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【完結】最弱アイテム士は世界を科学する〜最弱の職業と呼ばれ誰にも期待されなかったけれど、気づけば現代知識で異世界の常識を変え無双していました〜  作者: 東雲 寛則
最終章 そして、

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525/588

525話 砕け散る世界

 上空で対峙する二人。

 遥斗は、神剣クサナギを構えた。

 切っ先が涼介を指す。

 殺す。

 ただそれだけを脳髄に焼き付け、念じる。


「……ふっ」


 涼介もまた、『無双ノ剣』を構える。

 全身から溢れ出るオーラが、剣に収束していく。


「「オーラブレード!!」」


 二人の声が重なった。


 仕掛けたのは遥斗だった。

『剣聖』のスキル、そして遥斗自身の観察眼。

 残された全ての集中力を一点に注ぎ込む。


 狙いは、涼介の首ではない。

 心臓でもない。


 剣だ。


 涼介の剣に、自分の全てをぶつける。

 切り結ぶ一撃と、剣に狙いを定めた一撃では威力が違う。


 涼介を殺す。


 命を絶つだけが、それではない。

 アイデンティティの全てを。


 砕く。

 叩き折る。


 武器さえなくなれば、涼介は『暁』を発動できない。


 それこそが涼介の絶対死。


 ガギィィィィンンッッッ!!


 クサナギと無双ノ剣が真正面から激突した。

 超高密度のエネルギー同士の衝突。

 空間が悲鳴を上げ、閃光が世界を白く染める。


「う、おおおおおおおおおッ!!」

「はあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」


 拮抗。


 そして——破砕。


 パリィィィイイイインンッ!!


 激しい閃光と共に、甲高い音が響き渡った。


 砕け散ったのは加奈の遺産クサナギ。


 そして。


 勇者の無双ノ剣。


 二つの最強の剣は、互いの威力に耐えきれず、共に砕け散った。


 金属片がキラキラと空中に舞う。


「はぁ、はぁ……!」


 遥斗は荒い息をついた。


 やった。


 涼介の武器を破壊した。


 スキル、生命力、そして極限まで研ぎ澄ませた集中力。


 殺す気の一撃。

 殺意を乗せた一撃だからこそ届いた。


 これで、涼介の攻撃手段は——。


「……見事だ!遥斗!!」


 砕け散る破片の向こうから、涼介の声がした。

 焦りなど微塵もない。


 むしろ、称賛と歓喜の声だった。


「俺の剣を砕くとはな。それが狙いだったか。いつも想像を越えてくる……だが」


 涼介が右手を掲げる。


「俺は、お前を越える!!」


 空中に散らばった無双ノ剣の破片が、再び涼介に集まっていく。


 いや、破片だけではない。


 周囲の魔力、大気、そして砕け散ったクサナギさえも。


 刀身は壊したはずなのに。


 そこには、より巨大で、より禍々しい「光の剣」が生成されていた。


「ゴッド・エレメンツ・ブレェェェエエーーーード!!!!!」


 涼介が絶叫する。


 それは剣というより、破壊エネルギーの柱そのものだった。


 全ては、勇者である涼介の手の中にある。


 マナ・バーストの魔力、勇者の能力、世界の希望。

 今、それらが一つに。


「しまっ……!?」


 遥斗が目を見開く。


 涼介が、巨大な光の剣を振りかぶった。


 もちろん標的は、目の前の遥斗ではない。


 その背後にある、ユグドラシル、いやそれを取り囲む「ラグナロク」。


「やめろォォォォォッ!!」


 遥斗が手を伸ばす。


 だが、遅い。


「スラアアアァァァッーーーーーシュ!!!!!」


 ズドォォォォォォォォォォン!!


 光の柱が振り下ろされた。

 剣圧だけで大気が裂ける。


 光刃は、空中に浮かぶ紫色の結晶体——「ラグナロク」を正確に切り裂いた。



 ラグナロクが、涼介の莫大な魔力を吸収し、限界臨界点を突破する。

 紫色の閃光が弾けた。


 その爆発は、隣接するラグナロクを誘爆させる。


 連鎖。


 核分裂のような無限の爆発が、ユグドラシルを取り囲むように広がっていく。

 その光はユグドラシルを飲み込み、全てを破壊で包み込む。

 遥斗は呆然とその光景を眺めることしか出来なかった。


「終わりだ……!」

 涼介は爆風の中で念じる。

(美咲!俺達を飛ばせ!今すぐに!)


 魂の通じ合ったパートナーへの、最後のオーダー。


 涼介、大輔、さくら、るな。

 そして、呆然と手を伸ばしていた遥斗の姿が、光に包まれて消失した。


 直後。


 ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!


 数百のラグナロクの最終極限爆発が同時に炸裂した。

 天地がひっくり返るような衝撃。


 爆炎が全てを飲み込み、世界を支えていた巨木を根本から粉砕していく。


 悲鳴のような破壊音が、世界中に響き渡った。


 遥斗たちの視界が切り替わる。

 転移先は、美咲たちのいる安全圏。


 そこから見えたのは、崩れ落ちていく巨大な樹のシルエット。

 そして、砕け散っていく、優しかった母の最期の輝きだった。


「あ……あぁ……」


 遥斗は膝から崩れ落ちた。


 ユグドラシルは、砕け散った。


 世界が、終わる。

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