Quitter le nid.
‹いらっしゃいませ!喫茶 ひだまりへようこそー♪›
わたしは前島陽菜 18歳
高校生になってから休みの日はパパたちのお店で
バイトしてるんだー
このお店で働けるのもあとちょっとだから…頑張らないと…!
「ひなービーフシチューできたよー
パン忘れないでね 3番さんだよ」
‹はーい!あっママ、そろそろ時間だよ!›
「あぁっ!行かなきゃ…
司さん、耕平さん、お先ですー!」
『お疲れ様 透子』
「はーい!」
〔お疲れーまったく透子は…全然落ち着かねぇな〕
『いつも一生懸命なんだよ!うちの奥さんは
相変わらず可愛いしー』
‹もうー!のろけは後にしてー!
ハンバーグセットとカレーライス1つずつー
パパ、先にホットコーヒーとミルクティーね!›
〔はいよー〕/『はーい』
今は冬休み中で
ママは妹たちが待ってるからお昼に帰るの
妹の心陽 10歳、弟の悠陽 5歳
2人とも可愛いんだぁ
本当はわたしが家にいて2人の面倒をみればいいんだけど…
ちょっとお金が必要で…パパたちに交渉して
絶賛バイト中ってわけ!
〔ひなちゃん、出来たよー頼むな〕
‹はーい!›
‹お待たせしましたー!ハンバーグセットとカレーライスです!今セットのパンをお持ちしますね!›
(ありがとう あっ、もう一回メニューもらっていい?)
‹はい!かしこまりました…どうぞ!›
(ありがとう 決まったら声かけるね)
‹はーい!›
このお客様はご近所のご夫婦なの
焼き菓子と今日のケーキっていうデザートがあるんだけどね
それを選ぶ時間が好きなんだって!
結構人気なんだよー
恭子さんが作ってるんだ!
わたし、恭子さんのマドレーヌ大好きっ!
恭子さんは今の時間はお菓子を作ってるんだ
このお店、改装してね
洋食は1階、お菓子は2階で作ってるの
ちなみに、3階は司さん達のおうち!
そろそろ降りてくる頃かなぁ?
(ひなちゃーん、注文いいかい?)
‹はい!ただ今ー〚高橋さん、お目当ての物はこちらですか?〛
‹恭子さん!›
(そうそう!マドレーヌとケーキも頼むね
マドレーヌ、持ち帰りたいんだけど…)
〚えぇ、包んでおきますね!帰りに声をかけてください!ひなちゃん、お願いね!〛
‹はーい!›
今日のケーキは、ブルーベリーソースがかかった
チーズケーキ!
よだれでちゃいそう…
『ひなー?食べたいんだろー』
‹うん!あとで持って帰っていい?お金払うし!›
〚いいわよ!お金なんて…というか、取ってあるの!ひなちゃん、ブルーベリーソース好きでしょ♪〛
‹うれしいっ!恭子さーん大好きっ!›
『あんまり甘やかさないでくれよー』
〚アンタの分はないわよ?子供たちと透子ちゃんの分!〛
『えー!?』
〔ひなちゃん、俺のことはー?〕
‹え?司さん、なーに?›
〔俺のこと、好き?〕
『また始まった…』
〚はぁ…〛
‹うん!好き!›
〔あー…俺…寿命が2年延びたわ…〕
‹もうー司さん、大げさー!›
〔なぁ、ひなちゃん
そろそろカレシとかできるお年頃だろーいいヤツいんの?〕
‹え…?›
『ちょっと待て!!パパ何も聞いてないぞ!?』
〚うわぁ…顔こわ…〛
‹そういう話しはいいの!あっ、お客様お帰りみたいマドレーヌお渡ししなきゃ!›
『あっ、ひな!?』
【耕平point of view】
ひなは包んであったマドレーヌを持って
お客様のところへ走っていった
〚…逃げられたわね?耕平〛
『はぁ…18だもんな…いつかはとは思ってるけど…』
〔女の子の父親ってのも大変だよなー〕
〚あんなに可愛いんだから
いないほうがおかしいでしょ〛
『はぁ…』
〔ため息うぜーな…〕
『他人事だと思って…はぁ…』
〔つかよー ひなちゃん、俺のこと呼び捨てしなくなっちゃったもんなー寂しい〕
『それはそうだろ』
〔可愛かったよなーつかさーってさ、今ももちろん可愛いけど〕
『社会常識はちゃんと身につけさせてんの』
〔他所の男は呼び捨てなんかしなくていいけどよー
俺のことだけでもまた呼んでくんねーかな〕
〚司…アンタも昔から大概よね…〛
〔いいんだよ!髭も似合うようになったしよ
ひなちゃんが褒めてくれんだよ〕
『ひな、なんて?』
〔司さんはヒゲがある方がかっこいい!ってさ〕
〚今のところひなちゃんだけよね〛
〔いいんだよ ひなちゃんが褒めてくれれば〕
『俺も伸ばそうかな…』
〚…〛
その後夕方まであっという間に時間が過ぎた
19時 閉店時間だ
少し休憩を入れてから片付けがあるんだけど
『あっ、ちょっと一回家帰るわ』
〔おうーゆっくりでいいぞ〕
『すまんな』
〚大丈夫よ!あ!ケーキ持って帰って!
ひなちゃんのはこっちの冷蔵庫に置いてあるから
今から食べる?〛
‹やったぁ♪パパいってらっしゃーい›
『うん、行ってくる』
今頃、透子がてんやわんやで頑張ってる頃だなー
『ただいまー』
〈パパ!…あ!恭子さんのケーキ!〉
『こら!心陽、おかえりはどうした…?』
〈ゆうーケーキあるよー!〉
[わぁい!]
『…』
あっという間にケーキを奪われた
「耕平さん!おかえりなさい!あれ?どうしたの?」
『透子だけだよ…俺の帰りを待っててくれるのは』
「もうー何言ってるの!みんなで待ってたのよー」
『ケーキ盗られた…』
「あー…あははっ!恭子さんのケーキおいしいから…ほら、手を洗ってきてくださーい!
あ!もう!2人ともーまだご飯もまだなのに!」
『はーい…』
[パパーおかえりーおいしいよ!ケーキ]
『悠陽、ただいま あーんして?』
[やだ…これは…ぼくのだから…]
『透子ー…』
「人数分あるでしょ!もう!」
『はい…』
[ねぇね、まだかえってこない…]
『まだバイト中だよ』
〈ねぇね、早く帰ってこないかなー〉
「頑張ってるから、応援してあげようね!」
[うん…]
ひな…10月あたりからバイトの日増やしてるんだよな何のためにバイトしてるか言わないし
透子にも話してないんだって
ただ、お金がいるの…って
内定も決まってるんだし!
年明けたら準備もあるから今のうちだけなの!
お願いっ!
そんな風に言われたら…
許すしかなかったんだよな
下の子達が寂しそうにしている
頑張ってるお姉ちゃんを俺達でカバーしないとな
それに…3月には…
【陽菜point of view】
‹終わりましたー!›
〔ひなちゃんは頑張り屋さんだなー無理しなくていいんだぞ〕
‹してないもーん!楽しいの!›
〚ねぇ、ひなちゃん あの話だけど…足りそう?〛
〔…たぶん…でもね、今までの貯金もあるから!〕
〔想い出作りだっけ?〕
‹うん…!›
〚忘れないでね 他県に就職することになっても…
ひなちゃんの家はあの家だし、ここも!
ずっとひなちゃんの居場所よ〛
‹恭子さん…無理言ってごめんなさい›
〚ううん 大好きなあなたの頼みだもの ね!司〛
〔おう!ひなちゃんのやりたいようにやったらいいんだよ 休みの件は俺達もありがたいしな〕
‹ありがとう…大好き!›
〔あー…恭子 俺、もう悔いねぇ…〕
〚…バカは放っておいて…年末年始の連休だったわね
予定通り進めるわよ〛
‹はい!よろしくお願いします!›
わたし、就職先が遠いの
あえて他県を選んだんだ
あの子達と離れて暮らすのは寂しいけど…
その前に想い出づくりがしたいの
無事に内定も決まったから、パパとママに今までの恩返しっていうのかな
ちょっとでも…よろこんでもらえたらいいな…
『ただいまー』
〔おう!耕平 いいところに来た!〕
『ん?どうした?』
〚あ、そろそろ時間よ ひなちゃん〛
‹はーい!恭子さん、ケーキごちそうさまでした!›
〚いいのよ また明日ね!〛
〔ひなちゃん、気をつけるんだよ〕
『ひな、寄り道せず帰れよー』
‹わかってるー!じゃあ、お先でーす!›
…今頃、あの話をパパに話してくれてるんだと思う
さてと…帰ろう
あの子達が待ってる
【耕平point of view】
『え?休むの?』
〔おう!悪いな 勝手に決めちゃってよ〕
1月の連休に店を休むことにしたらしい
もう張り紙まで用意してある
それを貼りながら、司が
〔楽しんでこいよ
ひなちゃんがいろいろ用意してくれてっから〕
そう言っていた
ひな、就職先を他県に決めてきたんだよな
どうしてもそこで働きたいの!
そう言ってた
本当にそこで働きたいから決めてきたんだと思ってたんだけど…
『なぁ…』
〔あー?〕
『ひな…家、出ていきたかったのかな』
〚…〛
〔なんでよ〕
『俺と透子が結婚してさ しばらくは3人で暮らしてたけど 下の子達が生まれて大きくなってきてさ
なんか思うことでもあんのかな…』
〔ひなちゃんはさ〕
『うん』
〔お前たちが大好きなんだよ〕
『わかってる』
〔でもだからこそ…ってとこもあるんじゃないか?
今まで、お姉ちゃんとしてしっかりやってきたんだ
これからは好きにやらせてやれよ〕
『…寂しくなるな』
〚…1番寂しいのはあの子よ
でもね、決めたのもあの子なの
大丈夫よ しっかりした子だもの〛
『あぁ…』
分け隔てなく、大事に育ててきたつもりだった
ずっとあの家にいてくれるものだと思ってた
俺のせいなんだろうか
俺があの時…2人の間に入ったから…
"パシンッ"『なんだよ、司…』
〔どうせお前の事だからなんか良からぬことでも考えてんだろ
ひなちゃんのことをずっとそばで見てきたのはお前もだろうが 信じてやれよ 親なんだから〕
『…!』
こいつは…昔から人のことをよく見てるんだよな
『そうだな…うん』
〚まったく…
ひなちゃん、頑張ってたからね
今月のお給料弾んじゃおうかしら♪〛
〔そーだな!〕
『あんまり甘やかさないでくれよー』
〚甘やかすわよーあたし達にとっても可愛い我が子なんだからー〛
『…ありがとう』
片付けも終わって家に帰ってきた
話してたら21時過ぎてしまった
下の子達は寝ている
「おかえりなさい!お疲れ様!ごはん?お風呂?」
『ただいま 透子、ちょっと待って
ひな、ちょっといい?こっちおいで』
‹おかえりーなぁにー?›
『1月の休みのこと聞いたよ ありがとうな』
‹ううん!楽しみにしてて!ママも!›
「ん?なになにー?」
『ねぇ、ひな』
‹ん?›
『ひながどこで暮らすことになっても、パパの大事な娘だということにかわりはないからね』
‹パパ…›
「…」
『ここは、ひなの家だから!忘れないでくれよ』
‹うん…っ!ありがとう!›
それから風呂に入って
ご飯を食べながらさっきの話を透子に話した
「…そう ひなが、そんな計画を…
3月には引っ越すんだものね」
『あぁ…寂しくなるな』
「耕平さん、ありがとう」
『…ひなも俺の娘だからね』
「うん!」
『せっかくひなが用意してくれた機会だ
みんなでたくさん楽しもう』
「そうね!」
【陽菜point of view】
‹よーし!みんな行くよー!こはる、ゆうひ!おいで›
〈ねぇねのとなりがいいー!〉
[あーっ、ぼくも…]
‹じゃあ、ねぇねが真ん中に座るね!こはるはシートベルト締めて ゆうひのはやってあげる!›
[ありがと!]
‹飲み物あるけど、飲みすぎちゃだめよ
トイレに行きたくなったら、すぐにねぇねに教えてね!›
〈はーい!〉/[はーい!]
『じゃあ、出発するよー』
「お願いしまーす!」
今日は近県のお宿を予約してあるの!
せっかくの旅行だから奮発しちゃった♪
その前に…広場があるテーマパークに行くの
フリーパスも用意してあるけど
きっと広場でまったり過ごすんだろうなー
それも楽しいから好きなんだ
ママがお弁当作ってくれたし!楽しみ♪
…そう思ってたんだけど…
『次はあっちのに乗ろうか!』
「悠陽は身長が足りないから、ママと休憩しようね!」
[うん!]
‹…パパ、大丈夫?そんなにはしゃいじゃって…›
『ひなーパパだって、まだ若いんだぞ!』
〈パパー!ねぇね!早くー!〉
‹あっ、こはる待って!パパ!行くよ!›
あたしは、パパの手を取って走る
パパと手をつなぐなんて、ずいぶん久しぶりだ
『ひな…』
〈あー!ずるーい!こはるもつなぐー!〉
‹その前に!勝手に離れて行っちゃだめよ!›
〈ごめんなさぁーい〉
‹ちゃんとつないでてね›
〈うんっ!〉
…この小さな手も パパの大きな手も
離して生活しなきゃなんだよね
それでも
振り返ったらみんながいてくれる
わたしの大好きな家族
司さんや恭子さんも大好き
きっと寂しくなって
ちょこちょこ帰ってきちゃうんだろうな…
その時は
また…手をつないでくれる?
【3月中旬】
『忘れ物はないか?』
‹ないよー!大丈夫!›
「ひな…」
‹泣かないでよーママ›
「ん…いつでもここで待ってるからね」
‹うん!›
〔ひなちゃん、これ電車の中で食べな〕
〚マドレーヌも入れてあるから〛
‹わぁ!司さん!恭子さんも!ありがとう!›
〚ひなちゃん…抱きしめさせて〛
‹うんっ!頑張ってくるね!›
〚あたし達もいつでも待ってるから〛
‹ありがとう!›
〔ひなちゃん、おいで〕
‹はーい›
〔…変なやつにひっかかんなよ〕
‹大丈夫!見て!
スマホ、司さんを待ち受けにしてあるの!›
〚あら、魔除けにちょうどいいわね〛
『魔除け…ぶはっ!笑』
「…ふふっ!」
〔おい…笑いすぎだぞ!お前ら!〕
〈ねぇね…これ〉
‹ん?絵を描いてくれたの?ありがとう›
〈ゆうひと一緒に描いたの〉
[ねぇねぇー…]
‹ゆうひ、こはるも ねぇねはずっと2人が大好きだよ またすぐに遊びに来るからね
あとこれ…この間テーマパークで買っておいたの
キーホルダーだよ ママにつけてもらってね›
〈ありがとう!こはる、泣かないもん!〉
[ねぇね…ありがと…ぐす…]
〈ねぇねがんばってくるね!〉
[ねぇねー…]
〈ゆうひ、バイバイだよ〉
[…うん…]
小さな手をブンブンッと振ってくれている
ずっと見ていると行きたくなくなっちゃうな…
ううん…
‹…行ってきまーす!›
タイトル〘Quitter le nid.〙
訳:ヒナが巣から飛び立つ
君の色気にあてられて.前島陽菜視点 Fin…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




