【伝わるものは③】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
「ただいまより、ステージのプログラムを進めてまいります。まず一番は、お笑い部によるコントです。では、お願いします」
闘技場に設置された文化祭ステージでは時間に合わせ、ルークが司会進行を行っていた。
プログラムナンバー一番のお笑い部のコントにより、会場内からは笑い声が聞こえていた。
その後も二番、三番と順調にステージは進んで行った。
「わ、あわわ~。し、視界がゆらゆら~」
下級クラスの廊下を不安定な足取りで歩いているのはコーヒーカップに回されていたミリアだった。コーヒーカップからは解放されたものの、目を回していた。
その時、ミリアの足がグラッとなり、壁に頭がぶつかった。─────と思ったが何だか柔らかい…?
「おいミリア、大丈夫か…?」
ハルがたまたまこの廊下で不自然にフラフラしているミリアに気づいて、走って壁に手を当ててくれたのだ。
その衝撃でミリアの目が完全に覚める。
「ハ、ハルさん…!?すすす、すみません…!だ、大丈夫です…!」
「大丈夫なら良いんだが…。仕事の方は出来そうか?」
「は、はい…!下級クラスB組のコーヒーカップの確認までは終わりました!」
「そうか。まぁ、一時まではまだ時間があるから、慌てずにな」
そう言うとハルは丸まったポスターが何枚か入ったダンボールを手にしながら去って行った。
「よ、よーっし。心配かけちゃダメだ…!頑張ろう…!」
ミリアは小さくなるハルの背中を見送ってから気合いを入れ直して次のクラスへと進んで行く。
─────────────
「あっ!居たわよ♩」
「向こう側ですね」
「ほんとだ!お~い♡ミリアっち~♡」
「ミリア!」
聞き馴染みのある声がして廊下の反対側を見ると、リリー、ジル、ハル、ルークの四人がミリアに向かって手を振りながら歩いて来ていた。
「ミリア、ちょうど今各学級委員長さんたちと業務を交代した所だから少しだけクラスを見てまわらないか?」
「せっかくの学園祭なんだからミリアちゃんも遊びましょう♩」
「どのクラスも気合いが入っていますよ」
「ミリアっち?あ~そ~ぼ~♡」
四人に誘われてミリアも学園祭を楽しむ事にした。
まず入ったのはリリーが楽しみにしていたジルのクラスのお化け屋敷。ゾンビのメイクをして飛び出してくる人や、突然出て来る白い煙、前の人たちの叫び声などに驚きっぱなしで、ミリアとリリーとジルの三人はゴールまでずっと身を寄せ合っていた。
「ちょっと!いきなり出て来ないでよ!」
「うぅ~、暗いよ~。怖いよ~」
「わわ、私なんて食べても美味しくない所か味すらしないですよ…!」
ちなみにルークはお化け屋敷の設備に興味を持って、驚きとは真逆のリアクション。ハルはお化けに軽く手を振って挨拶をしていた。
そしてお化け屋敷を出た次には、リリーとルークのクラスのヨーヨー釣りをした。
「うぇ~ん。リリーっち~。一個も釣れなかったよ~」
「私も紐が切れちゃって釣れなかったわ」
「私も思いの外難しくて釣れませんでした」
「僕も張り切って挑んだんだけど、ダメだったよ」
「ミリアちゃん、私たち一つも釣れなか─────え!?」
「リ、リリーさん、わ、私五つ取れましたので…、よ、良ければみなさんもどうぞ…」
ミリアの手にはなんと五色のヨーヨーがあった。
「え~!ミリアっちすご~♡」
「これは…、驚きました」
「ミリア凄いな!五つも取れるなんて」
四人は驚きつつもミリアからヨーヨーを貰い、仲良く五人五色分け合った。
ヨーヨーを手首に下げて次に訪れたのはミリアとハルのクラスのフォトスポット。
一辺の壁にカラフルなお花が隙間なく飾られていて、間に『ノヴァル学園祭』というパネルがあった。
そしてその前には背もたれのある白色のアンティークなベンチが置かれていた。
「ミリアちゃん真ん中座ってー♩」
「え…?私が…?」
「そ~そ~♡ヨーヨー釣りの大貢献者だもん♡」
「はい!それでは取りますよー!はい、ポーズ!」
手渡された写真には緊張の表情のミリアと、その横で笑顔を浮かべるリリー、そして同じく笑顔を浮かべピースした片手を前に出すジル。ベンチの後ろでは少し恥ずかしげな顔で立つルークとお花のように微笑むハルが写っていた。
「みなさん、惜しい思いですがそろそろ学級委員長さんたちとの交代の時間です」
「え~、もっと遊びたかったな~」
「でもジルちゃん!ヨーヨーに記念写真、ゲット出来たじゃない♩」
「そうだねリリー。少ない時間だったけど、みんなで遊べて良かったな!」
「確かに~♡ミリアっちヨーヨーありがと~♡」
「い、いえ…!喜んでもらえて良かったです…!」
「それじゃあ時間もあるし、各業務に戻ろうか!」
「そうですね。交代しましょうか」
「は~い♡みんなまたね~♡」
「残りの仕事もファイトよー♩」
「は、はい…!頑張りましょう…!」
こうして五人はそれぞれの業務に戻って行った。
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。




