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【伝わるものは⑤】

この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。

ミリアはジルの顔を見上げた後、また俯いて呟いた。

「わ、私じゃあのドレスは着こなせません…。ドレスはとても素敵なのに、私がそれに見合わなくって、せっかくのドレスを惨めな姿にさせてしまうと思いました…。だから、あのドレスは私ではなくてリリーさんかジルさんに着用をお願いし─────」


「ミリア。僕は他の誰でもない君が、あのドレスを着ている所を見たいな」

 ハルがミリアの言葉を優しく遮る。

 

「えっ…」と少し驚いた反応をするミリアに三人も言葉を続ける。

 

「そうよミリアちゃん♩あれはミリアちゃんの為のドレスなの!大・丈・夫♩あのドレスは規定通り魔法は使わずに私たちの手作りだけど、その代わりにミリアちゃんへの勇気の魔法がかけられているわ♩」

 

「ミリアっち~♡このコンテストもあたしたちが優勝して、この代のアストラル、つまりあたしたち五人が揃えば最っ高で最っ強って所、みんなに見せつけて来てよね♡」

 

「ミリアさん。あなたなら、ドレスに縫い付けられているジュエルよりも輝けます。ハッキリとした根拠はありませんが、今までの関わりの中で(わたくし)はそう感じていますよ」

 

 

「み、みなさん…」

 

 みんなの言葉一つ一つでミリアの心の温度が変わっていく。少しの沈黙の時間が通り過ぎると、ミリアは自分の拳を見て握りしめ、足に力を入れてしっかりと立ち上がる。

 

「まだコンテストには間に合いますか…!」

 

 そのミリアの一言で四人の目の色が変わる。

 

「はい。コンテストは既に始まっていますが、ミリアさんの順番まではギリギリ時間があります」

「よーっし!そう来なくっちゃね♩」

「ん~っ!優勝を貰うのは間違いなくあたしたちなんだからね~♡他の誰にもあげないよ~♡」

「よし!みんな!ステージ裏まで全速力で走るよ!」

 

 ハルの掛け声と共に五人は揃って走り出す。

 長いローブをはためかせながら走る五人の顔は、足並みに加えて気持ちさえも揃っているようだった。

 

 

 

「ふぉっ、ふぉっ。それではラスト!エントリーナンバー32番のミリアお嬢さんの登場じゃっ!」

 

 

 一歩一歩踏み出すコツコツというヒールの音と同時に、ウエディングドレスのようなスカートがふわりふわりと優雅に動く。体の前には白い手袋をはめて揃えられた手。耳には太陽の光をキラキラ反射させて揺れ輝くイヤリング。そして頭にはお姫様のような上品なティアラが飾られていた。

 

 会場内の観客誰もがその圧倒的な美しさに目を奪われていて、一言も発せずに居た。ミリアの美しさはまるで暗闇の中、宝石にスポットライトが当たっているようだった。あるのは空の見える開放的な会場とそこから全体的に差す陽の光だけなのにも関わらず。

 

「それでは、手元のボタンで投票をするのじゃ!投票開始!」

 

 校長先生の司会進行で投票、そして開票が進む。

 

 ミリアは今、ドレスを着て観客の視線全てをたった一人で集めている。しかし逃げはしない。だって、このドレスには魔法じゃない魔法がかかっているから。その魔法がミリアの背中を支えてくれているから。ミリアに勇気を与え続けてくれているから。

 

 

 ──やがて校長先生の元に一枚の紙が手渡された。

 

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉー。それでは~?今年のドレスアップコンテストの結果を発表するぞい!」

 

 ステージ上のミリアが息を飲む。そして、同じようにステージ裏のリリー、ジル、ハル、ルークも両手を祈るように重ねて息を飲む。

 

「今回の優勝者は──────────パンパカパ~ン♬なんと2位と120ポイントもの大差をつけたミリアお嬢さんじゃー!」

 〖パーン!パーン!〗

 校長先生の優勝者宣言と同時に色とりどりの紙吹雪がステージと会場全体を舞う。

 

「わ~い!あたしたちが優勝だ~♡どうだっ!見たか~♡」

「素晴らしいです。やはり、(わたくし)たちの予想通りでしたね」

「みんな!よくやったね!おめでとう!」

「んーっ!ミ~リ~アちゃーん♩」

 

「み、みなさん…!」

 

 ミリアが少し目をうるうるさせながら振り返ると、四人が裏からステージ上のミリアの元へ飛び込んで来た。

 

 ミリアを中心に囲うようにみんなは笑顔で優勝を喜び合い、紙吹雪に彩られながら忘れられない思い出の一ページをまた、新たに刻みました。

〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗

読んでいただき、ありがとうございました。

小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。

ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。

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