第二話 どうにもならない真実
そして最後に
「はあ、もうみんなこの紙を見て知っていると思うが、この国がまた戦争を始めることになった。次はここから南の国、スキエンティアだそうだ」
スコラ先生は言いにくそうにしながら続けて言った。
「このクラスからも3名ほど、人を出すことになった。決め方はあちらの指示により、実技の成績上位三人となった」
「「なんで!」」
うしろの二人の声が見事にはもった。
「もちろん、嫌なことなのは、こっちも重々承知しているし、できるなら私の可愛い生徒を戦場になど出したくない。だがこれは、国の決定なのだ」
後ろの女子二人はもう泣き崩れそうになっている。だけど、実技成績一位の男子、もといヴィアだけは、まるで予想していたかのように、すました顔をしている。
「それが、国の決定ならば、私たちは従うほかありません。先生、私たちはどうすれば?」
「明日の朝、迎えが来るそうだ。出立の準備をしておいてくれ」
二人の美少女、カーラとサーラは先生がいなくなった後も泣いている。
それを周りの女子たちが慰めている。
「まさか、本当に招集されるとは」
二人と仲が良かっただけに、私も悲しかった。
もう二人と会うことが出来ないかもしれないから。
その日の授業は皆静かだった。休憩時間もいつもならもっと賑やかなのに、今日だけは追悼式のように、しんとしていた。
授業が終わり、やることもないので帰ろうとしていた時、ふと職員室から、話声がした。
まあ、先生がいるので当然といえば、当然だが。
だけど、私はそこでとんでもないことを聞いてしまった。
「どういうことですか!あの子たちはまだ15歳。戦場には立たせないと、約束してくれたのではないのですか!」
すっと、物陰に隠れ、聞き耳を立てると、スコラ先生が誰かに怒っているようだった。
内容は、今朝の件だろうか。
「事情が変わった。あちらには強力な銃撃手がいるらしいのでな。こちらも優秀な者を戦場に立たせることにしたのだ。その方が他の兵士たちの士気も上がるしな!」
「ふざけないでください!まだ、子供ですよ!」
「その文句は国王と国の重鎮に言ってくれ。私に言われても困る」
私は、自分の背筋が凍っていくのを感じた。
(まずい。本当に二度と会えなくなってしまう)
だが、銃の実技赤点の私が騒いだところで変わらないのは分かっていた。
探索者組合までの帰り道
なにか、何かできないのかと自分で考えてみる。
結局、なにも浮かばないまま、家についてしまった。
「あ、おかえり。ってその顔は、何か悲しいことでもあった?」
帰ってくるなりアウラに気づかれてしまった。自分では隠していたつもりなのに。
そう、この人は昔から人の感情に敏感だった。
「今日、学校でね…」
私は、アウラの部屋で今日あったことを、全部話した。
「そうだったのね。ついに、そっちにまで招集がかかっていたのね」
「え、ついにってことは、こっちにも?」
「ええ、一週間ぐらい前に紙が届いたわ。私も、ここの組合長も行かねばならなくなるかもしれない」
「いやだあ!」
私は、アウラに抱き着いた。このまま離したくなかった。
(学校の友達の次は、義母?この国の王は絶対どうかしてる)
だけど、私が一人わめいたところでどうにもならない。
王に面と向かって反論できるのは、宰相か家族、上位貴族ぐらいだろうから。
それから、最後になるかもしれない家族との夜ご飯を食べ、私は床についた。
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