずでしょうに」
すると、クラヴィアは一冊の本を懐から出した。
「伝承を信じているのかもしれませんね」
「桃髪の鳥の伝説、ですか?」
「ええ、戦に負けそうになった時、空から颯爽と現れその戦に勝利をもたらしてくれる、という、ほんとかどうかも分からない伝説ですよ」
本の表紙を撫でながら、クラヴィアは一人の少女を眺めていた
カーラたちの見送りが終わり、教室に戻るといつも通り授業が再開された。
先生が私たちの心境を察してか、今日の授業はいつもに比べてゆっくりでとても優しかった。
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