第10話
ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
「んぁ?どこだ…ここ?」
「…す…すむ?………進!…」
「うわっなんだよソフィ、ビックリするじゃん」
急に抱きついてきたソフィを宥めながら辺りを見渡す。
ここは…病室?
「おっ、黒田進…貴様起きたのか」
ガラガラっと扉が開いて、最早見知ったって顔となった人物が姿を現す。
「学園長?」
「ああ、そうだ学園長だ」
「記憶の混濁とかは無さそうてすね」
「桐生さん」
その後二人から、色々なことを聞くことになった。
あれが、毎年行われているふるい落としの試験だとか…
1組からは脱落者はいなかったとか…
あれから3日経ってるとか…
「え?マジですか?俺3日も寝てたんですか?」
「ああ、活奈…あっ、お前の担任なんだが、そいつがちょっとばかし出力を間違えたらしくてな…まあ、治ったんだから結果オーライとでも思っておけ」
「…私は…許さない…そのせいで…3日も…進が…」
「まあまあ、治ったんだから気にしなくて良いよ」
「…良くないっ!…だって…だって!…」
「ん?どうしたんだ?」
「ああ…そのなんだ…」
「学園長?」
「ここは私から伝えましょうかね…」
「どうしたんです?桐生さん」
「まず、どこかからか君が魔法を使えないという情報が漏れました」
「?まあ、いずれ分かることでしょうし別に良いですよ?」
「問題はここからです」
「はぁ…?」
「なにがどう捻じ曲がったのかはわかりませんが、貴方は現在………」
「現在?」
「『魔法が使えない上に試験中に妨害までかました無能』として学園中に名を轟かせています」
「………はい?」
え?うん?どういうこと?
「貴方のクラスにいた金髪の生徒を覚えていますか?」
「ああ、あの時にクラスを纏めようとしてた…」
「あの生徒を筆頭に、貴方を攻撃した生徒達が自分を正当化するために、こぞって噂を流したんですよ」
うっそん…
「ギルバート・グランドが貴族家の嫡男というのも大きそうだと思うが…すまない、我々もそれどころではなくてな…」
「先日のテロリストの件の処理をしている間に、こうなってしまい…申し訳ありません」
テロリスト?ああ、ソフィを狙ってたあの…
「じゃあ、まあ…仕方ないんですかね?」
「…そんなこと無い!…処理しながらでも…噂を抑えるくらい…出来たはず!…」
「学園長…」
「桐生………そう…だな…今回の件に関しては、我々教師陣の落ち度だ…許してほしい」
「…うぅ…ううぅ!…」
おぉ…ソフィが無茶苦茶唸ってる。
「もう良いよソフィ、なってしまったことはしょうがないんだ。
これからどうするかってのが、重要なんじゃないか?」
「…でも…でも!…」
「それじゃあ、ソフィがサポートしてくれよ。
一緒に居てくれれば、俺も助かるしな」
「…うん!…でも…」
「我々もサポートは惜しまんよ」
「避難所だったりも用意できるでしょうしね」
「…うぅ…なら…いい…」
「ありがとな」
「…うん!…」
それから二日後…退院して木吹き荘に帰った俺をまっていたのは………
「なっ…なんじゃこりゃー!」
魔改造された自室だった。
「え?あれ?なにこれ?」
まずおかしいのが、その広さ。
広いとは言え、ベッドが四分の一占拠する程度の広さだったはず…
それが…なんで…
「倍近く広くなってるんですけど!?」
「…どうしたの?…進…」
「いや…え?…なんでこうなったの?」
「…??…ああ…言ってなかったっけ…」
ブンブンと頷く俺を見ながら、ソフィは話し始めた。
「…まずね…進が入院してから…二日ぐらいした後に…旧寮のOBとかOGとか…いう人が…来て…」
「え?ちょっと待って、そんな得体の知れない人たちを家に上げちゃったの?」
「…だって…進の事で…頭一杯だったし…生崎先生もいたし…」
「生崎先生って…ああ、担任の先生か?」
「…うん…進に…ヒールかけてくれた…先生…」
「明日にでもお礼言わないとな…」
「…それでね…病院に行って…ご飯食べて…帰って来たら…こうなってた…」
「えぇ…」
「…私の部屋も…大きくなってたよ?…」
「えぇ…」
完全に執務室と化した自分の部屋を見ながら………あれ?
「俺のベッドとかって…どうなった?」
荷物とかは、併設されている棚に仕舞うにしても…あの大物は無理だろう。
「…こっち…」
そう言いながらソフィが開けたのは、何故か新についていた扉。
その先には………
「あっ…行く前の部屋だ…」
俺の、元の部屋が存在していた。
「え?あれ?もしかして…執務室みたいな空間って…」
「…後付けで…出来た?…」
いや、首傾げられましても…
「…取り敢えず…荷物おいて…リビング行こ?…」
「そうだな…座って話した方がいいか…」
「…うん!…」
何故か嬉しそうなソフィを横目に、リビングへと通じる扉を開ける―――
「「「退院おめでとう!」」」
パパパパパン!
―――と、同時に飛び交う紙吹雪と破裂音…クラッカーだな………でも…その………
「誰!?」
男性二人に女性三人の5人組は、無茶苦茶ニコニコしてるけど…全く見覚えがない!
「え?あれ?伝えてないの!?」
「…むふー…サプライズだから…」
どや顔のソフィと、焦る大人達…俺は、大体の事を察したのだった…




