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異世界で求められていたのは、勇者よりも探偵でした  作者: 柊葵
事件2「襲われた依頼人」
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 ルエルが倒れている。


 どうしてだ?

 分からない。


 今、俺は何をしている?

 ボーっと突っ立っている。


 周りの人々は?

 混乱して戸惑っている。


 やるべきことは?

 それは――。


「救急車を呼べ!」

「救急車なんてあるわけないでしょ!」


 そりゃそうだ。

 機械なんてものが無いからな。


「助けを呼んでくるから、あんたはルエルを何とかしときなさい!」


 そんな無茶な。

 ――と思っている間にもういなくなっている。


 仕方がない。

 とりあえずルエルの身体を調べる。


 先ほどまで痙攣していたルエルの身体は、既に動かなくなっていた。

 いや、胸のあたりはかすかに動いている。

 どうやら息はしているようだ。


「ルエルさん、大丈夫ですか⁉ しっかりしてください!!」


 身体を軽くゆすりながら声をかけてみるが、返事は無い。


 意識を取り戻すまで、どこか安静にできる所へ運ばなければ。

 どこか休めそうなところは……。


「貴様、この騒ぎは何だ!!」


 うわ、後ろから何ともやばそうな声が――。


「聞こえているのか!!」

「は、はい! 聞こえてます!!」


 ひとまず両手を上げて振り返る。


 そこには鬼のような形相を浮かべた筋肉ムキムキのおっさんが……。


 ん?


「何だ? 何か言いたいことがあるのか?」


 すらっとした長い足に、細マッチョとでも呼ばれていそうな引き締まった上半身。

 狐目であるにも関わらず、それをもカバーする凛々しい顔つき。

 軍隊帽のようなものを被っていることもあり、さらに凛々しさに磨きがかかっている、


 そして、俺はこいつのことを知っている。

 だが、思い出せない。


「ちょっとちょっと、そこで揉めないでよ!! ルエルの方が先決でしょ」


 優香がこいつを連れてきたのか。

 さすがだな、元の世界の知人を見つけてくるとは。


「失礼した。君がルエル様を介抱してくれていたのだな」

「ま、まぁ……」


 突然現れたイケメンと共に、広場の隅にあるベンチへとルエルを運ぶ。


「近くにあんたがいて助かったわ」

「いや、私がしたことはほんのわずかだ。二人共、手伝ってくれてありがとう。そして君、先程の非礼を詫びよう。すまなかった」


 なんだ、この感覚は。

 こいつはまるで俺と初対面であるかのように話をしてくる。


 おかしい。

 俺はこいつを知っているはずだ。

 それもごく身近な――。


 くそっ、あと少しのところで思い出せない。


「おっと、自己紹介がまだだったな」


 気を使ってか、イケメンが帽子を脱いだ。


 ――瞬間、突然の光に目の前が真っ白になった。


 時が経つにつれ、目が光に慣れてくる。


 やっとイケメンが目視できたかと思うと、イケメンがつるつるのスキンヘッドになっていた。


 思い出した。

 イケメン僧侶だ。

 名前は確か……。


「私の名前は光院正人。君達と同じ異世界出身で、今はルエル様の屋敷で用心棒として住まわせていただいている」


 そう、光院正人。

 道理で身近な存在だと思うはずだ。


 こいつは、俺達の通っていた学校の風紀委員長だ。



―――――――――――――――――――――

Memo

・ルエルが何者かによって急襲された。

・駆けつけたルエルの用心棒は光院正人(こういんただと)だった。

・光院正人は元の世界では風紀委員長だった。

―――――――――――――――――――――

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