↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人化したら公爵に保護されました。ほんとは十歳の少女じゃなくて、黒竜に転生しちゃったギャルなんだけど  作者: 稲山 裕


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/38

六 生活の礎

 これ、ほんとに鏡を見てんの? 


 案内されたお部屋の、ベッド近くの姿鏡。実は縦長のテレビとかじゃなくて?


 小さい顔に大きな目。長くてふさふさなまつ毛。


 付けマなしってマ?


 小高い鼻もちっちゃい口も、人形みたい。


 ずっと見てられるわ……これがあーし?


 信じられん……。もしかして、竜の時も可愛かったのかな? いやカワイイ竜ってどんなよ。


 それにしても。ほんとに十才くらいに見えるよ……。


 いやそれよりこの肌、マリアンより白い? 透き通るみたいって、こういうの?


 スマホがあったらなぁ。盛って撮るのに。


 このおっきな目と長い髪は黒くて日本人みたいだけど……竜の時の体みたく、角度で銀色に見えるわ、さすが黒竜。


 逆に変なとこ――角とか尻尾とか変化しきれてない場所――は無いね。良かったぁ。


 でも、あ~あ。じょしこーせーだったのに。胸はペタンコじゃん。


 んじゃあれか、竜の時もあれで十才くらいだったんだ?


「まあまあ、鏡に見惚れちゃって、かわいー」


 とか言いながらの、髪の毛めっちゃ手早く梳いてくれてたんだけど。ササッとゆるいお下げにするのも一瞬だった……。


「あ、いや、ほんとに小さいなぁって」


 ちなみにこの部屋。予想通りめちゃ豪華。


 ベッドには天幕? が付いてるんだぜ……。そのすぐ隣には別の鏡台も。


 絨毯はふっかふかで足が気持ちよくて、しかも高そうな模様が入ってるし。


 壁に並んだアンティークな感じのチェストもカワイイ。テーブルは大理石かな……本物初めて見た。ソファは見るからにフカフカだろうし、どっちも触ってみたいなぁ。


 クッションも足置きもあって、まじで至れり尽くせりなお部屋だわ。


「小さいって、そりゃあエルフィオラちゃんは子どもだもの。おかしなこと言うのね」


 あ~! しまったまた変なこと言ってるよねぇ!


「えと、姿鏡とか久しぶりに見るっていうか」


 ってもう傷の手当終了。首のケガ、全然痛くなかった。


「あぁ……そうよね。そうなのよね。遠い所から苦労してきたのよねぇ。よく無事で辿り着いたわ。エルフィオラちゃんエライ!」


「あ~、その、いや――」


 このウソ、めちゃ悪い事してるみたいな気になるじゃんね……。


 って、体の採寸もしてる……マリアンて何でも出来る系なのかな。


「――えっとさ。全然気にしないで! ほとんど覚えてないから、辛いとか思わなかったし! 楽しかった気がする! うん!」


「あぁ……なんて健気なの。そういえば、ご両親とか、他の大人の人は……?」


 あー、そうなるよねぇ……。


「えーっと、覚えてなくて……ごめん」


「ああごめんなさい! 私の方こそ馬鹿なことを聞いて……。ここに一人で居る意味なんて、聞かなくても分かるようなものなのに。本当にごめんなさい」


 ちょ、マリアンさん泣き出しちゃったじゃん!


 うわーん泣かないでよぉ。


「いや! ほんとに大丈夫なんだよ? 忘れて忘れて! 気にしないで~」


 困る~! これまじで何て言えば正解?


 ウソも嫌だけどほんとのことなんて言えないよね?


 転生して竜になって、そんでもって人化の術でこうなりました~!


 って、そんなの頭おかしいわ。あーしがそう思うんだからさ。


「あぁ……ほんとにいい子。ここでは皆に、いーっぱい甘えていいんだからね? 明日、従者のみんなにも紹介するから。絶対に目一杯可愛がってくれるから」


「わ~……気持ちは嬉しいんだけど、甘やかさなくていいから。ね?」


 元は高校生だったんだし、恥ずかしいが勝っちゃうし。


「いいからいいから。子どもは遠慮なんてしなくていいの。さ、出来ました。間に合わせのお仕着せでごめんね? 寝間着はシュミーズ、私のお下がりだけど持って来るから。あとは明日、レオナイル様にお洋服買っていただきましょう。それじゃゴハン運んでくるわね」


 お話してる間に、服の寸法合わせまで終わっちゃった。


 黒のメイド服って、実は着てみたかったんだよね。仕事着という名のドレスみたいでさ。


「ありがとう。なんか、お姫様みたい」


「ハッ……。そうね! そうしていただきましょう! 後見人とかになってもらえば、家族みたいなものだし!」


 家族――?


 あれ? その言葉を聞いただけで、めっさ鳥肌立ったんだけど。


 家族は、嫌だ。無性にそう思う。


 何この感じ。お風呂上りだからじゃなくて、背中にドバッて汗かいた。


 体の底から、虫唾が走るみたいな感じがする。


「――嫌」


「え?」


 うん。やっぱりイヤだ。


 せっかく、あーしのために言ってくれてるんだろうけど……。


「ごめん。……ごめんなさい。でも家族は絶対に嫌。ムリ……」


 ますます変な子どもだよね。


 でも、自分でも分からないんだよ。


 だけど絶対に無理。その言葉も聞きたくないくらい。


「そう、なのね。分かったわ。勝手な進言はしないようにする。今エルフィオラちゃんが嫌だって言ったことも、伝えておくね。旦那様は理解してくださると思うから。それに、エルフィオラちゃんにとって悪い様にはしない方だから、それだけは安心して?」


 こんなワケ分からん子どもに、そこまで心を砕いてくれなくてもいいのに。


 そんな風に、しゃがんで目線合わせてくれなくても……。


「ありがとう……。自分でも、よく分からないんだ。迷惑かけちゃうのもイヤだから、明日にはここを出るね」


「え! 何言ってるのエルフィオラちゃん! 迷惑とかそんなことないのよ? あなたをこのお屋敷に住まわせることなんて、公爵である旦那様にとったらアクビするのと変わらないくらい、大したことじゃないんだから。そんなこと言わないで? ずっとここに居ていいの」


 それはさすがに申し訳なさ過ぎるでしょ――。


 って、公爵ってめちゃエライ人じゃなかったっけ。違った?


 あれだ、この世界は貴族とかが普通に居るんだ。


「じゃあ、あーしも働く。色んなバイトしてたし、ちょっとくらいなら役に立つはず」


「……バイト? よく分からないけど、あぁもう。よしよし……。うん、とにかく今は、ゴハン食べよう? 疲れたでしょう」


 ハグされちゃった。


 んでめっちゃ頭撫でるし。


 髪の毛セットしてくれた直後ですケド。


「ふふっ。ウケる……。ごめ、なんか急に落ち込んだみたいなっちゃったね。あーし、基本ゲンキな方だから、もうだいじょぶ」


「そう……。うん。じゃあ、運んで来るからちょっと待っててね」


「ありがとう。でも、ここで食べていいの?」


 こんな豪華な部屋で食事とか――。


「そうよ。今日からエルフィオラちゃんのお部屋だから」


 ――していいんだ?


 ていうか。いつの間にそんなことになってたん?


 住み込みって、寮みたいなとこで相部屋とかのイメージだったけど。まぁ……こっちの常識はおいおい覚えていこう……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価をいただけると励みになります。よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。