第12話
「ソフィー、終わったぞー、起きろー」
あまりにも幸せそうで忍びないが、このままほおっておくと、目の前の教師二人組がなにやらかすかわからないので、起こすことにする。
「…むにゃむにゃ…すすむー…まだねたいー…」
「はいはい、そろそろ起きようなー」
「…いーやー…」
病室で目覚めてから、少し甘えん坊になりつつあるソフィを引き剥がして、水を汲みに行く。
「ほら、お水汲んできたから、もう朝ですよー」
「…うぅ…むう…わかった…起きる…」
ソフィは毎朝のルーティンで、起きてすぐ水を飲む。
だからそれを用意すれば…と思ったが、ビンゴだったようだ。
「…先に…うがいしてくる…」
そう言って洗面所へと行った彼女を待ちながら、もう少し詳細な事情を聞いていく。
「…ただいま…」
「おう、おかえり」
目をギラギラとさせた技師学部教師二人をいなしているところに、ソフィが帰ってきた。
「…んくっ…んくっ…ぷはぁ………それで…なんの話…してたの?…」
一息でコップの水を飲み込んで、此方に顔を向ける。
「ああ、それがな………」
そうして、技師学部教師の二人に補足してもらいながら、なんとか説明しきれた。
他の三人?今ソファー前のテレビでゲームしてるよ?なんなら人数も増えてるし、台所からは料理の音が聞こえてきてるよ?
「ビール買ってきたぜぇ!」
「「「イエーイ!」」」
ここはパーティー会場かな?
「…大体…わかった…」
「それで、アイスバーグさんはどう思う?」
「…まず…勝手に…予算を使った人達を…土下座させる…」
そっ、ソフィさん?
「「ア、アイスバーグさん?」」
「…私が…進を心配している間に…そんなことしてたのは…許されない…」
「そっそれはー、そのー」
「…進も言ってた…なってしまったことは…しょうがない…大事なのは…これからどうするか…」
言ったね…言ったけど………こうなるとは思わないじゃない!
「…お前達は…あろうことか…更に予算を…たかってきた…」
「「ヒッヒェッ」」
先生!目の前にいるの先生だから!目をさましてソフィさん!
「…考え自体は…わかる…」
「「ア、アイスバーグさん…」」
「…だけど…始めにやらなかった理由が…わからない…」
「それは…その…」
「途中で…思い付いたと言いますか…」
ここだけ氷点下だよ!1メートルも離れてない場所では、ウェーイとか聞こえてくるのに、ここだけ別世界!
「…お金の価値…知らない?…100円は…大金だよ?…」
「「すっ…すっ…」」
「…すっ…なに?…」
「「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!」」
あっ土下座した。
というか他の教師の順応性はなんなの?こんな雰囲気の中ウェーイとか言える気持ちがわからないんですけど!
「…他の首謀者も…連れてくる…」
「「わかりましたぁ!」」
すんごい震えてる教師二人がバラバラに散っていく。
「…じゃあ…来るまで…待と?…」
「そうだなー」
ポヤポヤし始めたソフィに釣られて、俺もボーッと待つ。
なんか「ラフィアの威圧感が…」とか、「聡一郎の恐怖まで…」とか聞こえてくるが、俺はなにも聞こえていない。
隣から「父様と母様の話してるー」とかポワポワした声も聞こえていない。
そうやって待つこと10分…その場にいた半数程度の人数が集まり、それはそれは綺麗な土下座をかました。
「…それだけ綺麗って事は…やりなれてる…つまり…余罪がある?…」
「「「ヒィッ!聡一郎様申し訳ございません!」」」
「…私は…父様じゃ…無い…」
「「「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!」」」
なんか…すごい光景である。
その後ろで、なにもしてないのに反射的に土下座している人や、遠い目をしながら「ああ、懐かしいものが帰って来てしまった…これが夢ならいいのに…」と言ってる人までいた。
聡一郎さん…一体どんな人なのだろうか…
「…父様に…連絡すれば…全部吐いてくれるかな…」
「「「話します!話しますから!どうかそれだけはご勘弁を!」」」
うん…怖いもの見たさで気になってきた…
それでまあ、話を聞いてみれば余罪が出るわ出るわ…
「…勝手に自販機を…設置しようと…してたの?…」
「そうであります!」
「…ギルティ…」
「グァァァァァ!」
そ…ソフィさん…雷の魔法も使えたんですね…
「…ん…でも…これが最高火力だから…戦闘では使えない…」
心を読まれた!?
「…進なら…なんとなく…わかる…」
「そ…そうですか…」
なんかね…怖いんですよ!後ろの方で震えながら「ラフィア式尋問に、聡一郎式懲罰が加わるなんて…」とか言ってる人がいるんですよ!
そうして、日が暮れるまで行われたじんも…ゲフンゲフン…質問は、数多の悲鳴を産み出しながらも、なんとか終了した。




