【伝わるものは②】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
「じゃーん!どぉ?可愛いでしょー♩」
「ミリアっちのために、内緒で四人で作ったんだよ~♡」
リリーとジルが広げて見せるそれは、真新しくて可愛いドレスだった。
ミリアは思い出す。何度かみんなにドレス制作はいつから始めるのか。とか、どんなデザインにするのか。とか、ま、間に合うのでしょうか…?とか廊下ですれ違ったりする度に聞いていたのだ。しかし、みんなに同じようにはぐらかされていたのだ。なぜなら、今ジルが言った通り『内緒』つまり、サプライズがしたかったから。
「こ、こんなに素敵なドレスわ、私に似合いますかね…?」
リリーとジルが持っている、ミリアの目の前にあるドレスは淡い緑色ベースで、ウエストのベルト部分と襟元、袖口には白色の生地が使われている。
所々にリボンとキラキラ光るジュエルが付いており、スカートの裾は白色のフリルとレースで出来ていて、全体のシルエットはまるでウエディングドレスのようにふんわりとしていた。
「大・丈・夫♩心配ご無用♩」
「ミリアっち、これ着て優勝かっさらって来てね~♡」
「ミリアさん、応援しています」
「ミリア、ドレスアップコンテストは午後一時から行われるから、その時間までにはステージ裏に来て欲しい」
「分か…りました…」
「じゃあみんな、今日は学園祭当日。気を引き締めて一日頑張ろう!」
「はい。頑張りましょう」
「よーしっ!頑張るわよーっー♩」
「わ~い♡ついに始まるんだね~♡」
「は、はい…!頑張り…ましょう…」
五人は「おーっ!」と拳を上げて各担当エリアに別れて行った。
「えぇっと…わ、私は安全面のチェックと、申請内容と出し物が一致しているかの確認…。順番に下級クラスのA組から行こうかな…」
ミリアは下級クラスの棟に行く。
ちょうど文化祭が始まった事もあり、廊下はいつもより人が多かった。
下の街では、生徒の保護者や他校の生徒などが学園祭に訪れる事が一般的だが、ここは魔法学校なので生徒の他に来るお客さんは、魔法が使える(空中飛行が出来る)人以外は来られないのだが、それでも廊下は十分な活気で溢れていた。
「ねぇ、みて~?あの子のローブ長いよ?アストラルの人かな?」
「えっ!本当だ!やっぱりローブが長いのってカッコイイ~!あたしもいつかアストラルになりたいなぁ~!」
「そ、そうだった…」
ミリアは少し先から聞こえた話し声で思い出した。自分が長いローブを纏っている事を。すなわち、アストラルの象徴。確かにカッコイイが、良くも悪くもこの長いローブは目立つのだ。
「はは、早く確認作業終わらせよう…!」
ミリアは急いでA組に向かう。
「お、おはようございます…?」
ミリアは下級クラスA組の開いている扉をノックした。
「わっ!生徒会の人ですか?」
女子生徒が驚いてミリアに振り向く。
「は、はい…!えと、下級クラスA組はハンドメイド体験のお店だと申請が届いています。お間違いないでしょうか…?」
「えぇ!大丈夫ですよ。ちょうど羊毛フェルトの体験が始まった所です」
「わ、分かりました…!ありがとうございました…!」
ミリアは手元の資料の下級クラスA組の欄に丸をつける。ミリアはまだ一教室しかまわっていないのになんだか疲れた気がするし、何故かこれからもっと疲れる気がする…。
「つ、次はB組っと…」
続いてミリアはB組に向かう。
「お、おはようございま─────」
「イェーーーイ!盛りがってるー?手動コーヒーカップ回しちゃうよー!?あっ!?お客さん?ちょうど良いタイミングすぎー!あと一席空いてるんっすよー!早く乗っちゃってー!」
「え、あ、いや、あの…!?」
ハイテンションな男子生徒に背中を押されミリアは手動コーヒーカップの中に入ってしまう。
「それじゃあ、いくぜー!うぉりゃーー!」
「きゃ〜!」と楽しむ他の生徒と反対にミリアはコーヒーカップに回されていた。
「だ、誰か助けてぇぇ~」
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一方その頃受付では、リリーが持ち前の明るい笑顔でお客さんにパンフレットを配っていた。
「おっはようございまーす♩ノヴァル学校の生徒さん二名ですねー?はいこちら、パンフレットでーす!行ってらっしゃーい♩」
リリーは手際よくパンフレットを配り、生徒、お客さんに手を振って中に案内していた。
ジルはというと、担当はゴミ処理確認なので、校内と校外のゴミ捨て場を見てまわっていた。
「う~ん?まだ大丈夫そうかな~?袋足りなくなりそうだったら、生徒会室行かなきゃだったよね~。…ん?あっ!あそこの屋台、クレープ売ってる~♡にっひひ~♡一つだけ食べちゃお~♡」
ジルは校外で出店されているクレープ屋が目に留まり、ルンルンと走って行った。
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。




